条件付特定外来生物を理解する

環境に関する用語『条件付特定外来生物』について教えてください。

地球環境の専門家
条件付特定外来生物とは、外来生物法(2004年制定)に基づいて指定される「特定外来生物」のうち、通常の特定外来生物に課される規制の一部を、当分の間、適用除外とする生物の通称です。2023年6月の法改正で導入された区分で、アメリカザリガニやアカミミガメが指定されています。

なるほど、条件付特定外来生物は、特定外来生物のうち規制の一部が当分の間適用除外される生物ということですね。

地球環境の専門家
その通りです。すでに国内に広く定着しており、一律に飼育・運搬を禁止すると大量遺棄を招くおそれがある種について、一般家庭での飼育を当分の間認めつつ、放出(野外に放すこと)や販売・頒布などを禁止することで、生態系への被害拡大を防ぐねらいがあります。
条件付特定外来生物とは。
「環境に関する用語『条件付特定外来生物』」。外来生物法(2004年制定)に基づいて指定される「特定外来生物」のうち、通常の特定外来生物の規制の一部を、当分の間、適用除外とする生物の通称のことです(法律上は「特定外来生物」に位置づけられます)。
特定外来生物とは

特定外来生物とは、海外起源の外来生物のうち、生態系、人の生命・身体、農林水産業に被害を及ぼし、またはそのおそれがあるとして、外来生物法に基づき指定された生物のことです。指定されると、飼育・栽培・保管・運搬・輸入・譲渡・野外への放出などが原則として禁止され、違反した場合には罰則が科されます。
特定外来生物の例としては、生態系へ大きな影響を与えるオオクチバス(ブラックバス)やウシガエル、アライグマ、ヒアリなどが挙げられます。たとえばオオクチバスは在来魚を捕食して個体数を減少させ、漁業や生態系に被害を与えています。
これらの生物は、ペットとして輸入されたものが野外へ逸出したり、意図的・非意図的に持ち込まれたりすることで国内に定着し、被害を及ぼしてきました。そのため、特定外来生物については厳格な規制が設けられています。
条件付き特定外来生物とは

条件付特定外来生物とは、特定外来生物に指定されつつも、すでに国内に広く流通・飼育されているなどの事情を踏まえ、規制の一部を当分の間適用除外とする生物のことです。2023年6月の外来生物法改正により導入された仕組みで、アメリカザリガニとアカミミガメ(ミシシッピアカミミガメ)が指定されています。
これらの種は、一般家庭などでの飼育・無償譲渡については当分の間認められていますが、野外への放出、販売、購入、頒布(業としての譲渡)、輸入は禁止されています。すでに飼育している個体は引き続き飼い続けることができますが、最後まで責任をもって飼育することが求められ、野外に放すと罰則の対象となります。
条件付き特定外来生物の規制

条件付特定外来生物の規制は、外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)に基づいて実施されており、生態系や農林水産業、人の生命・身体への被害を防止することを目的としています。
条件付特定外来生物について、通常の特定外来生物と異なり「当分の間」適用除外となる行為と、引き続き禁止される行為は次のとおりです。
- 適用除外(当分の間認められる行為):一般家庭等での飼育・保管・運搬、無償の譲渡し・譲り受け。許可申請は不要です。
- 引き続き禁止される行為:野外への放出、販売・購入、業としての頒布、輸入。違反した場合は罰則の対象となります。
たとえば、飼っているアメリカザリガニやアカミミガメを池や川に逃がす行為は禁止されており、最後まで責任をもって飼育することが求められます。また、業者がこれらの生物を販売したり、対価を得て譲渡したりすることもできません。これらの規制は、すでに国内に広く定着している外来種の大量遺棄を防ぎつつ、これ以上の分布拡大を抑え、生態系を守るために設けられています。
条件付き特定外来生物の例

条件付特定外来生物として現在指定されているのは、アメリカザリガニとアカミミガメ(ミシシッピアカミミガメ)の2種です(2023年6月1日施行)。いずれも北米原産で、ペットや食用、研究用などの目的で日本に持ち込まれ、その後野外へ逸出して広く定着しました。
アメリカザリガニは、もともと1927年にウシガエルの餌として輸入された個体が起源とされ、現在では全国の水田や池沼に広く生息しています。水草を切断したり、在来の水生昆虫や両生類を捕食したりすることで、池沼の生態系に大きな影響を与えています。
アカミミガメは、幼体が「ミドリガメ」としてペット用に大量に流通した経緯があり、飼育放棄などにより野外に定着しました。在来のニホンイシガメとの競合や、水生植物の食害、農業被害が問題となっています。
これらの種はすでに広く飼育されているため、一律に飼育を禁止すると大量に遺棄されるおそれがあることから、飼育自体は認めつつ、野外への放出や販売・輸入を禁止する「条件付」の指定が行われています。
条件付き特定外来生物の管理

条件付特定外来生物の管理は、その生態系への脅威を軽減するために、慎重かつ効果的なアプローチを必要とします。管理戦略は対象種や地域の状況に応じて調整する必要がありますが、一般的な原則として、次のような方法が挙げられます。
条件付特定外来生物の管理においては、以下のような取り組みが組み合わせて実施されます。
- 侵入・分布拡大の防止:野外への放出禁止の徹底、輸入制限、普及啓発などにより、新たな分布拡大を防ぎます。
- 防除(駆除):すでに定着している地域では、捕獲やわなの設置などによる防除プログラムを実施します。
- 封じ込め:物理的な障壁の設置や水域管理によって、外来種の分布を一定範囲に抑え込みます。
- 生息地の保全:在来種が生息する環境を健全に保つことで、外来種の侵入や定着への抵抗力を高めます。
- モニタリング:定期的な調査や市民科学(市民参加型調査)を通じて、分布状況や管理の効果を継続的に把握します。
- 普及啓発:飼い主に対して終生飼養の徹底を呼びかけ、安易な遺棄を防ぎます。
これらの管理戦略を組み合わせることが、条件付特定外来生物による生態系への脅威を軽減し、生物多様性と生態系サービスを保護するうえで不可欠です。


