非永続性とは?

環境問題に関すること
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非永続性とは?

「非永続性」とは、どのようなものでしょうか?

地球環境の専門家

「非永続性」とは、植林や再植林などによって吸収・固定された二酸化炭素が、森林火災や伐採などによって再び大気中に放出されてしまい、排出削減効果が失われる可能性があるという、森林吸収源プロジェクト固有の問題のことです。

なぜ、森林が焼失したり伐採されたりすると、排出削減効果がなくなるのでしょうか?

地球環境の専門家

森林は光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収し、樹木や土壌に炭素として蓄えます。しかし、森林が火災で焼失したり伐採されたりすると、樹木に蓄えられていた炭素が二酸化炭素として大気中に放出されてしまい、それまでの吸収による排出削減効果が失われてしまうのです。

非永続性とは。

「非永続性」とは、温暖化対策に関する用語です。温室効果ガスの排出量を削減するには、化石燃料の使用削減などによる排出抑制だけでなく、植林や再植林などの吸収源プロジェクトを実施することも有効です。いずれの場合も、炭素クレジット(売買可能な排出削減量証明)を獲得することができます。しかし、植林や再植林の場合には、森林が火災や伐採で失われてしまうと、それまでの排出削減効果がなくなってしまうという固有の問題があります。これを「非永続性」といいます。

非永続性とは何か

非永続性とは何か

非永続性(non-permanence)とは、植林・再植林などの森林吸収源プロジェクトによって一度は固定された二酸化炭素が、森林火災・病害虫・違法伐採・土地利用転換などの要因によって再び大気中に放出されてしまう可能性があるという、森林由来の排出削減・吸収量に固有の性質を指します。

たとえば、ある地域で植林プロジェクトを実施し、樹木の成長によって大量の二酸化炭素が吸収・固定されたとしても、その後に大規模な森林火災が発生してしまえば、固定された炭素は燃焼によって二酸化炭素として大気中に戻ってしまいます。この場合、プロジェクトによって達成された排出削減効果は、結果的に失われることになります。

こうした性質は、化石燃料の使用削減や省エネルギーによる排出削減(こちらは一度削減されれば再び排出されることはありません)と比較した際に、森林吸収源プロジェクトが抱える大きな課題となっています。そのため、森林由来の炭素クレジットを扱う際には、非永続性をいかに評価し、補償していくかが重要なテーマとなります。

非永続性がもたらす問題

非永続性がもたらす問題

非永続性は、森林吸収源プロジェクトや関連する炭素クレジット制度において、いくつかの重要な問題を引き起こします。

第一に、排出削減効果の信頼性に関する問題です。植林によって吸収された二酸化炭素が将来的に再放出されるリスクがあるため、その削減効果を化石燃料由来の排出削減と同等に扱ってよいのか、という疑問が生じます。森林が将来失われた場合、温暖化対策としての効果は実質的に打ち消されてしまいます。

第二に、炭素クレジットの評価に関する問題です。非永続性が考慮されない場合、実態よりも大きな削減効果が認められてしまう恐れがあります。これにより、排出権取引市場における信頼性が損なわれる可能性があります。

第三に、長期的なモニタリングとリスク管理の必要性です。森林吸収源プロジェクトは、植林後も長期間にわたって森林の状態を監視し、火災や違法伐採などのリスクに備える必要があります。これは、プロジェクトの実施コストを高める要因となります。

非永続性を軽減するための取り組み

非永続性を軽減するための取り組み

森林吸収源プロジェクトにおける非永続性のリスクを軽減するため、国際的にさまざまな手法が考案・導入されています。

代表的な対応策には、以下のようなものがあります。

  • バッファ(buffer)の設定:プロジェクトから得られたクレジットの一部を、リスクに備えた予備として留保しておく仕組み。万一、森林が失われた場合でもこのバッファで補填することができます。
  • 有効期限付きクレジット(tCER/lCER):京都議定書下のクリーン開発メカニズム(CDM)で導入された方式で、一定期間ごとに更新が必要なクレジット。期限到来時に森林が維持されているかを確認します。
  • 長期モニタリングと検証:第三者機関による定期的なモニタリング・検証を行い、森林状態の継続性を確認します。
  • 保険制度の活用:森林火災や災害などによる損失に備えて、プロジェクトに保険を掛ける仕組み。
  • 分散投資(リスク分散):地理的に異なる複数の地域でプロジェクトを実施することで、特定地域の災害による影響を軽減します。

これらの取り組みを組み合わせて実施することで、非永続性のリスクを管理し、森林吸収源プロジェクトの信頼性と炭素クレジットの価値を維持することが可能になります。

森林の非永続性を解決するための REDD+

森林の非永続性を解決するための REDD+

REDD+(Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degradation in developing countries; and the role of conservation, sustainable management of forests and enhancement of forest carbon stocks)とは、開発途上国における森林減少・森林劣化に由来する温室効果ガスの排出を削減することを目的とした、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のもとで進められている国際的な枠組みです。

森林減少や森林劣化は、農地転換、燃料・建材の確保のための伐採、違法伐採などによって生じます。森林は大気中の二酸化炭素を吸収・固定する重要な役割を担っているため、森林減少や森林劣化は二酸化炭素の排出量増加と気候変動の促進につながります。

REDD+では、森林減少・森林劣化の抑制に加えて、森林の保全持続可能な森林管理森林炭素蓄積の強化といった活動も対象に含まれます。森林の保全に取り組む途上国に対し、削減成果に応じた経済的インセンティブ(成果ベース支払い)を提供することで、森林減少を抑える動機付けを行うことが特徴です。

REDD+の実施にあたっては、非永続性をはじめ、リーケージ(プロジェクト実施地域外への排出移転)や追加性などの課題に対応するため、参照排出レベルの設定、モニタリング・報告・検証(MRV)体制の整備、セーフガードの遵守などが求められています。これらの仕組みによって、森林由来の排出削減・吸収量の信頼性を確保しようとしています。

非永続性と炭素クレジット

非永続性と炭素クレジット

非永続性は、炭素クレジットの評価において極めて重要な要素です。炭素クレジットは、温室効果ガスの排出量を削減または吸収するプロジェクトに対して発行されるクレジットであり、排出権取引制度のもとで売買することができます。

森林由来のクレジットは、化石燃料由来の排出削減と比べて非永続性のリスクを抱えているため、その点を考慮した制度設計が必要となります。一般に、非永続性のリスクが高いプロジェクトは、時間の経過とともに排出削減量が失われる可能性が高いため、クレジットの評価が厳しくなる傾向があります。逆に、非永続性のリスクが低いプロジェクトは、長期的に削減効果が維持される可能性が高いため、より高い信頼性が認められます。

プロジェクトの非永続性評価は、プロジェクトの設計、実施場所、モニタリング体制、リスク管理計画など、さまざまな要素を総合的に考慮して行われます。前述したバッファクレジットや有効期限付きクレジット、保険制度などの仕組みを活用することで、非永続性に伴うリスクを補償しながら、森林吸収源プロジェクトの炭素クレジットとしての価値を担保することが可能になります。

こうした制度設計を通じて、森林由来の炭素クレジットが温暖化対策の有効な手段として機能し、森林保全と気候変動緩和の両立に貢献することが期待されています。

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