改正地球温暖化対策推進法とは?

改正地球温暖化対策推進法について教えてください。

地球環境の専門家
改正地球温暖化対策推進法は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量削減を目的とした法律です。

具体的にはどのような内容ですか?

地球環境の専門家
改正地球温暖化対策推進法には、温室効果ガスの排出量削減目標や、その削減に向けた施策などが定められています。2021年の改正では「2050年カーボンニュートラル」が基本理念として法律に位置づけられ、これと整合する形で、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減する目標に沿った取り組みが進められています。その後も改正は重ねられ、直近では2024年(令和6年)にも改正が行われました。
改正地球温暖化対策推進法とは。
「改正地球温暖化対策推進法」は、地球温暖化対策の推進に関する法律(1998年制定)を改正したものの総称です。
1997年のCOP3で京都議定書が採択され、その運用ルールがCOP7(2001年・マラケシュ合意)で固められたことなどを背景に、日本は2002年に京都議定書を締結しました。これを受け、議定書を的確かつ円滑に実施するため、同年に地球温暖化対策推進法は大きく改正されています(京都議定書目標達成計画の策定など)。
その後も複数回の改正が重ねられ、とくに2021年には、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」が基本理念として新たに法定化されました。直近の2024年(令和6年)改正でも、国際・国内の両面から対策を強化する措置が盛り込まれ、2025年4月から順次施行されています。
改正地球温暖化対策推進法の概要

2024年(令和6年)に成立した改正地球温暖化対策推進法は、2021年改正で基本理念に掲げられた「2050年カーボンニュートラル」の実現を、国内外の両面からいっそう加速させるためのものです。2024年6月12日に成立、同月19日に公布され、一部を除いて2025年(令和7年)4月1日から施行されました。
- 国際面:海外での温室効果ガスの排出削減・吸収量を日本の貢献分として活用できる、二国間クレジット制度(JCM)の実施体制を強化
- 国内面:地域と共生する再生可能エネルギーの導入を後押しする、地域脱炭素化促進事業制度を拡充
海外との協力と国内のグリーン投資を両輪に、日本の国際的な温室効果ガス排出削減目標への貢献と持続可能な社会の実現を支える重要な法律といえます。
改正地球温暖化対策推進法の目的

改正された地球温暖化対策推進法の目的は、地球温暖化対策を推進し、温室効果ガスの排出削減とカーボンニュートラルや脱炭素社会の実現を図ることにあると考えられます。あわせて、気候変動の影響を最小限に抑えて良好な生活環境を確保し、経済と環境を調和させながら推進することも目指していると言えます。
これらを達成するため、温室効果ガスの排出削減目標や削減計画の策定、排出削減に資するエネルギー源・技術の開発・普及、消費者行動の促進などの施策が講じられています。
改正地球温暖化対策推進法の具体的な内容

令和6年改正の位置づけ:
この改正法(令和6年法律第56号)は、パリ協定に基づく日本の温室効果ガス削減目標(NDC)の確実な達成と、2050年ネット・ゼロの実現に向けて、国内外で地球温暖化対策を加速することを狙いとしています。
二国間クレジット制度(JCM)の実施体制の強化:
JCMは、日本とパートナー国が技術・資金の面で協力して温室効果ガスの排出削減・吸収に取り組み、その成果を両国の貢献度に応じて分け合う仕組みです。今回の改正では、JCMクレジット(国際協力排出削減量)の発行や口座簿の管理に関する主務大臣の手続が法律上に位置づけられ、これまで政府と複数の事業者が分担してきた運営業務が一本化されました。
指定法人制度(指定実施機関制度)の創設:
主務大臣に代わってJCMクレジットの発行・管理を担う指定法人(指定実施機関)の制度が新設されました。これに基づき、2025年4月1日には指定実施機関「JCM Agency(JCMA)」として公益財団法人地球環境センターが指定され、業務を開始しています。
地域脱炭素化促進事業制度の拡充:
地域と共生する再生可能エネルギーの導入をさらに後押しするため、令和3年改正で設けられた地域脱炭素化促進事業制度が拡充されました。再エネ促進区域を都道府県と市町村が共同で設定できるようになり、複数の市町村にまたがる地域脱炭素化促進事業計画の認定も可能になりました。
改正地球温暖化対策推進法の意義

改正地球温暖化対策推進法は、地球温暖化対策をいっそう強化するために整備された法律です。
改正地球温暖化対策推進法の意義は、大きく分けて以下の3つです。
1つ目は、地球温暖化対策の基本的な方針を法律で明確に定めたことです。2050年カーボンニュートラルという長期目標を法定化し、その達成に向けた具体的な施策を体系的に位置づけています。
2つ目は、国や地方公共団体、事業者などの責務を明確化したことです。それぞれの責務を示すことで、地球温暖化対策を推進するための連携を強化しています。
3つ目は、地球温暖化対策に関する情報を国民に提供し、対策への理解と参加を促進することです。情報公開や普及啓発に関する規定を整え、国民一人ひとりの行動につなげることを重視しています。
改正地球温暖化対策推進法の課題

- 2021年の地球温暖化対策計画は、温室効果ガス排出量の目標を「2030年度に2013年度比46%削減」とし、
- さらに2025年の地球温暖化対策計画では、「2035年度60%、2040年度73%削減」という目標を掲げています。
これを達成するには、再生可能エネルギーの導入や省エネ対策を大幅に強化しなければなりません。
一方で、本法律だけでは、これらの対策をどのように進めるのか十分に示し切れていない面もあります。
- 第6次計画(2021年)が2030年度の電源構成に占める再生可能エネルギーの比率を36~38%に高める目標を設定し、
- 2025年2月に閣議決定された第7次計画では2040年度に40~50%へ拡大し、初めて最大の電源と位置づけました。
しかし、これらを確実に実現するための制度設計や支援策の具体化は今後の課題です。省エネ対策についても、建築物や産業部門における規制強化や投資促進策の具体化が引き続き求められています。
さらに、気候変動の悪影響から国民生活を守る適応策が十分に盛り込まれていないとの指摘もあります。適応策を定めた気候変動適応法は別途あるものの、制度間の連携が欠かせません。近年は豪雨や台風などの自然災害が各地で増えており、こうした災害から暮らしを守る政策のさらなる拡充が求められます。
課題は山積していますが、地球環境を守るには、一人ひとりが環境問題に目を向け、行動していくことが大切です。改正地球温暖化対策推進法が気候変動対策で大きな役割を果たすためにも、政府にはこれらの課題を早急に解決し、対策を力強く推進していくことが求められます。


