幾何平均とは?
先生、幾何平均ってどういう意味ですか?
地球環境の専門家
幾何平均とは、n個の数についての、その相乗積のn乗根のことです。相乗平均ともいわれます。
汚染物質の濃度のように対数正規分布する母集団の平均値を求めるときには、算術平均(相加平均)ではなく、幾何平均(相乗平均)値を求める必要があるのはなぜですか?
地球環境の専門家
それは、対数正規分布する母集団の平均値は、算術平均では正しく表すことができないからです。対数正規分布する母集団の平均値は、幾何平均で表すことで、正しく表すことができます。
幾何平均とは。
「幾何平均」とは、データを対数変換した後、平均値を得て、その対数平均値を逆変換したものを指します。
幾何平均は、データが対数正規分布に従う場合によく使われます。対数正規分布とは、データの対数値が正規分布に従う分布のことです。汚染物質の濃度など、自然界のデータは対数正規分布に従うことがよくあります。
幾何平均は、算術平均(相加平均)とは異なる点に注意が必要です。算術平均は、データをすべて足し合わせて、その和をデータ数で割ったものです。幾何平均は、データの対数値をすべて足し合わせて、その和をデータ数で割って、その逆数の対数をとったものです。
幾何平均は、算術平均よりもデータのばらつきが小さい傾向にあります。これは、対数変換によって、データのばらつきを小さくすることができるためです。
幾何平均は、汚染物質の濃度のように対数正規分布する母集団の平均値を求めるときや、経済指標の平均値を求めるときによく使われます。
幾何平均の基本
幾何平均とは、複数のデータの積の累乗根であり、その値はデータの平均的な傾向を示しています。幾何平均は、算術平均や中央値とは異なる平均値の一種で、データのばらつきを考慮した平均値です。幾何平均の基本的な計算方法は、データの積の累乗根を取得することです。
例えば、3つのデータ2、4、8の幾何平均を求める場合、まずデータの積を求めます。2 x 4 x 8 = 64です。次に、データの個数である3の累乗根を取得します。3の累乗根は1.442249です。最後に、データの積を累乗根で割って幾何平均を求めます。64 ÷ 1.442249 = 44.36です。したがって、このデータの幾何平均は44.36となります。
幾何平均は、データのばらつきが大きい場合に、データの平均的な傾向をより正確に表すことができます。例えば、ある会社の従業員の給与が100万円、200万円、300万円の場合、算術平均は200万円、中央値は200万円ですが、幾何平均は158.74万円となります。これは、給与のばらつきが大きい場合、算術平均や中央値はデータの平均的な傾向を正確に表さない可能性があることを示しています。
幾何平均の性質
幾何平均の性質
幾何平均には、いくつかの性質があります。例えば、幾何平均は、その平均の2乗が相乗平均に等しくなります。これは、[{\frac{a_{1}a_{2}}{2}}]^{2}=a_{1}a_{2}のように表すことができます。
また、幾何平均は、その平均の2乗が相乗平均に等しく、その平均の3乗が3乗平均に等しいという性質もあります。これは、[(\sqrt[3]{a_{1}a_{2}a_{3}})]^{2}=a_{1}a_{2}a_{3}のように表すことができます。
さらに、幾何平均は、平均の数が増えるにつれて、算術平均と調和平均の値に近づきます。これは、平均の数が増えると、算術平均が調和平均よりも大きくなるためです。
これらの性質は、幾何平均が、相乗平均や算術平均、調和平均などの他の平均とは異なる性質を持っていることを示しています。そして、これらの性質は、幾何平均をさまざまな分野の応用において有用なものにしています。
幾何平均の応用
幾何平均の応用は、金融や統計学、経済学など、さまざまな分野で見ることができます。例えば、金融では、運用資産の平均リターンを計算するために幾何平均が用いられます。これは、投資における複利の効果を考慮した平均リターンを表すためです。また、統計学では、データの平均値と中央値を比較するために幾何平均が用いられます。これは、平均値が外れ値の影響を受けやすいのに対し、幾何平均は外れ値の影響を受けにくいという特徴を有しているためです。さらに、経済学では、経済成長率を計算するために幾何平均が用いられます。これは、経済成長率が毎年変化するため、幾何平均を用いることで長期的な平均成長率を算出することができるからです。
算術平均との違い
算術平均との違い
幾何平均と算術平均は、どちらもデータの平均値を計算する方法ですが、その計算方法は異なります。算術平均は、データの値をすべて合計して、データの個数で割った値です。一方、幾何平均は、データの値をすべて掛け合わせて、データの個数乗根を取った値です。
データがすべて正の値の場合、幾何平均は算術平均よりも常に小さい値になります。これは、算術平均はデータのすべての値を合計するのに対し、幾何平均はデータのすべての値を掛け合わせるためです。データの値を掛け合わせることで、小さな値の影響が大きくなります。
したがって、データに極端に大きな値や小さな値が含まれている場合は、算術平均よりも幾何平均の方がデータの中心的な傾向をより良く表す場合が多くなります。例えば、ある会社の従業員の給与データがあったとします。このデータには、社長の給与のように極端に大きな値が含まれている場合が多くあります。この場合、算術平均は社長の給与の影響を受けて、データの中心的な傾向を正しく表さない可能性があります。一方、幾何平均は社長の給与の影響を受けにくく、データの中心的な傾向をより良く表すことができるでしょう。
幾何平均の例
幾何平均の例
幾何平均は、数字のリストにおける平均的な成長率を測定するのに役立ちます。 例えば、ある株の株価が200円から300円に上昇したとします。この場合、株価の上昇率は50%です。株価が300円から400円に上昇した場合は、株価の上昇率は33%です。この2つの株価の上昇率の幾何平均は、39.2%です。
幾何平均は、投資リターンの比較にも使用できます。 例えば、ある投資家が株式Aに投資し、その投資額が200万円から300万円に増加したとします。この場合、投資家のリターンは50%です。別の投資家が株式Bに投資し、その投資額が300万円から400万円に増加したとします。この場合、投資家のリターンは33%です。この2つの投資リターンの幾何平均は、39.2%です。
幾何平均は、経済成長率の比較にも使用できます。 例えば、ある国の経済成長率が2019年には2%、2020年には3%、2021年には4%だったとします。この場合、国の経済成長率の幾何平均は、2.83%です。