塩化ビニルの定義とは?用途やメリット・デメリットなどを詳しく解説
先生、塩化ビニルってどんなものですか?
地球環境の専門家
塩化ビニルとは、ポリ塩化ビニルの通称で、プラスチックの一種です。塩化ビニル樹脂とも呼ばれます。
はどんな特徴があるんですか?
地球環境の専門家
塩化ビニルは、軽量で丈夫で、耐水性が高いのが特徴です。そのため、さまざまな製品に使用されています。
塩化ビニルとは
「塩化ビニル」は、正確には塩化ビニル(クロロエチレン)のモノマー CH2=CHCl を指しますが、日本では、それが高分子化合物(ポリマー)になったポリ塩化ビニル(PVC)[-CH2-CHCl-]n の慣用名として用いられることが多くなっています。そこで、この記事では、ポリ塩化ビニルの慣用名としての塩化ビニルについて解説します。
ポリ塩化ビニル(以下、塩化ビニル)の歴史
ポリ塩化ビニル(以下、塩化ビニル)は、エチレンと塩素から作られる合成樹脂です。 プラスチックの仲間で、非常に汎用性が高く、さまざまな製品に使用されています。塩化ビニルは、1872年にドイツの科学者、オイゲン・バウマンによって最初に合成されました。しかし、その当時は大量に生産することができず、実用化には至りませんでした。
1920年代になって、塩化ビニルの量産が可能になり、さまざまな製品に使用されるようになりました。塩化ビニルは、耐薬品性、耐熱性、耐摩耗性に優れており、軽量で加工しやすいという特徴を持っています。 また、比較的安価であるため、さまざまな製品に使用されるようになり、現在では、世界で最も広く使用されているプラスチックの一つとなっています。
塩化ビニルの用途
塩化ビニルは、その優れた特性から、生活の様々な場面で幅広く利用されています。主に、パイプ・窓枠・床材・自動車部品・電気配線・食品包装など、様々な製品に使用されています。
塩化ビニルのパイプは、軽量で耐久性に優れており、水道管や排水管、電気配線用管など、様々な配管に使用されています。
塩化ビニルの窓枠は、気密性と断熱性に優れており、住宅やビルなどの窓枠として広く使用されています。
塩化ビニルの床材は、耐久性に優れており、病院や学校、オフィスなどの公共施設や、住宅の床材として広く使用されています。
塩化ビニルの自動車部品は、軽量で耐久性に優れており、車体の外装部品や内装部品、電気配線部品など、様々な部品に使用されています。
塩化ビニルの電気配線は、耐熱性に優れており、電気配線用の絶縁材として広く使用されています。
塩化ビニルの食品包装は、透明性と耐湿性に優れており、食品の鮮度を保つために広く使用されています。
塩化ビニルのメリット
塩化ビニルの主なメリットを、以下にまとめました。
* 強度と耐久性に優れている
自動車のパーツや建材など、強度と耐久性が求められる用途に使用されています。
* 軽量
輸送や設置が容易
* 成形しやすい
様々な形状の製品を製造することができます。
* 低コスト
コスト削減にも貢献します。
* 耐薬品性が高い
* 難燃性がある
化学工業や電気工業など、薬品や火気にさらされる用途に使用されています。
* 絶縁性がある
電気配線やケーブルの被覆材としても使用されています。
塩化ビニルのデメリット
塩化ビニルは安価で用途の広いプラスチックですが、いくつかのデメリットがあります。
第一に、塩化ビニルを製造する過程で、塩素ガスやビニルクロリドなどの有害物質が発生します。これらの物質は、環境を汚染し、人体にも有害です。
第二に、塩化ビニルは燃焼すると有毒ガスを発生します。このガスは、呼吸器系や皮膚を刺激し、最悪の場合、死亡に至ることもあります。
第三に、塩化ビニルは生分解されず、環境中に長期間残留します。これは、海洋生物や野生動物に悪影響を及ぼす可能性があります。
第四に、塩化ビニルは軟化剤や安定剤などの添加物が含まれており、これらの添加物は時間の経過とともに劣化します。劣化すると、塩化ビニルは脆くなり、破損しやすくなります。
最後に、塩化ビニルをリサイクルすることは困難です。そのため、廃棄された塩化ビニルは、焼却されたり、埋め立てられたりします。これにより、環境汚染はさらに悪化します。
塩化ビニルのリサイクル
塩化ビニルは、その耐久性と汎用性の高さから、幅広い製品に使用されていますが、廃棄後の処理が課題となっています。
塩化ビニルのリサイクル(使用済み塩化ビニル製品を再利用・再資源化する)方法には、主に以下のようなものがあります。
* 機械的リサイクル
使用済み製品を粉砕・洗浄し、再生原料として再利用する方法です。再生原料は、新しい塩化ビニル製品の製造に使用することができます。
* 化学的リサイクル
使用済み製品を化学的に分解し、塩化ビニルモノマーや他の化学物質を回収する方法です。回収された塩化ビニルモノマーは、新しい塩化ビニル製品の製造に使用することができます。
* エネルギー回収
使用済み製品を焼却してエネルギーを回収する方法です。焼却によって得られた熱を、熱エネルギーや電気として使用します。
塩化ビニルをリサイクルすることで、廃棄物の削減や資源の有効活用に貢献することができます。特に、日本においては、塩化ビニルのリサイクルは比較的進んでいます。塩化ビニルを不完全燃焼させた場合は、ダイオキシンを発生させる可能性があるため、焼却処分には注意が必要です。(現在のごみ焼却施設は、高温で完全燃焼できるようになり、その発生は大幅に抑えられています)。