生態系を活用した気候変動適応(EbA)とは?

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生態系を活用した気候変動適応(EbA)とは?

先生、環境に関する用語『生態系を活用した気候変動適応(EbA)』について教えてください。

地球環境の専門家

EbAとは、生物多様性と生態系サービスを活用して、気候変動による悪影響に適応するアプローチです。国際自然保護連合(IUCN)などが2008年ごろから提唱し、2009年に生物多様性条約CBD)の専門家会合(AHTEG)の報告書で定義されたのち、2010年の生物多様性条約第10回締約国会議COP10、名古屋で開催)で正式に位置付けられました。

生態系と生態系サービスを活用するというのは、具体的にどういうことですか?

地球環境の専門家

例えば、森林は、雨水を蓄えて洪水を防いだり土砂崩れを防いだりし、気候変動に「適応」する役割を果たします。同時に、二酸化炭素を吸収して酸素を放出する働きを持ち、「緩和」の副次的効果もあります。また、サンゴ礁は波の勢いを弱め、沿岸地域を高潮や暴風から守る天然の防波堤の役割を果たしています。

生態系を活用した気候変動適応とは。

「生態系を活用した気候変動適応(EbA)」とは、Ecosystem-based Adaptation(生態系を基盤とした適応)の略で、気候変動によって生じる悪影響への適応策として、生物多様性生態系サービスの活用を組み込んだ戦略を指します。

生態系を活用した気候変動適応(EbA)の定義

生態系を活用した気候変動適応(EbA)の定義

生態系を活用した気候変動適応(EbA)は、生態系の働きを通じて気候変動の影響を軽減し、これに適応しようとするアプローチです。生態系は、二酸化炭素を吸収して酸素を放出し、水循環を維持し、土壌侵食を防ぎ、洪水を調整するなど、さまざまな生態系サービスを通じて気候変動の影響を和らげます。さらに、生態系が健全に機能することは、影響に対応するためのレジリエンス(回復力)を地域社会にもたらします。

具体例としては、森林を保護・拡大して雨水を蓄え土砂災害を防ぐ、マングローブ林を復元して沿岸地域を高潮や洪水から守る、サンゴ礁を保護して海洋生態系を維持する、といった活動が挙げられます。EbAは、気候変動への適応に有効であると同時に、持続可能な開発を促進するうえでも重要な役割を果たします。

生態系を活用した気候変動適応(EbA)の目的と原則

生態系を活用した気候変動適応(EbA)の目的と原則

EbAは、森林・湿地・サンゴ礁などの生態系を保全・回復させ、そこから得られるサービスを気候変動の適応に活用することを目指します。

EbAを進めるにあたっては、以下のような原則が重視されています。
  • 生態系の保全と回復を優先する。
  • 生態系の持続可能な利用を促進する。
  • 生態系のサービスを、気候変動への適応に活用する。
  • 地域社会とステークホルダーを巻き込む。
  • 科学的知見に基づいて実施する。
  • 長期的視点を持つ。

これらの原則に沿って生態系を賢く活用することが、EbAを効果的に機能させる鍵となります。

生態系を活用した気候変動適応(EbA)の具体的な取り組み例

生態系を活用した気候変動適応(EbA)の具体的な取り組み例

生態系を活用した気候変動適応(EbA)は、さまざまな方法で実施されています。代表的な取り組み例は、以下のとおりです。

* 森林の保全と回復
森林は、土壌侵食の防止、水の浄化、野生動物の生息地の提供など、多様な生態系サービスを支えています。また、大量の二酸化炭素を吸収して、気候変動の緩和にも貢献します。

* 湿地の復元
湿地は、洪水の抑制、水質の浄化、野生動物の生息地の提供などの役割を果たします。湿地を復元することは、気候変動に伴う洪水や干ばつの影響を軽減するのに役立ちます。

* サンゴ礁の保護
サンゴ礁は、波の勢いを弱めて沿岸地域を暴風や高潮から守る天然の防波堤として機能するとともに、漁業や観光業などの経済活動を支える基盤でもあります。その保護は、海面上昇や海洋酸性化の影響を軽減するうえでも重要です。

このようにEbAは、生態系の保全・回復を通じて気候変動に適応し、その悪影響を少なくする効果的なアプローチです。

生態系を活用した気候変動適応(EbA)のメリットと課題

生態系を活用した気候変動適応(EbA)のメリットと課題

生態系を活用した気候変動適応(EbA)のメリット

第一のメリットは、災害リスクの軽減です。森林は洪水や土砂崩れを防ぎ、湿地は雨水を貯留して氾濫を抑え、サンゴ礁は波の力を弱めて海岸侵食を抑制します。

第二に、森林や湿地などの生態系は、光合成によって二酸化炭素を吸収し、土壌に炭素を蓄積する吸収源として機能します。そのため、温室効果ガスの削減という、緩和策とも共通する副次的な作用も得られます。

第三に、生態系が育む生物多様性は、生態系の安定性と回復力を高め、気候変動への適応力を強化する基盤となります。水質・大気の浄化や土壌保全といった生態系サービスも、私たちの暮らしに欠かせない役割を果たしています。

生態系を活用した気候変動適応(EbA)の課題

一方で、EbAには課題もあります。生態系自体が気候変動の影響を強く受けており、変化に適応するまでに時間がかかること、また人間活動による破壊や劣化が進んでいるため、まず保全や回復が必要なことです。

さらに、EbAの実践には専門的な知識や技術が求められ、効果が現れるまでには長期的かつ継続的な取り組みが欠かせません。そのため、長期的な視点に立った支援と体制づくりが重要です。

生態系を活用した気候変動適応(EbA)の今後の展望

生態系を活用した気候変動適応(EbA)の今後の展望

生態系を活用した気候変動適応(EbA)は、生態系が本来もつ適応能力を活用する戦略として、近年国際的に注目を集めています。気候変動に対する生態系の回復力と適応力を高めるための投資が増加し、研究の進展によってその有効性も実証されつつあります。EbAがもたらす主な利点は、次のとおりです。

  • 気候変動の影響への適応:例えば、湿地帯を維持・回復すれば、雨水を貯留して洪水を防ぐとともに、生物多様性を守ることにもつながります。
  • コミュニティのレジリエンス(回復力)向上:例えば、持続可能な農業は、気候変動の影響に耐えられる食料システムの構築に役立ちます。
  • 気候変動の「緩和策」との相乗効果:EbAによる適応策が、温室効果ガスの削減にも貢献するケースもあります。例えば、洪水や土壌侵食を防ぐために森林を保全すれば、植物の光合成によって二酸化炭素を吸収する「一石二鳥」の効果がもたらされます。

EbAは、気候変動への適応に資する戦略として有効であり、今後ますます重要視されることが期待されます。

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