ハーマン・デイリーの持続可能な発展の3原則

ハーマン・デイリーの持続可能な発展の3原則について、教えてください。

地球環境の専門家
環境経済学者ハーマン・デイリーが1970年代から1990年代にかけて提唱した、持続可能な発展に関する3つの原則です。以下の3つから成り立っています。

地球環境の専門家
1.再生可能な資源の消費速度は、その再生速度を上回ってはならない。

地球環境の専門家
2.再生不可能資源の消費速度は、それに代わりうる持続可能な再生可能資源が開発されるペースを上回ってはならない。

地球環境の専門家
3.汚染の排出量は、環境の吸収量を上回ってはならない。
ハーマン・デイリーの持続可能な発展の3原則とは。
『ハーマン・デイリーの持続可能な発展の3原則』とは、アメリカ合衆国の環境経済学者であるハーマン・デイリーが1970年代から1990年代にかけて提唱した、持続可能な発展に必要な3つの原則です。
1. 再生可能な資源の消費速度は、その再生速度を上回ってはならない。
2. 再生不可能資源の消費速度は、それに代わりうる持続可能な再生可能資源が開発されるペースを上回ってはならない。
3. 汚染の排出量は、環境の吸収量を上回ってはならない。
これら3つの原則は、地球の有限性と環境保全の必要性を踏まえたうえで、持続可能な発展を実現するための指針として提示されています。
再生可能な資源の消費速度について

1. 再生可能な資源の消費速度は、その再生速度を上回ってはならない。
これは、「再生可能な資源を、自然が回復できるペース以上に使用してはならない」ということです。
日本国内の山村の人たちは、山菜を採るときに2~3本残しておくと言います。残された株が成長することで、生態系の保全につながるからです。ところが、根こそぎ採取してしまうと、自然の回復力が追いつかなくなってしまいます。
再生可能な資源を消費しすぎると、その資源が枯渇し、地球の環境に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、森林を伐採しすぎると、森林が消失して生態系が崩壊したり、洪水や土砂崩れが発生したりします。また、水資源を使いすぎると、地下水が枯れてしまう場合もあります。
再生可能な資源の消費速度を、自然の再生能力の範囲内に抑えることは、地球の環境を守るために重要です。
再生不可能資源の消費速度について

2. 再生不可能資源の消費速度は、それに代わりうる持続可能な再生可能資源が開発されるペースを上回ってはならない。
これは、「石油や石炭などの化石燃料、金属などの資源を、再生可能エネルギーやリサイクル資源の開発スピード以上に使用してはならない」ということです。
化石燃料や金属資源の使用を減らすとともに、太陽光・風力・波力・地熱などの再生可能エネルギー源への移行を進めたり、資源の再利用やリサイクルを推進したりすること、あるいは金属を代替する全く新しい再生可能資源を開発することも大切です。
将来世代が、私たちと同水準の資源を確保しつつ、環境保全との調和を図っていくことは、極めて重要です。
汚染の排出量について

3. 汚染の排出量は、環境の吸収量を上回ってはならない。
大気・土壌・河川・湖沼・海には、一定量の汚染物質を自然に浄化し、吸収する力があります。「汚染物質の排出量は、その浄化・吸収能力を上回ってはならない」ということです。
山林では、野生動物が糞や尿をしたりします。しかし、それらは土壌や河川に吸収され、微生物により分解されるため、汚染は自然に浄化されていきます。一方で、工場や自動車、都市などから、浄化処理もされずに大量の汚染物質が排出されたら、どうなるでしょうか。
デイリーは、汚染物質を排出する経済活動は環境に悪影響を及ぼし、長期的に持続可能ではないと主張しました。環境の吸収量をはるかに超えた汚染物質は環境を汚染し、人間の健康に悪影響を及ぼし、生態系を破壊するからです。
デイリーは、汚染物質の排出量を削減するために、「汚染物質を排出しない生産プロセスや製品の開発」「汚染物質を回収・再利用する技術の開発」「汚染物質の排出量への課税」など、さまざまな政策を提案しました。
この原則は、人間の健康や生態系を守り、持続可能な発展を実現するために不可欠です。
持続可能な社会の実現に向けて

地球資源には限界があり、経済成長は環境資源が枯渇しない範囲で行われなければなりません。化石燃料や鉱物資源の過剰消費を避け、再生可能な資源を重視する必要があります。
経済活動と環境への影響
経済活動は、環境への影響を考慮して行われなければなりません。大気や水質を汚染したり、森林を破壊したり、生物多様性を脅かしたりしてはなりません。経済活動を行う際には、環境を守るための対策を講じる必要があります。
社会正義の重要性
持続可能な社会とは、すべての人々が安全で健康かつ生産的な生活を送ることができる社会です。貧困を解消し、格差を是正し、人権を尊重することが重要です。
ハーマン・デイリーの功績

ハーマン・デイリーの功績は、持続可能な発展の概念を経済学の分野に導入し、経済成長と環境保護の両立を追求した点にあります。
デイリーは、1938年にアメリカ合衆国で生まれました。大学で経済学を学び、1967年にヴァンダービルト大学で博士号を取得しています。ルイジアナ州立大学の教授を務めた後、1988年から1994年にかけて、世界銀行で上級エコノミストとして活躍しました。
デイリーは、1989年に神学者ジョン・B・コッブとの共著である『For the Common Good(共通善のために)』を発表しています。この本の中で、彼は「地球の自然資源を、将来の世代が同じように利用できるように管理する必要がある」と述べています。そして、持続可能な発展を実現するためには、次の3つの原則(これまで説明してきた3原則と対応する観点からの整理です)を守る必要があると主張しました。
2. 再生不可能資源の利用率を、それに代替しうる再生可能資源の開発ペース以下に抑える。
3. 廃棄物の排出量を、地球が吸収できるレベル以下に抑える。
デイリーの理論は、持続可能な発展理論の基礎となっています。彼の功績は、経済成長と環境保護の両立を追求する経済学の新しい潮流を切り開いた点にあります。


