ポスト京都議定書-国際社会の気候変動対策の行方-

環境に関する用語『ポスト京都議定書』について説明してもらえますか?

地球環境の専門家
『ポスト京都議定書』とは、京都議定書で定められている第一約束期間以降の枠組みにかかる諸問題を指す用語です。

第一約束期間とは、いつからいつまでですか?

地球環境の専門家
第一約束期間は、1990年を基準年として2008年から2012年までです。
ポスト京都議定書とは。
「ポスト京都議定書」とは、京都議定書で制定された第一約束期間(First Commitment Period)の終了後に求められる枠組みについての問題を指しています。京都議定書は、1990年を基準年として2008年から2012年までを第一約束期間とし、国連気候変動枠組条約の加盟国による温室効果ガス削減目標などの地球温暖化防止対策の国際的な枠組みを定めています。2013年以降、どのような枠組みでこれを進めるかについては、京都議定書第3条9項により、第一約束期間が終了する少なくとも7年前に検討を開始することとされ、2005年から締約国会合を中心として政策立案者や研究者などによる検討が始まりましたが、議論は難航し、長期にわたり枠組みの方向は定まりませんでした。
ポスト京都議定書の背景と概要

ポスト京都議定書とは、京都議定書の第一約束期間が終了する2012年以降の気候変動対策の枠組みを指します。京都議定書は1997年に採択された気候変動に関する国際条約であり、先進国に対して温室効果ガス排出量の削減義務を課しています。しかし、第一約束期間が2012年で終了するため、その後継となる新たな気候変動対策の枠組みが必要とされていました。
ポスト京都議定書の交渉は、2005年以降本格化し、2007年のCOP13で採択されたバリ行動計画に基づき進められました。交渉は難航し、2009年のCOP15(コペンハーゲン会議)では法的拘束力のある合意には至らず、「コペンハーゲン合意」が留意される形にとどまりました。その後、2010年のCOP16では「カンクン合意」が採択され、先進国・途上国双方の削減目標や行動を国際的に位置付ける枠組みが整いました。
カンクン合意では、産業革命前からの世界平均気温上昇を2℃以内に抑えるという長期目標が共有され、先進国から途上国への資金支援や技術移転の仕組みも盛り込まれました。さらに2015年には、すべての国が参加する新たな国際枠組みであるパリ協定がCOP21で採択され、ポスト京都議定書の取り組みは新たな段階に入りました。
ポスト京都議定書における気候変動対策の主な争点

ポスト京都議定書交渉においては、先進国と途上国の排出削減義務の負担割合、途上国への資金支援、技術協力など、多くの争点があります。
まず、先進国と途上国の排出削減義務の負担割合について、京都議定書では先進国が温室効果ガス排出量を1990年比で平均5%削減する義務を負う一方、途上国には法的な削減義務はなく、自主的な削減努力が期待されていました。しかし、中国やインドなどの新興国の排出量増大を背景に、途上国にも一定の削減義務を課すべきだとする主張と、歴史的責任を理由に先進国がより多くの削減を担うべきだとする主張が対立してきました。
次に、途上国への資金支援については、途上国は気候変動対策のための資金や技術を必要としており、先進国による支援が不可欠だと主張しています。先進国側も支援の必要性は認めていますが、その規模や条件、無償か有償かをめぐって意見が分かれています。カンクン合意では、2020年までに年間1,000億ドルの資金を途上国に動員する目標が掲げられ、緑の気候基金(GCF)の設立が決定されました。
最後に、技術協力については、途上国は先進国からの積極的な技術移転を求めていますが、先進国側は知的財産権の保護などの観点から慎重な姿勢を示す国もあり、議論は続いています。
ポスト京都議定書交渉の現状と今後の課題

京都議定書は、2012年で第一約束期間が終了し、2013年から2020年までを対象とする第二約束期間が設定されました。第二約束期間では、参加する先進国全体で温室効果ガス排出量を1990年比で少なくとも18%削減することが目標とされましたが、日本、ロシア、カナダなどは第二約束期間に参加せず、参加国全体の排出量カバー率は世界全体の約15%にとどまりました。
こうした状況を踏まえ、すべての国が参加する新たな枠組みとして2015年のCOP21でパリ協定が採択され、2020年以降の気候変動対策の枠組みが確立されました。パリ協定では、各国が自主的に削減目標(NDC)を提出し、5年ごとに見直す仕組みが導入されています。
ただし、各国のNDCを合計しても、世界の平均気温上昇を1.5℃〜2℃以内に抑えるには不十分であるとの指摘が続いており、削減目標の引き上げや実施の強化が今後の大きな課題となっています。気候変動は地球規模の課題であり、国際社会が協力して取り組むことが求められています。
ポスト京都議定書への日本の貢献と役割

京都議定書の第一約束期間が2012年に終了し、2013年から第二約束期間が始まりました。日本は第二約束期間には参加しませんでしたが、独自の削減目標を掲げて温室効果ガスの排出削減に取り組んできました。
日本は、温室効果ガス排出量を削減するために、再生可能エネルギーの導入、エネルギー効率の向上、森林の保全など、さまざまな対策を実施しています。2015年12月に採択されたパリ協定では、世界全体の温室効果ガス排出量を今世紀後半に実質ゼロにすることが目指されており、日本も2050年カーボンニュートラルを宣言し、2030年度に温室効果ガスを2013年度比で46%削減する目標を掲げています。
また、日本は温室効果ガス排出量削減のための国際的な枠組みづくりにも貢献してきました。1997年のCOP3(京都会議)では議長国として京都議定書の採択に貢献したほか、途上国への資金・技術支援、二国間クレジット制度(JCM)の推進などを通じて、国際的な気候変動対策に積極的に関与しています。今後も、世界の気候変動問題解決に向けた貢献が期待されています。
ポスト京都議定書における市民社会の役割

京都議定書は先進国に温室効果ガス排出削減義務を課す国際枠組みでしたが、その後継として2015年に採択されたパリ協定では、すべての国が参加する新たな気候変動対策の枠組みが合意されました。パリ協定では、政府だけでなく市民社会の役割も重視されています。
市民社会は、気候変動対策の推進において、次のような重要な役割を果たすことができます。
- 気候変動問題に対する社会の意識を高める
- 政府や企業に対して気候変動対策を要求し、政策決定に影響を与える
- 気候変動対策のための資金を調達する
- 気候変動対策のプロジェクトを実施する
パリ協定の交渉過程やCOPの各種会議では、NGOや研究機関、地方自治体、企業などの非政府主体(オブザーバー)の参加が認められており、彼らの提言や行動が国際合意の形成に影響を与えています。また、非政府主体による気候行動プラットフォーム(NAZCA)などを通じて、市民社会主体の取り組みが国際的に可視化されています。今後の気候変動対策においても、市民社会の積極的な関与がますます重要になっていくと考えられます。


