グロスアプローチとは?温室効果ガスの排出量算定方法を解説

環境問題に関すること
この記事は約4分で読めます。

グロスアプローチとは?温室効果ガスの排出量算定方法を解説

先生、グロスアプローチって何ですか?

地球環境の専門家

グロスアプローチとは、温室効果ガスの排出量を算定する際の方法の一つです。基準年と目標年(約束期間)のいずれにおいても排出量のみを算定し、土地利用変化および林業等の分野における吸収量の増減を考慮しない計算方法です。

なるほど、ではグロスアプローチを採用すると、土地利用変化や森林の吸収量を考慮しないことになるんですね。

地球環境の専門家

その通りです。グロスアプローチは排出量のみを算定するので、吸収量の増減を考慮するグロスネットアプローチよりも、見かけ上の排出量が多くなる傾向があります。

グロスアプローチとは。

「環境用語『グロスアプローチ』とは、温室効果ガスの排出量を算定する際に、基準年と目標年(約束期間)のいずれにおいても排出量のみを算定し、土地利用の変化や林業などの分野における吸収量の増減を考慮しない計算方法です。EUなどが主張しましたが、京都議定書においてはこの方式ではなく、吸収量の増減も考慮されるグロスネットアプローチが採用されました。」

グロスアプローチとは何か?

グロスアプローチとは何か?

グロスアプローチとは、温室効果ガス(GHG)排出量を算定する方法の一つで、基準年と目標年(約束期間)のいずれにおいても排出量のみを算定し、土地利用変化および林業(LULUCF)分野における吸収量の増減を考慮しない計算方法です。

つまり、エネルギーの使用、産業活動、農業活動など、人為的な活動から排出される温室効果ガスの量を合計して算定します。森林などによる吸収量を差し引かないため、排出削減目標は実排出量のみで評価されることになります。

グロスアプローチとグロスネットアプローチの違い

グロスアプローチとグロスネットアプローチの違い

グロスアプローチは、温室効果ガスの排出量を算定する方法の一つで、排出量のみを算定し吸収量を考慮しない方法です。エネルギー消費(化石燃料の燃焼)や産業活動などから排出される温室効果ガスを合計して算定します。

一方、グロスネットアプローチは、基準年では排出量のみを算定し、目標年(約束期間)では排出量から森林などによる吸収量を差し引いて算定する方法です。京都議定書では、このグロスネットアプローチが採用されました。

両者の最大の違いは、森林などによる吸収量を考慮するかどうかです。グロスアプローチでは吸収量を一切考慮しないため、削減努力が排出削減そのものに直結します。これに対してグロスネットアプローチでは、森林吸収源の増加分を排出削減量として計上できるため、各国の事情に応じた柔軟な対応が可能となります。ただし、吸収量の正確な把握は難しく、算定が複雑になるという課題もあります。

EUがグロスアプローチを主張した理由

EUがグロスアプローチを主張した理由

EUがグロスアプローチを主張した理由は、気候変動対策において排出削減をより実質的かつ効果的に進めるためでした。グロスアプローチでは、森林吸収量などの自然による吸収量を差し引かずに排出量を算定するため、各国は排出量そのものを削減しなければ目標を達成できません。

これにより、化石燃料の使用削減やエネルギー効率の改善といった本質的な排出削減努力が促進されると考えられました。また、吸収量の算定には不確実性が伴うため、排出量のみを対象とすることで削減進捗をより正確かつ透明に把握できるという利点もありました。

グロスアプローチが採用されなかった理由

グロスアプローチが採用されなかった理由

京都議定書においてグロスアプローチが採用されなかった主な理由は、森林吸収源を有する国々の意向が反映されたためです。広大な森林を持つ国々(米国、カナダ、日本、ロシアなど)は、森林吸収量を排出削減量として計上できる仕組みを強く求めました。

これらの国々にとって、森林による吸収量を考慮しないグロスアプローチは、目標達成のハードルを著しく高めるものでした。一方、グロスネットアプローチであれば、森林管理や植林による吸収量増加分を削減実績に算入できるため、現実的かつ柔軟な対応が可能となります。

こうした各国の利害調整の結果、京都議定書では吸収量の増減も考慮するグロスネットアプローチが採用されることとなりました。

グロスアプローチの今後の展望

グロスアプローチの今後の展望

温室効果ガス排出量算定の国際的枠組みである国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のもとでは、各国はインベントリ(排出量目録)の報告において、エネルギー、産業プロセス、農業、廃棄物、土地利用・土地利用変化・林業(LULUCF)の各部門ごとに排出量と吸収量を報告しています。

LULUCF部門は、森林伐採や農地転用などによる排出と、森林の成長による吸収の両方が発生する重要な分野です。グロスアプローチではこの吸収量を考慮しないため、各国の実質的な温室効果ガス収支を必ずしも正確に反映できないという課題があります。

パリ協定下では、各国が自国の事情に応じてLULUCFを含めた包括的な排出・吸収量を報告する仕組みが整いつつあります。今後は、透明性と正確性を両立させた算定方法の確立が求められており、グロスアプローチとグロスネットアプローチの長所を組み合わせた手法の検討が進められています。これにより、LULUCF部門の排出削減と森林保全を促進する政策立案にも資することが期待されます。

タイトルとURLをコピーしました