排出取引スキーム(英国)の概要と特徴

排出取引スキームについて、もう少し詳しく教えてくれませんか?

地球環境の専門家
排出取引スキームとは、温室効果ガスの排出量を削減するために導入された制度です。排出量の上限(キャップ)を設定し、その上限内で排出枠を取引できるようにする仕組みです。

排出取引スキームは、どのように機能するのでしょうか?

地球環境の専門家
排出量の上限を超過した企業は、自ら排出量を削減するか、余剰の排出枠を持つ他の企業から排出枠を購入する必要があります。これにより、最も費用対効果の高い方法で削減が進むよう設計されています。
排出取引スキーム【英国】とは。
「排出取引スキーム(英国)」とは、2002年3月にイギリスで開始された、世界初の経済全体を対象とした自主参加型の温室効果ガス排出取引制度です。(2014年4月改訂)
排出取引スキーム(英国)とは

排出取引スキーム(ETS:Emissions Trading Scheme)は、温室効果ガスの排出量に上限(キャップ)を設け、その上限内で企業間が排出枠を売買できるようにする制度です。排出量の上限は政府によって決定され、企業は自らの排出量を監視・報告したうえで、削減目標の達成に向けて排出枠を購入するか、排出量そのものを削減するかを選択します。より効率的な技術への投資など、削減手段は多様であり、こうした市場メカニズムを通じて温室効果ガスの排出削減を促進することが、この制度の狙いです。
排出取引スキームの目的

排出取引スキームの主要な目的は、英国の温室効果ガス排出量を削減することです。企業が上限を超えて排出した場合は、超過分に相当する排出枠を、余剰枠を保有する他の企業から購入しなければなりません。この仕組みが、温室効果ガス排出量を削減するうえで最も費用対効果の高い方法を企業に見出させるインセンティブとして機能します。
英国の排出取引スキームは、2002年に世界に先駆けて導入された自主参加型の制度であり、その後、2005年に開始されたEU排出取引制度(EU-ETS)へと統合されました。さらにEU離脱後の2021年からは、独自のUK ETSとして運用されています。いずれも温室効果ガス排出量の削減と気候変動の影響緩和を目的としており、英国の気候変動政策の重要な柱となっています。
実際、英国では1990年以降、温室効果ガス排出量が継続的に減少しており、排出取引スキームはこの削減に重要な役割を果たしたと評価されています。
排出取引スキームの対象者

排出取引スキームの対象となるのは、主に発電所、航空事業者、石油精製事業者、鉄鋼・セメント・化学・製紙などのエネルギー多消費型の製造業者です。一定規模以上の対象施設については、排出量取引のために排出許可(permit)の取得が義務づけられており、事業者は制度の発効日までに排出許可の取得申請書を提出する必要があります。
なお、英国も参加していたEU排出取引制度では、欧州全体で1万を超える施設が対象となり、世界最大規模の排出量取引制度として運用されてきました。
排出取引スキームのしくみ

排出取引スキームは、温室効果ガスによる気候変動を緩和するために導入される経済的手法です。一定期間に排出される温室効果ガスの総量を全体として削減する方向で排出量の上限(キャップ)を設定し、そのキャップ内での排出権を政府が企業やその他の排出源に割り当て、排出源が自らの排出量に応じて排出権や排出量削減ユニットを売買できるようにします。最終的な目的は、排出量上限を段階的に引き下げることで排出総量を削減することにあります。
排出取引スキームのしくみは、以下のとおりです。
1. 政府が、温室効果ガスの排出量削減目標と排出量上限を設定し、排出権の総量を決定する。
2. 政府が、排出権を企業やその他の排出源に割り当てる。
3. 企業やその他の排出源は、排出権や排出量削減ユニットを、相互に売買することができる。
4. 排出源は、排出量に応じて、保有する排出権を政府に返還(償却)する。
5. 政府は、必要に応じて排出権を追加発行し、また余剰分を回収・調整する。
この制度には、排出源の温室効果ガス削減に対する経済的インセンティブを与えるというメリットがあります。排出源は、削減努力によって余剰となった排出権を売却することで利益を得られるからです。加えて、排出量上限を段階的に引き下げていく仕組みであるため、排出総量の削減を継続的に促進する効果も期待できます。
排出取引スキームの効果

排出取引スキームがもたらす効果としては、温室効果ガス排出量の減少、再生可能エネルギーへの投資の促進、雇用の創出などが挙げられます。
まず、排出削減の面では、この制度が効果的な政策であることが示されており、英国では導入以来、温室効果ガス排出量が大幅に減少しています。
投資促進の面でも効果は明らかです。炭素に価格が付くことで、温室効果ガス排出量の少ない再生可能エネルギー源の競争力が相対的に高まり、英国では制度導入以降、再生可能エネルギーの導入量が大幅に増加しました。
さらに、雇用の創出にも寄与しています。再生可能エネルギーや省エネルギーの分野で新たな雇用が生まれ、英国ではこれらの分野で雇用が大幅に増加しました。


