バリ・ロードマップとは?その内容と意味を解説

先生、『バリ・ロードマップ』について教えてくれませんか?

地球環境の専門家
『バリ・ロードマップ』は、京都議定書の第一約束期間後の国際的な気候変動対策の枠組みについて、2009年までに合意することを目指した交渉の工程表です。2007年にインドネシアのバリ島で開催された国連気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)と京都議定書第3回締約国会合(COP/MOP3)で採択されました。

『ポスト京都』の枠組みとは、京都議定書に代わる新しい国際的な枠組みのことですか?

地球環境の専門家
そうです。『バリ・ロードマップ』は、京都議定書の第一約束期間(2008年~2012年)以降の国際枠組みを構築するための交渉プロセスを定めたものであり、ポスト京都の枠組みづくりに向けた重要な合意として位置づけられています。
バリ・ロードマップとは。
「バリ・ロードマップ」とは、気候変動に関する国際会議であるCOP13およびCOP/MOP3において採択された一連の決定文書です。2009年までの合意を目指して、いわゆる「ポスト京都」の枠組みについてのスケジュールや論点を整理した工程表であり、条約のもとに新たに特別作業部会(AWG-LCA)を設置して議論を進めることが定められました。
議論の対象には、グローバルな長期目標の検討、すべての先進国の取り組みの比較可能性、途上国の緩和に関する行動、森林減少・劣化からの排出削減、セクター別アプローチ、適応、脆弱な国々への国際協力、革新的技術開発の協力、資金協力などが含まれています。
バリ・ロードマップとは何か?

バリ・ロードマップとは、2007年12月にインドネシアのバリ島で開催された国連気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)で採択された、気候変動対策の新たな国際枠組みづくりに向けた交渉の道筋を示す決定文書です。このロードマップは、京都議定書の第一約束期間(2008年~2012年)以降の枠組みについて、2009年のCOP15までに合意することを目指して、交渉のスケジュールや論点を整理することを目的としています。
バリ・ロードマップの中核となるのが「バリ行動計画(Bali Action Plan)」です。これは、(1)共有のビジョン(長期目標)、(2)緩和(排出削減)、(3)適応、(4)技術、(5)資金という5つの柱に沿って交渉を進めることを定めています。
京都議定書は、1997年に採択された気候変動対策の国際的な枠組みであり、先進国に温室効果ガス排出削減義務を課しています。しかし、第一約束期間が2012年に終了することを踏まえ、その後の枠組みについて交渉を進める必要があり、バリ・ロードマップはその交渉プロセスを正式に開始した点で大きな意義を持ちます。先進国と途上国がともに参加する形で議論が進められることになり、後のパリ協定(2015年採択)につながる議論の出発点となりました。
バリ・ロードマップが採択された背景

バリ・ロードマップが採択された背景には、京都議定書の第一約束期間が2012年に終了することを控え、その後の国際的な気候変動対策の枠組みをどう構築するかという課題がありました。
京都議定書は先進国にのみ排出削減義務を課す枠組みであったため、米国の不参加や、急速に排出量を増加させていた中国・インドなどの新興国・途上国が削減義務を負わないことに対して、実効性を疑問視する声が高まっていました。また、2007年に公表されたIPCC第4次評価報告書では、地球温暖化の進行とその深刻な影響が改めて科学的に確認され、より広範な国際協力の必要性が明確になりました。
こうした背景のもと、COP13では、先進国と途上国の双方が参加する新たな枠組みづくりに向けた交渉プロセスを開始することが合意されました。バリ・ロードマップでは、緩和・適応・技術移転・資金支援を主要な柱として交渉を進めることが定められ、特に途上国に対する技術移転や資金支援、森林減少・劣化からの排出削減(REDD)などが重要な論点として位置づけられました。
バリ・ロードマップの内容

バリ・ロードマップは、国際社会が気候変動問題への取り組みを強化していくための指針となるものであり、2007年にインドネシアのバリ島で開催された国連気候変動枠組条約第13回締約国会議(COP13)で採択されました。
その中核となる「バリ行動計画」では、次の5つの要素を中心に交渉を進めることが定められました。
バリ行動計画における5つの主要要素
- 共有のビジョン:長期的な協力行動のための共通の目標
- 緩和:先進国・途上国それぞれの排出削減に関する行動
- 適応:気候変動の影響への適応に関する行動
- 技術開発・移転:緩和・適応を支える技術協力
- 資金:途上国支援のための資金提供
また、交渉を進める場として、条約のもとに「条約の下での長期的協力の行動に関する特別作業部会(AWG-LCA)」を新たに設置し、京都議定書の下にすでに設置されていた特別作業部会(AWG-KP)と並行して議論を行うこととされました。これらの交渉は、2009年のCOP15(コペンハーゲン会議)での合意を目指して進められました。
バリ・ロードマップの実施状況

バリ・ロードマップに基づく交渉は、2008年以降、AWG-LCAおよびAWG-KPの両特別作業部会を中心に進められました。当初は2009年のCOP15(コペンハーゲン会議)での包括的な合意を目指していましたが、先進国と途上国の間で削減目標の在り方や資金支援の規模をめぐる対立が解消されず、法的拘束力のある合意には至りませんでした。
COP15では「コペンハーゲン合意」が留意されるにとどまりましたが、その後のCOP16(カンクン会議、2010年)では「カンクン合意」が採択され、産業革命前と比較して気温上昇を2℃以内に抑える長期目標、途上国支援のための緑の気候基金(GCF)の設立、技術メカニズムの設置などが定められました。
その後、2011年のCOP17では新たな法的枠組みの構築に向けた「ダーバン・プラットフォーム」が立ち上げられ、最終的には2015年のCOP21において、すべての国が参加する画期的な枠組みであるパリ協定が採択されました。
このように、バリ・ロードマップは当初の目標どおりCOP15での包括合意は実現できなかったものの、その後の国際交渉の基礎を築き、パリ協定へとつながる重要なプロセスを切り開いた点で、大きな役割を果たしました。
バリ・ロードマップの意義

バリ・ロードマップの意義は、大きく分けて3つに整理できます。
第一に、先進国と途上国がともに参加する新たな枠組みづくりに向けた交渉を正式に開始したことです。京都議定書では先進国のみに排出削減義務が課されていましたが、バリ・ロードマップは、途上国も含めたすべての国が気候変動対策に取り組むための国際協力の出発点となりました。
第二に、気候変動対策における主要な論点を体系的に整理したことです。バリ行動計画では、共有のビジョン、緩和、適応、技術、資金という5つの柱が示され、その後の国際交渉の枠組みとして広く機能しました。特に、途上国の適応支援や、技術移転・資金協力の重要性を明確に位置づけたことは大きな前進でした。
第三に、その後のパリ協定につながる交渉プロセスを切り開いたことです。バリ・ロードマップで開始された交渉は、カンクン合意やダーバン・プラットフォームを経て、2015年のパリ協定採択へと結実しました。すべての国が排出削減目標(NDC)を提出し、定期的に見直す仕組みは、バリ・ロードマップで議論が始められた要素を発展させたものといえます。
このように、バリ・ロードマップは、現在の国際的な気候変動対策の枠組みの礎を築いた歴史的に重要な合意であると評価されています。


