認証排出削減量(CER)とは?

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認証排出削減量(CER)とは?

先生、認証排出削減量について教えてください。

地球環境の専門家

認証排出削減量とは、京都議定書の枠組みにおける「温室効果ガスの排出枠(クレジット)」の一つで、Certified Emission Reductionの頭文字をとってCERと略します。クリーン開発メカニズム(CDM)を通じて発行される排出削減クレジットで、1CERはCO2換算1トンの削減に相当します。

それはどういう意味ですか?

地球環境の専門家

途上国での温室効果ガス排出削減プロジェクトの成果を第三者機関が検証し、国連のCDM理事会が「排出削減量の証明書」を発行したものです。先進国や企業はこれを購入し、自らの温室効果ガス排出削減目標の達成に活用(オフセット)できました。ただしCDMは京都議定書の制度で、現在は新規登録が終了し、パリ協定第6条4項に基づく新しい仕組みへの移行が進んでいます。

認証排出削減量(CER)とは。

環境関連用語「認証排出削減量(CER)」とは、京都議定書の枠組みにおける「温室効果ガス排出枠(クレジット)」の分類の一つで、英語の「Certified Emission Reduction」の略称です。1単位がCO2換算1トンの排出削減量を表します。

京都議定書と排出削減量

京都議定書と排出削減量

京都議定書は、1997年12月の気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)で採択された、温室効果ガスの排出削減を目的とする国際的な合意です。先進国に対し、第一約束期間(2008〜2012年)に1990年比で排出量を一定割合削減する義務を課しました。

認証排出削減量(CER)は、この義務の達成を支える仕組みの一つでした。温室効果ガスは大気中で拡散するため、どこで排出削減しても気候への効果は変わりません。この性質を利用し、自国内での排出削減が技術的・費用的に難しい先進国でも、途上国のプロジェクトによる排出削減量を購入して自国の実績に計上し、義務を履行できるようにしたのです。

同時にこの取引は、途上国へ資金と技術を移転する役割も果たしました。先進国の排出削減義務達成途上国の持続可能な開発支援という、二つの目的を同時に満たすよう設計された制度だといえます。

認証排出削減量(CER)の特徴

認証排出削減量(CER)の特徴

認証排出削減量(CER)は、クリーン開発メカニズム(CDM)を通じて発行されます。CDMは、途上国(非附属書I国)で温室効果ガス排出削減プロジェクトを実施し、その排出削減量を先進国(附属書I国)が自国の排出削減実績に算入できる制度です。先進国が資金や技術を提供するのが典型ですが、途上国が単独で実施する「ユニラテラルCDM」も認められています。発行されたCERは、かつては排出権取引市場でも売買されていました。

CERの特徴は、CDM理事会が承認した方法論に沿ってベースライン(プロジェクトがなかった場合の排出量)を設定し、追加性などの要件を審査したうえで発行される点にあります。国連の管理下で一定の厳格さを備えていた一方、実際の品質にはばらつきがあったと指摘されています。特にHFC-23(CO2の約1万倍の温暖化効果を持つ工業ガス)の破壊事業は、わずかな費用で膨大なCERを生み、追加性への強い批判を浴びました。こうした信頼性への疑念は、CER価格の暴落やパリ協定下での制度見直しにつながっています。

認証排出削減量(CER)を取得する方法

認証排出削減量(CER)を取得する方法

認証排出削減量(CER)は、温室効果ガスの排出削減量を指定運営組織(DOE)が検証し、CDM理事会が承認することで発行されます。購入した企業は自らの排出量を相殺(オフセット)できますが、実排出量そのものが減るわけではありません。

クリーン開発メカニズム(CDM)における認証排出削減量の発行は、次の手順を踏みます。
  • プロジェクト設計書(PDD)を作成する
  • ホスト国(途上国)および、投資国の政府(DNA)から承認を得る
  • 指定運営組織(DOE)による有効化審査(バリデーション)を受ける
  • 国連のCDM理事会に、プロジェクトを登録する
  • 排出削減量をモニタリングし、DOEが検証・認証する
  • CDM理事会が、認証排出削減量(CER)を発行する

持続可能な開発に貢献しているかいなかの判断は、CDM理事会ではなくホスト国政府(DNA)に委ねられていました。取得には検証などの費用に加え、登録料や発行分の2%相当の適応基金への拠出も必要です。ただし現在はCDMの新規登録が終了しており、新たにCERを取得することはできません。

認証排出削減量(CER)の利用方法

認証排出削減量(CER)の利用方法

認証排出削減量(CER)の主な利用方法は、次の3つに分けられます。

  • 排出権取引制度における温室効果ガスの排出削減義務の履行に、利用する
  • 自主的な温室効果ガスの排出削減目標の達成に、利用する
  • 認証排出削減量の取引を通じて、温室効果ガスの排出削減事業を支援する

1つ目は、温室効果ガスの排出削減義務の履行です。EU排出量取引制度(EU ETS)では第1〜第2フェーズ(2005〜2012年)にCERの使用が広く認められていました。もっとも、安価なクレジットの大量流入が排出枠の余剰と価格低下を招いたため、第3フェーズ(2013〜2020年)では利用が制限され、第4フェーズ(2021〜2030年)ではEU域外クレジットの使用が禁止されています。

2つ目は、自主的な温室効果ガス排出削減目標の達成です。取引制度の対象外の企業でも、CERを購入してカーボンニュートラル目標などの達成に活用できます。

3つ目は、温室効果ガスの排出削減事業に対する支援です。購入代金が途上国のプロジェクトに還流し、単独では採算の合わない事業を後押しできます。

認証排出削減量(CER)の現状と課題

認証排出削減量(CER)の現状と課題

京都議定書は、温室効果ガスの排出削減における柔軟性措置(京都メカニズム)として、クリーン開発メカニズム(CDM)共同実施(JI)国際排出量取引(IET)の3つを設けました。
  • 新たにクレジットを生むのが、クリーン開発メカニズム(CDM)と共同実施(JI)です。CDMのクレジットが認証排出削減量(CER)、先進国同士のJIのクレジットが排出削減ユニット(ERU)です。
  • 国際排出量取引(IET)は、各国の排出枠(AAU)を国家間で売買する仕組みです。

このうち、CDMは最も多くのクレジットを生み出しました。

一方で、CDM(クリーン開発メカニズム)とCER(認証排出削減量)をめぐって、次のような課題が指摘されてきました。
  1. 市場価格の暴落です。排出枠の余剰などを背景に2012年には1トンあたり0.2ユーロ程度まで下落し、削減インセンティブとしての機能をほとんど失いました。
  2. 追加性や品質を担保する仕組みが十分でなく、質の低いクレジットが流通したことです。工業ガス案件などへの批判は市場の信頼を揺るがし、グリーンウォッシングとの指摘を招く一因ともなりました。

こうした反省を踏まえ、温室効果ガスの排出削減の試みに関して、現在はパリ協定への体制移行が進んでいます。第6条4項に基づく新たな市場メカニズム(PACM)の詳細ルールは2024年11月のCOP29で採択され、既存のCDM活動の移行作業が進んでいます。もっともハードルは高く、申請された約1,500件のうち、2026年5月時点でホスト国の承認を得たのは200件弱で、PACMとして登録が完了したのはごく一部にとどまります。

CDMとCERは、温室効果ガスの新規クレジットを生む制度としての役割を終えつつあります。その経験と課題はパリ協定第6条の設計に引き継がれ、信頼できるクレジットの品質をどう担保するかが、引き続き最大の論点となっています。

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