エルニーニョ現象の仕組みと影響

エルニーニョって何ですか?

地球環境の専門家
エルニーニョとは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沿岸にかけての広い海域で、海面水温が平年より高くなり、その状態が半年から1年半ほど続く現象のことです。

なぜ「エルニーニョ」と呼ばれるんですか?

地球環境の専門家
ペルー沿岸で海水温の上昇がクリスマス頃に顕著になることが多かったため、現地の漁師たちがスペイン語で「幼子イエス・キリスト(神の子)」を意味する「エルニーニョ」と名付けたのが由来です。(なお、El Niño を el niño と小文字で表記すると、「男の子」という意味になります。)
エルニーニョとは。
エルニーニョとは、太平洋赤道域の中央部(日付変更線付近)から南米のペルー沿岸にかけての広い海域で、海面水温が平年に比べて高い状態が半年から1年半ほど続く現象です。
これと対になる現象が、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続くラニーニャ現象(スペイン語で「女の子」の意)です。両者はそれぞれ数年おきに発生し、世界の天候に影響を与えます。
エルニーニョ現象とは?

エルニーニョ現象は、おおむね2〜7年の間隔で発生しますが、その規模や継続期間は発生ごとに異なります。
海面水温の上昇は大気の循環や気圧配置を変化させ、世界各地で異常気象を引き起こす要因となります。そのため、気候変動の研究や予測において重要な監視対象とされています。
エルニーニョ現象のメカニズム

エルニーニョ現象は一般に春から夏にかけて発達し、北半球の冬(11月〜1月頃)にピークを迎え、翌年の春から夏にかけて減衰する傾向があります。
- 通常、太平洋赤道域では東から西へ吹く貿易風によって暖かい海水が西側に吹き寄せられ、西太平洋の海面水温が高く、東太平洋の海面水温は低い状態が保たれています。
- ところが、何らかの要因で貿易風が弱まると、西側に溜まっていた暖かい海水が東側へ広がり、東太平洋の海面水温が上昇します。
- この海面水温の変化は、上空の大気循環(ウォーカー循環)にも影響を与え、世界各地の天候を変化させます。
- 通常時:太平洋東部の海面水温は低く、西部は高い。
- 貿易風の弱まりにより、東太平洋の海面水温が上昇する。
- 海面水温の分布変化が大気循環を変化させる。
- 大気循環の変化が世界各地で異常気象を引き起こす。
このように、エルニーニョ現象は海洋と大気が相互に作用して生じる大気海洋結合現象です。
エルニーニョ現象の影響

気候への影響
エルニーニョ現象が発生すると、世界の平均気温が一時的に上昇する傾向があります。東太平洋の広い海域で海面水温が上がることで大気中の水蒸気量や熱の分布が変わり、降水パターンも変化して、地域によっては干ばつや多雨・洪水が起きやすくなります。なお、日本では一般に「冷夏・暖冬」になりやすい傾向があります。
自然災害
大気循環の変化に伴い、地域によって干ばつ、豪雨、洪水などの発生頻度や規模が増加する可能性があります。一方で、大西洋におけるハリケーン活動はエルニーニョ期にはむしろ抑制される傾向があるなど、影響の現れ方は地域によって異なります。
農業生産
降水パターンや気温の変化は、作物の収穫量や品質に影響を与える可能性があります。干ばつや洪水といった気象災害が農作物に被害をもたらし、食料供給や価格に影響するケースも見られます。
漁業資源
エルニーニョ現象は、魚類の分布や資源量に大きな影響を与えます。特にペルー沖では、通常深層から栄養豊富な冷水を運ぶ湧昇流がエルニーニョ時には弱まり、表層水温の上昇とあいまって、カタクチイワシ(アンチョビ)などの漁獲量が大きく減少することが知られています。
エルニーニョ現象と気候変動

- エルニーニョ現象:貿易風の弱まりによって熱帯太平洋の海面水温分布が変化することで生じる、数か月から1年半程度の自然な気候の変動です。
- 気候変動:主に人間活動によって排出される温室効果ガスの増加が原因とされる、地球の平均気温の長期的な上昇とそれに伴う気候システムの変化を指します。
両者の最も大きな違いは、その駆動要因にあります。エルニーニョ現象が地域的・一時的に豪雨や干ばつなどの極端現象のリスクを高めるのに対し、人為起源の気候変動は海面上昇、氷河の融解、極端現象の増加、生態系の変化など、より長期的かつ広範な影響を、農業や生態系、人間の健康にまで及ぼします。
近年では、気候変動の進行がエルニーニョ現象の頻度や強度にも影響を及ぼす可能性が指摘されており、両者は相互に関連しながら地球の気候を左右していると考えられています。
エルニーニョ現象の予測と対策

- 観測データ:海洋観測ブイ(TAOブイ網等)、アルゴフロート、観測船、人工衛星などによって収集される、海面下数百mまでの水温、海流、赤道上の貿易風、大気圧などが含まれます。
- 数値予測モデル:海洋と大気の相互作用をシミュレーションすることで、エルニーニョ現象の発生やその影響を予測します。
- ダムや貯水池の整備による水資源の確保
- 干ばつや洪水を考慮した作物の選定や灌漑設備の整備による、農業生産の調整
- 魚介類の回遊・分布パターンの変化を踏まえた漁獲量や漁期の設定による、漁業管理
- 温室効果ガスの排出削減、
- 再生可能エネルギーの導入
- 森林保全


