【EUバブル】とは?EUの温室効果ガス削減目標をわかりやすく解説します

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【EUバブル】とは?EUの温室効果ガス削減目標をわかりやすく解説します

先生、EUバブルについて教えて下さい。

地球環境の専門家

EUバブルとは、京都議定書のもとでEUが共同達成の枠組みを用い、EU域内では加盟国ごとの削減目標に差を設けつつ、EU全体としては一律の削減目標を達成しようとするアプローチのことです。

EU域内で加盟国ごとに削減目標に差があるのはなぜですか?

地球環境の専門家

EU加盟国の間には、経済発展の段階や産業構造の違いがあります。そのため、削減目標を一律に設定すると、経済発展の遅れた国や産業構造の異なる国に大きな負担がかかってしまいます。そこで、EU域内では国ごとに事情に応じて削減目標を割り振り、全体としてEUの目標を達成する仕組みを取っているのです。

EUバブルとは。

「EUバブル」とは、京都議定書第4条に定められた共同達成(共同履行)の代表例であり、環境政策に関する用語です。EU域内では加盟国ごとに削減目標の差別化を認める一方で、EU全体としては一律の削減目標を負うというアプローチを指します。

EUバブルとは?

EUバブルとは?

EUバブルとは、京都議定書において認められた共同達成の仕組みを活用し、EUが一つの主体(バブル=泡)として温室効果ガス削減目標を引き受けたうえで、その目標を加盟国間で再配分する枠組みです。EU全体としては京都議定書で定められた削減目標を達成する義務を負いつつ、域内の各国には経済状況や産業構造に応じた個別の削減目標を割り当てるという特徴があります。

京都議定書(1997年採択、2005年発効)の第一約束期間(2008~2012年)において、EUは1990年比で温室効果ガスを8%削減することを共同で約束しました。この共通目標を達成するために、EU域内で「負担分担協定(Burden Sharing Agreement)」を結び、加盟国ごとに削減率に差をつけて配分したのです。たとえば、ドイツや英国には大幅な削減を求める一方、ポルトガルやギリシャなど経済発展が遅れていた国には排出量の増加が認められる、といった柔軟な分担が行われました。

なお、EUバブルとEU排出量取引制度(EU ETS)は別の仕組みであり、両者は混同されることがありますが、EU ETSは2005年に開始された企業単位のキャップ・アンド・トレード制度です。EUバブルはあくまで国家レベルの目標分担の枠組みを指します。

EUバブルが制定された背景

EUバブルが制定された背景

EUバブルが制定された背景には、世界的な気候変動問題への懸念と、京都議定書交渉における各国の事情の違いがあります。1990年代、地球温暖化が国際的な課題として認識されるなかで、先進国が法的拘束力のある削減目標を負うべきだという議論が進みました。

その結果、1997年に採択された京都議定書では、各国が個別の削減目標を負うこととなりましたが、同時に第4条で、複数国が共同で目標を達成することも認められました。これを共同達成と呼びます。

EUは、加盟国間で経済発展の段階や産業構造、エネルギー事情が大きく異なっていたため、すべての国に一律の削減を求めるのは困難でした。そこでEUは共同達成の規定を活用し、EU全体で1990年比8%削減という共通目標を引き受け、域内では国ごとの事情に応じた目標を再配分するアプローチを採用したのです。これがEUバブルが導入された経緯です。

その後、EUは気候変動対策をさらに強化し、2008年に「気候変動・エネルギーパッケージ」を採択して2020年までに1990年比20%削減を目標としました。さらに2014年には「2030年気候・エネルギー政策枠組み」を採択し、2030年までに少なくとも40%削減を掲げました(その後、2021年に55%削減へと引き上げられました)。

EUバブルの仕組み

EUバブルの仕組み

EUバブルは、EU全体で一つの削減目標を負ったうえで、加盟国間で目標を分担する仕組みです。具体的には、EUが京都議定書で約束した1990年比8%削減という目標を、加盟国ごとの実情に応じて再配分します。

EUバブルの主なポイントは次のとおりです。

  • EU全体としては京都議定書の削減目標を共通して負う
  • 加盟国ごとに削減率を差別化して割り当てる(負担分担協定)
  • 経済発展が遅れた国には排出量の増加を一定程度認める
  • 先進的な国にはより大きな削減義務を課す

たとえば、ドイツは1990年比21%削減、英国は12.5%削減を負担した一方、スペインは15%、ポルトガルは27%、ギリシャは25%の排出増加が認められました。このように、EUバブルは加盟国の事情を踏まえつつ、域内全体として目標を達成することを目指す仕組みです。

なお、EU加盟国の削減努力を補完する制度として、企業単位での排出量取引を行うEU ETSが2005年から運用されており、EUバブルの目標達成を支える役割を果たしています。

EUバブルの導入が目指す目的

EUバブルの導入が目指す目的

EUバブルの導入が目指す目的は、EU全体としての温室効果ガス削減目標を効率的かつ公平に達成することにあります。

EUバブルが目指す主な目的は以下の通りです。

  • 加盟国間の温室効果ガス排出量削減努力の公平性を確保すること
  • EU全体の削減目標達成に向けた加盟国の連携を促進すること

加盟国間の公平性を確保するため、EUバブルでは各加盟国に割り当てる削減目標を、その国の経済状況、人口、産業構造、エネルギー事情などを踏まえて設定しています。これにより、経済的に余力のある国がより大きな削減を担い、発展途上の加盟国には一定の柔軟性が与えられます。

また、加盟国の連携を促すため、EUバブルでは域内での協力的な目標達成が前提となっています。ある加盟国が割当を超過した場合でも、他の加盟国の削減実績によってEU全体としての目標達成が可能となる仕組みであり、加盟国は互いの取り組みを補完し合いながら共通の目標達成を目指すことができます。

EUバブルに対する批判と課題

EUバブルに対する批判と課題

EUバブルに対しては、さまざまな批判や課題が指摘されています。

第一に、EU域外の国々からの批判があります。EUバブルは、EU域内に対しては加盟国ごとの差別化を認める一方で、EU域外の先進国には一律の削減を求めるという立場であったため、「自国(自地域)には甘く、他国には厳しい」という不公平感を生じさせました。特に米国や日本などの先進国からは、EUの姿勢に対する懸念が示されました。

第二に、削減努力の実質性に対する疑問があります。EUバブルでは、東欧諸国の加盟により、1990年比の基準年排出量が大きく嵩上げされました。東欧諸国は1990年代の経済構造転換に伴って排出量が大幅に減少していたため、EU全体として見ると比較的容易に削減目標を達成できたのではないかという指摘があります。

第三に、制度の複雑さとコストに関する批判があります。加盟国ごとの目標配分や監視・報告制度は複雑であり、企業や消費者の負担増加につながるという懸念があります。また、EU ETSと組み合わせた運用は、産業界にとってコスト負担が大きいとの声もあります。

第四に、国際的な貿易摩擦の可能性です。EUは域内の温室効果ガス排出削減を進める一方で、EU域外からの輸入品に対して国境炭素調整措置(CBAM)などを導入する動きもあり、これが域外国との貿易摩擦を引き起こす可能性が指摘されています。

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