バスケット方式のしくみと温室効果ガス抑制への活用法

環境問題に関すること
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バスケット方式のしくみと温室効果ガス抑制への活用法

バスケット方式ってなんでしょうか?

地球環境の専門家

バスケット方式とは、数種類ある温室効果ガスの総排出量を、係数を使って合算する方式です。

係数ってなんでしょうか?

地球環境の専門家

係数とは、温室効果ガスの種類ごとに、排出量が温暖化に与える影響の大きさを表したものです。具体的には「地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)」が用いられ、二酸化炭素を1としたときに、各ガスがどれだけ強い温室効果をもつかを示しています。

バスケット方式とは。

環境用語の「バスケット方式」とは、数種類の温室効果ガスの総排出量を、係数を使って合算する方式のことです。この方式は、京都議定書で用いられることになりました。

バスケット方式とは?

バスケット方式とは?

バスケット方式とは、性質の異なる複数の温室効果ガスを、それぞれの地球温暖化係数(GWP)を用いて二酸化炭素(CO2)換算したうえで、ひとつの「バスケット(かご)」にまとめて合算し、削減目標の達成を管理する考え方です。1997年に採択された京都議定書で採用され、国際的な気候変動対策の基本的な枠組みのひとつとなっています。

バスケット方式の対になる考え方として「ガス別方式」があります。ガス別方式が二酸化炭素・メタン・一酸化二窒素などガスごとに個別の削減目標を定めるのに対し、バスケット方式ではこれらを合算したCO2換算量の合計について削減目標を定めます。そのため、どのガスをどれだけ削減するかを各国が柔軟に選択でき、削減しやすいガスや費用対効果の高い分野から優先的に対策を進められる点が大きな特徴です。

バスケット方式のしくみ

バスケット方式のしくみ

バスケット方式のしくみは、地球温暖化係数(GWP)による換算と、ガス横断的な総排出量の管理という2つの要素で成り立っています。

地球温暖化係数は、二酸化炭素を1としたときに、ほかの温室効果ガスが同じ質量あたりどれだけ強い温室効果をもつかを示した値です。例えばIPCC第4次評価報告書の100年値では、メタン(CH4は約25倍、一酸化二窒素(N2O)は約298倍、六フッ化硫黄(SF6は約22,800倍とされており、ガスによって温暖化への寄与度は大きく異なります。バスケット方式では、これらの係数を使って各ガスの排出量をCO2換算量に直し、すべてを足し合わせて総排出量として扱います。

そのうえで各国は、合算した総排出量について削減目標を定め、基準年からの削減率を達成することが求められます。京都議定書の第一約束期間(2008〜2012年)では、先進国全体として1990年比で少なくとも5%の削減が目標とされ、日本は6%削減、EUは8%削減を約束しました。どのガスをどれだけ減らすかは各国の裁量に委ねられているため、対策コストの低いガスから取り組んだり、国内事情に合った対策を選んだりすることが可能です。

バスケット方式が適用される温室効果ガス

バスケット方式が適用される温室効果ガス

京都議定書のバスケット方式で対象となる温室効果ガスは、第一約束期間では次の6種類でした。二酸化炭素(CO2メタン(CH4一酸化二窒素(N2O)ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)パーフルオロカーボン類(PFCs)六フッ化硫黄(SF6です。さらに2012年に採択されたドーハ改正により、第二約束期間からは三フッ化窒素(NF3が加わり、合計7種類が対象となりました。

二酸化炭素は、化石燃料の燃焼や森林伐採などによって排出される、もっとも排出量の多い温室効果ガスです。メタンは、水田や家畜のげっぷ、天然ガスの漏洩などから発生し、一酸化二窒素は窒素肥料の使用や工業プロセスなどから排出されます。

HFCs・PFCs・SF6・NF3はいずれも工業製品の製造や使用にともなって排出されるフッ素系ガスで、排出量そのものは多くないものの、GWPが極めて大きく、少量でも強い温室効果をもたらします。これらを一つのバスケットとして扱うことで、削減余地の大きいガスから優先的に対策を進め、国全体として効率よく温室効果ガスを減らす枠組みとなっています。

バスケット方式が用いられる理由

バスケット方式が用いられる理由

バスケット方式が用いられる最大の理由は、削減対策の柔軟性を確保しつつ、総合的な温暖化抑制効果を評価できる点にあります。ガスごとに別々の目標を課すと、国によっては達成が難しいガスが出てきますが、合算方式であれば、削減しやすいガスや対策コストの低い分野から優先的に取り組むことができます。

また、温室効果ガスは種類によって温暖化への寄与度が大きく異なるため、同じ1トンを削減しても、ガスの種類によって効果は変わります。地球温暖化係数でCO2換算量として扱えば、どのガスを削減しても温暖化への影響を統一的な尺度で比較・評価できるため、費用対効果の高い削減を進めやすくなります。

さらに、共通の指標で国同士の排出量を比較できることから、国際交渉や進捗の検証も行いやすいという利点があります。こうした特性から、京都議定書以降のパリ協定をはじめとする気候変動の国際枠組みにおいても、バスケット方式の考え方は基本的な手法として引き継がれています。

バスケット方式のメリットとデメリット

バスケット方式のメリットとデメリット

バスケット方式のメリットは、大きく3つあります。
  • 第一に、削減しやすいガスや分野から着手できるため、費用対効果の高い削減を実現しやすい点です。
  • 第二に、複数のガスをCO2換算量という一つの指標で扱えるため、進捗状況の把握や国際比較が容易になる点です。
  • 第三に、各国が自国の産業構造や自然条件に応じた対策を選べるため、実行可能性の高い政策設計がしやすくなる点です。
一方で、デメリットも指摘されています。
  • まず、ガスごとの削減動向が総量に埋もれてしまい、特定のガスへの対策が後回しになるおそれがあります。
  • 次に、地球温暖化係数(GWP)の値は評価期間や科学的知見の更新によって変動するため、換算値そのものに一定の不確実性が残ります。
  • 加えて、各国がインベントリ(排出量目録)を整備し、ガスごとの排出量を正確に算定・報告する必要があるため、精緻なモニタリングや制度運用のコストが大きくなることも課題とされています。

こうしたメリットとデメリットを踏まえ、バスケット方式は国際的な削減目標の設定と、国内の具体的な政策・規制を組み合わせることで、より効果的な温室効果ガス対策として機能します。

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