メタンとは? | 天然ガスや有機物の分解・発酵で生じる

先生、メタンってどんな気体ですか?

地球環境の専門家
メタンは、1気圧のもとで融点-182.5℃、沸点-161.5℃の無色の可燃性気体です。化学式はCH4で表されます。

メタンは、どこで発生するんですか?

地球環境の専門家
天然ガスの主成分であり、有機物が嫌気状態(酸素のない状態)で分解・発酵するときにも発生します。水田で稲わらが分解されるときや、牛などの反芻動物の胃の中で食物が消化されるときに生じます。
メタンとは。(理論)
「メタン」は、1気圧のもとで融点-182.5℃、沸点-161.5℃の無色の可燃性気体で、化学式はCH4です。天然ガスの主成分であり、有機物が嫌気状態(酸素のない状態)で分解・発酵する過程でも発生します。
メタンとは何か(応用)

メタンは、炭素原子1個と水素原子4個が結びついた、最も単純な構造の炭化水素(CH4)です。常温・常圧では無色無臭で水に溶けにくく、空気より軽い引火性の気体です。大気中では二酸化炭素に次いで温暖化への寄与が大きい温室効果ガスであり、平均濃度は産業革命前の約0.7ppmから現在の1.9ppm前後まで上昇しています。
- 石炭層に含まれる炭層メタン(コールベッドメタン、CBM)
- 海底や永久凍土域の地下に分布するメタンハイドレート由来のメタン
- 永久凍土の土壌中に閉じ込められているメタンなど
- 牛などの反芻動物の消化管で生成されるメタン
- 湿地や水田で生成されるメタン
- 埋立地で有機物が分解して生じるメタンなど
メタンは、身近なエネルギー資源であると同時に、排出削減が求められる温室効果ガスでもあります。
メタンの特徴

燃料としての最大の特徴は、発熱量の高さと燃焼時の清浄さです。完全燃焼すると二酸化炭素と水だけを生じ、標準状態(0°C・1気圧)での燃焼熱量は1立方メートルあたり約9,500キロカロリー(約39.8メガジュール)です。これは水蒸気の凝縮熱を含む「高位発熱量」で、含まない「低位発熱量」では約8,600キロカロリー(約35.9メガジュール)となります。単位重量あたりでは約55.5メガジュール/キログラム(高位発熱量)に達し、石炭や石油を上回ります。
また、分子に占める炭素の割合が小さいため、同じ熱量を得る際の二酸化炭素排出量は石炭の約6割、石油の約8割にとどまります。この優位性が、天然ガスを脱炭素への移行期のエネルギー源と位置づける根拠となってきました。ただし、燃やされずに大気中へ漏れ出したメタンは強力な温室効果ガスとして働くため、環境面での評価は供給過程での漏出量に大きく左右されます。
メタンの用途

最も重要な用途は、燃料としての利用です。天然ガスの主成分として、都市ガスや工業燃料、発電・暖房・調理などに広く使われています。圧縮天然ガス(CNG)や液化天然ガス(LNG)として自動車や船舶の燃料にも利用されるほか、有機物の嫌気発酵で得られるバイオガスの主成分としても発電や暖房に活用されています。
もう一つは、化学原料としての利用です。メタンは水蒸気改質によって合成ガス(水素と一酸化炭素の混合ガス)に変換され、そこからメタノールやアンモニアといった基礎化学品が作られます。アンモニアは窒素肥料の主原料に、メタノールは樹脂・接着剤・医薬品などの中間原料になります。改質で得られた水素は、燃料電池車や燃料電池発電にも使われます。
天然ガスの需要は、国際エネルギー機関(IEA)などの見通しでは短中期的に拡大が続くとされますが、その水準は各国の気候政策の進み方に大きく左右されます。利用が広がるほど、採掘から消費までの各段階で生じる排出をいかに抑えるかが問われます。
メタンの環境への影響

第一に、強力な温室効果ガスとして地球温暖化に大きな影響を及ぼします。メタンの100年間の地球温暖化係数(GWP100)はIPCC評価報告書の更新ごとに見直されており、二酸化炭素の約25倍(第4次評価報告書)、約28〜34倍(第5次)、第6次では化石燃料由来が約29.8倍、生物由来が約27.2倍と報告されています。化石燃料由来と生物由来で値が異なるのは、化石燃料由来のメタンが大気中で分解し二酸化炭素に変わる際、その温暖化効果が上乗せされるためです。大気中の寿命は約12年と二酸化炭素より短い一方、単位質量あたりの効果は大きく、削減効果は数十年という短期間で現れます。この即効性から、メタン削減は短中期的な温暖化対策の鍵とされています。
第二に、大気中の化学反応を通じて対流圏オゾンの生成に寄与します。ただし反応性が低いため、都市部で短時間に発生する光化学スモッグの直接の原因物質としては扱われず、大気化学ではメタンを除いた「非メタン揮発性有機化合物(NMVOC)」が原因物質として区別されています。メタンが影響するのは、地球規模で長期的に上昇する対流圏オゾンの濃度です。対流圏オゾンは人体や農作物に悪影響を及ぼすほか、それ自体も温室効果ガスとして働きます。
さらに、成層圏に達したメタンは酸化されて水蒸気を生成し、成層圏の水蒸気の主要な供給源となっています。一方、塩素原子と反応してオゾンを破壊しにくい塩化水素に変える働きも持つため、オゾン層への正味の影響は複雑だと考えられています。
メタンの削減策

国際的な枠組みとしては、2021年のCOP26で「グローバル・メタン・プレッジ」が発足し、2030年までに世界全体の排出量を2020年比で30%削減する目標に150か国以上が賛同しています。
その一つが、家畜のゲップや排泄物に由来する排出の抑制です。反芻動物の消化管でメタンを生成する微生物(メタン生成菌)の働きを抑える飼料添加物の開発や、排泄物管理の改善が進んでいます。水田では、水を抜く「中干し」の期間を延長して土壌を酸素にさらす手法が有効とされ、日本ではJ-クレジット制度の対象にもなっています。
また、化石燃料の採掘・輸送・使用段階で生じる漏出(リーク)の管理強化も、費用対効果の高い対策として重視されています。近年は人工衛星による監視が実用化され、大規模な漏出を早期に発見して補修する取り組みが広がっています。再生可能エネルギーの導入拡大やエネルギー効率の向上によって化石燃料の使用量そのものを減らすことも、削減につながります。
加えて、廃棄物の埋立地も主要な排出源の一つです。生ごみなど有機物の埋立てを減らす分別・リサイクルの促進や、埋立地から発生するガスを回収して発電などに利用する取り組みが進められています。


