純バイオーム生産(純生物相生産)について知ろう

先生、純生物相生産とは何ですか?

地球環境の専門家
純生物相生産(NBP:Net Biome Production)とは、ある地域の生態系における炭素収支の最終的な純増減を示す指標です。日本語では、純バイオーム生産と訳されることも多いです。光合成による炭素固定から動植物や土壌微生物の呼吸による放出を差し引いた純生態系生産(NEP)に加えて、森林火災や伐採、洪水による流出といった撹乱に伴う炭素損失も差し引いて求められます。

なるほど、光合成と呼吸のバランスに加えて、撹乱による炭素損失まで考慮した値ということですね。

地球環境の専門家
そのとおりです。純生物相生産は、森林や草原などの生態系が長期的に炭素の吸収源として働いているのか、放出源となっているのかを評価するうえで重要であり、地球温暖化の緩和を考えるうえでも欠かせない概念です。
純バイオーム生産(純生物相生産)とは。[用語の定義]
「純バイオーム生産(純生物相生産:NBP)」とは、ある地域の生態系における炭素の純増減を表す指標で、長期的・広域的な二酸化炭素(CO₂)吸収量を評価するために用いられます。一定期間(通常1年間)の純生態系生産(NEP)から、森林火災、伐採、撹乱、流出などによる炭素損失を差し引いて算出します。
純バイオーム生産(純生物相生産)とは何か [概要]

純バイオーム生産(純生物相生産)は、生態系全体としての炭素収支を表す概念です。その基礎となる光合成では、植物や藻類、一部の細菌などが太陽光をエネルギー源として、大気中の二酸化炭素と水から有機物を生成します。生み出された有機物は、それらの生物自身の成長や繁殖に使われるほか、他の生物の栄養源にもなります。
光合成によって固定された炭素の一部は、植物や動物、微生物の呼吸によって再び大気へ戻され、さらに森林火災や撹乱、流出によっても失われます。これらすべてを差し引いて残る正味の炭素収支が純バイオーム生産であり、生態系が長期的に大気中の二酸化炭素をどれだけ吸収・蓄積しているのかを示します。
またこの一連のプロセスは、食物連鎖や物質循環の基盤でもあります。植物や藻類が生産した有機物は動物の栄養源となり、やがて分解されて土壌や水中に戻り、再び植物に利用されます。こうしたサイクルが、地球上の生態系のバランスを支えています。
純バイオーム生産(純生物相生産)の算出方法

純バイオーム生産は、炭素の収支を段階的に捉えると理解しやすくなります。まず、植物が光合成によって固定した有機物の総量を総一次生産量(GPP)といいます。ここから植物自身の呼吸による損失を差し引いたものが純一次生産量(NPP)であり、さらに土壌微生物や動物による呼吸を差し引いたものが純生態系生産(NEP)です。
純バイオーム生産(純生物相生産:NBP)は、この純生態系生産から、森林火災や伐採、害虫被害、洪水による流出など、撹乱に伴う炭素損失をさらに差し引いた値です。NEPが短期的・局所的な炭素収支を示すのに対し、NBPはより長い時間スケール、より広い空間スケールにおける生態系の炭素吸収・放出を表す点に特徴があります。
NBPが正の値であれば、その生態系は全体として大気中の二酸化炭素を吸収して炭素を蓄えていることを意味し、負であれば放出源となっていることを意味します。
純バイオーム生産(純生物相生産)の重要性

純バイオーム生産は、生態系が炭素の吸収源として機能しているのか、放出源となっているのかを評価する指標であり、地球温暖化の緩和を考えるうえで大きな意味を持ちます。森林や草原、海洋などの生態系が炭素を蓄える力は、大気中の二酸化炭素濃度を直接左右するからです。
さらに、光合成による一次生産は食物連鎖の出発点でもあり、生態系全体にエネルギーと栄養を供給する基盤となっています。植物が二酸化炭素を吸収して酸素を放出する働きは、動物の呼吸や水・栄養循環の維持にも欠かせません。
したがって、NBPが大きく低下すれば、生態系全体の炭素吸収力が弱まり、気候変動の進行や生物多様性の損失を招きかねません。純バイオーム生産は、生物の生存と生態系の安定を見通すうえで不可欠な指標といえます。
純バイオーム生産(純生物相生産)に影響を与える要因

光:光合成の速度は、光の強度、日照時間、光の質によって変わります。
温度:温度は植物の成長と光合成速度に影響します。一般に適温の範囲では温度が上がるほど反応は活発になりますが、高温になりすぎるとかえって光合成は低下します。
水:水は植物の生長に不可欠です。水不足になると気孔が閉じ、光合成が滞って成長が阻害されます。
二酸化炭素:二酸化炭素は光合成の原料であり、一定の範囲では濃度が高いほど光合成速度が高まります。
栄養素:植物は窒素、リン、カリウムなどの栄養素を必要とし、これらが不足すると成長が阻害されます。
害虫や病気:害虫や病気が発生すると、葉が傷つくなどして光合成能力が低下し、成長が遅くなります。
撹乱:森林火災、伐採、暴風、洪水などの撹乱は、蓄積された炭素を一度に大気へ放出するため、純バイオーム生産を大きく押し下げる要因となります。
これらの要因は互いに関連し合い、複雑な相互作用を通じて純バイオーム生産を決定します。農業や林業の現場でも、これらの要因を適切に管理することが生産性の維持・向上につながります。
純バイオーム生産(純生物相生産)を高めるためにできること

純バイオーム生産は、おもに陸域の生態系における炭素収支をはかるために用いられる概念です。ですが、陸域のみならず、水域でも植物の光合成で固定された有機物が損失することはありえます。
1. 森林を保全・再生する
森林は陸域における最大の炭素吸収源の一つです。植林や再造林、適切な間伐によって健全な森林を維持することは、長期的に炭素を蓄積し、純バイオーム生産を高めることにつながります。森林火災や違法伐採を防ぐ取り組みも重要です。
2. 土壌を健全に保つ
土壌には大量の有機炭素が蓄えられています。被覆作物の利用や不耕起栽培、堆肥の活用などによって土壌の有機物を増やすことは、農地における炭素貯留と生産性の向上の両方に寄与します。
3. 水質を改善する
湖沼や沿岸域では、水質を改善することで植物プランクトンや海藻類など一次生産者の健全な成長を支えることができます。生活排水や農業排水に由来する汚染物質の削減が有効です。ただし、過度な栄養塩の流入は富栄養化を招き、かえって生態系を悪化させるため、バランスのとれた管理が必要です。
4. 生態系全体を保護する
森林や草原はもちろん、河川・湖沼・湿地・サンゴ礁・マングローブなどの生態系も含めて保全することは、純バイオーム生産を支える基盤となりえます。生息地が失われたり水質が悪化したりすると、一次生産者の生育環境が損なわれ、生態系全体の炭素吸収能力が低下してしまいます。生物多様性を守ることが、結果として純バイオーム生産を高めることにつながります。


