民間取組等と連携した自然環境保全について

先生、民間取組等と連携した自然環境保全(OECM)とは何ですか?

地球環境の専門家
OECM(Other Effective area-based Conservation Measures)は、保護地域以外で生物多様性の保全に貢献する地域を指す概念で、2010年の生物多様性条約 COP10で採択された愛知目標11に位置づけられました。日本語の定訳はありませんが、民間企業や市民団体などの活動によって、結果的に自然環境の保全に資する区域を評価・認定する仕組みです。

OECMの具体的な活動にはどのようなものがありますか?

地球環境の専門家
具体的には、企業の所有する社有林や水源林の管理、里地里山の保全、ビオトープや都市の緑地の維持などが挙げられます。日本では環境省が「自然共生サイト」として認定する制度を2023年度から開始しており、認定区域は将来的に国際データベース上のOECMとして登録される予定です。あわせて、環境教育や啓発活動を通じて人々の自然環境に対する意識を高めることも重要です。
民間取組等と連携した自然環境保全とは。
「民間取組等と連携した自然環境保全」とは、2010年の生物多様性条約 COP10で採択された愛知目標11に示されたOECMの概念に基づき、民間企業、NPO、地域社会などが連携して自然環境を保全する取り組みを指します。なお、OECMに日本語の定訳はありません。
民間取組等と連携した自然環境保全とは

従来の自然環境保全は、国や地方公共団体が主導して進められてきました。これに対し、民間取組等と連携した自然環境保全では、民間企業や団体といった民間セクターの参画により、より効果的で効率的な保全の実現が期待されています。参画の形態には資金提供、技術提供、人材提供などさまざまなものがあり、それぞれの主体が持つ強みや資源を活かした保全活動が展開されています。
愛知目標11とは

愛知目標とは、2010年10月に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において採択された「戦略計画2011-2020」に掲げられた20の個別目標を指します。生物多様性と生態系の保全および持続可能な利用を推進し、生物多様性の喪失を食い止めるため、各国に達成への努力が求められました。
このうち愛知目標11は、「2020年までに、少なくとも陸域の17%、沿岸・海域の10%を、効果的かつ公平に管理された保護地域システムやその他の効果的な地域をベースとする手段(OECM)によって保全する」ことを目指すものです。生物多様性と生態系の保全に不可欠な地域を確実に守ることが、その狙いといえます。
達成のためには、各国が自然保護区や海洋保護区などの保護区を指定・拡大し、効果的に管理していく必要があります。加えて、保護区以外の地域でも生物多様性に配慮した土地利用や開発が求められ、その実施には地元住民の理解と協力が欠かせません。
民間取組等と連携した自然環境保全の重要性

森林や里山をはじめとする自然環境は、人間の生命を育み、食料や水、清らかな空気など暮らしに必要な資源を提供してくれます。しかし近年、開発や汚染、気候変動などの影響により、自然環境は急速に失われつつあります。
こうした自然環境の破壊は、人間の生活に直接の影響を及ぼします。森林が失われれば洪水や土砂崩れの危険性が高まり、里山が荒廃すれば生物多様性が損なわれて生態系のバランスが崩れてしまいます。さらに、地球温暖化の進行に伴う異常気象の多発も、暮らしへの大きな脅威となっています。
自然環境を守るうえで鍵となるのが、民間取組等と連携した保全活動です。民間には自然環境保全に取り組むNPOやボランティア団体が数多く存在し、環境配慮に力を入れる企業も増えています。
民間と行政が手を携えることで、保全の効果は一段と高まります。例えば、民間団体が現場での保全活動を担い、行政がその活動を支援する形をとれば、自然環境の保全に大きな成果を上げることができるでしょう。
民間取組等と連携した自然環境保全の取り組み事例

民間取組等と連携した自然環境保全への関心は近年高まっており、企業や団体、個人がそれぞれ独自の保全活動を行うほか、政府や自治体と連携した活動も広がりを見せています。
民間取組等と連携した自然環境保全の取り組み事例としては、次のようなものがあります。
- 企業による保全活動:自社の事業活動やCSR活動の一環として、植樹活動、絶滅危惧種の保護活動、環境教育活動などを実施しています。
- NPOやNGOによる保全活動:自然保護区の管理、絶滅危惧種の保護、環境教育などに取り組んでいます。
- 地域の住民による保全活動:里山を守る活動、環境に優しい農業の実践、ごみ拾い活動など、自分たちの暮らす地域を守る取り組みを進めています。
- 政府や自治体による保全活動:自然環境保全に関する法律や条例を制定し、自然保護区の指定や保護活動の推進などを行っています。
こうした連携が効果を発揮するのは、双方の強みが補完し合うからです。民間には政府・自治体にはない機動性や柔軟性があり、政府・自治体には民間にはない権限や財力があります。両者が協力することで、それぞれの長所を活かした保全活動が可能となります。
民間取組等と連携した自然環境保全の課題と展望

民間企業やNPO、市民団体による自然環境保全の取り組みは、国や自治体の施策を補完するものとして近年注目を集めています。
一方で、課題も残されています。民間の取り組みは資金面や人材面で限界があることが多く、十分な規模で活動を展開するのが難しい場合が少なくありません。また、国や自治体との連携が不十分なために、活動が重複したり方針が食い違ったりするケースも見られます。
こうした課題を解決するには、国や自治体による支援が重要です。資金面・人材面での支援に加え、各主体の活動を調整し、連携を強化していくことが求められます。
民間の取り組みは、自然環境保全の推進に大きな可能性を秘めています。その力を最大限に引き出すためにも、今後は官民の連携をいっそう深めていくことが期待されます。


