事業アセスメントとは?その種類や目的を解説!

先生、『事業アセスメント』って何ですか?

地球環境の専門家
『事業アセスメント』とは、事業実施段階(プロジェクト段階)において行われる環境アセスメントのことだよ。

事業実施段階って、具体的にはどの段階のことですか?

地球環境の専門家
事業実施段階とは、特定の事業(プロジェクト)の計画が具体化し、実施に向けて検討が進められる段階のことだよ。例えば、工場や道路の建設が計画される際に、その計画について環境への影響を評価するんだ。
事業アセスメントとは。(用語の定義)
事業アセスメントとは、環境分野の用語で、戦略的環境アセスメント(戦略アセス)と対比して用いられ、事業実施段階(プロジェクト段階)で行われる環境アセスメントを指します。現在、日本で環境影響評価法に基づき実施されている環境アセスメントは、いずれもこの事業アセスメントの範疇に属しています。
事業アセスメントとは(日本の実際について)

事業アセスメントは、具体的な事業(プロジェクト)について、その事業が環境に与える影響を予測・評価し、悪影響を回避・低減するための手続きです。日本では環境影響評価法に基づき、道路、ダム、発電所、埋立てなど一定規模以上の事業を対象に実施されています。
手続きは事業者自らが調査・予測・評価を行い、その結果を公表して住民や行政の意見を反映させながら、より環境に配慮した事業計画へと改善していくプロセスとして設計されています。これにより、開発と環境保全の両立を図ることが目指されています。
事業アセスメントの種類

環境影響評価法に基づく事業アセスメントは、対象事業の規模や性質に応じて、大きく第一種事業と第二種事業に分けられます。第一種事業は規模が大きく、必ず環境アセスメントの実施が義務付けられている事業です。第二種事業は第一種事業に準ずる規模の事業で、個別に判定(スクリーニング)を行ったうえで、必要と判断された場合にアセスメントを実施します。
評価する観点としては、大気質、水質、土壌、騒音・振動、生態系、景観、人と自然との触れ合いの活動の場、廃棄物、温室効果ガスなど、多岐にわたる環境項目が含まれます。事業の種類によって重点的に評価される項目は異なり、例えば道路事業では大気質や騒音、ダム事業では水質や生態系などが重要な項目となります。
なお、事業アセスメントと対比される概念として、より上位の政策・計画段階で環境配慮を行う戦略的環境アセスメント(SEA)があり、両者を組み合わせることで、より総合的な環境配慮が可能となります。
事業アセスメントの目的

事業アセスメントの主な目的は、事業の実施に伴って生じる可能性のある環境影響を事前に予測・評価し、必要な環境保全措置を講じることで、悪影響を回避・低減することにあります。事業の計画段階から実施後のモニタリングまで、各段階に応じて環境配慮を組み込むことで、開発と環境保全を両立させ、持続可能な開発の実現につなげることが期待されています。
また、調査結果や評価内容を公表し、住民や関係自治体などのステークホルダーから意見を求めることで、事業の透明性を高め、合意形成を促進する役割も果たしています。
事業アセスメントの実施方法

具体的な手続きは事業の規模や種類によって細部が異なります。
環境影響評価法に基づく事業アセスメントは、以下のような段階を経て実施されます。
- 配慮書手続:事業の早期段階で、複数案の比較検討などにより環境配慮を行う段階。
- 方法書手続:環境アセスメントの調査・予測・評価の方法を示し、住民や自治体の意見を聴く段階。
- 調査・予測・評価の実施:方法書に基づいて現地調査などを行い、環境影響を予測・評価する段階。
- 準備書手続:調査・予測・評価の結果と環境保全措置をまとめた準備書を公表し、意見を聴く段階。
- 評価書手続:意見を踏まえて修正した評価書を作成し、許認可等を行う行政機関に送付する段階。
- 事後調査・報告書手続:事業着手後、環境保全措置の効果や実際の環境影響を確認し報告する段階。
各段階では、事業者が作成した図書を公表し、住民や自治体、環境大臣などから意見を聴取するプロセスが組み込まれており、これにより透明性と科学的妥当性を確保する仕組みとなっています。
事業アセスメントのメリット・デメリット

事業アセスメントの実施には、メリットとデメリットの両面があります。
事業アセスメントの主なメリットとデメリットは、以下のとおりです。
【メリット】
① 事業による環境影響を早期に把握し、回避・低減策を講じることができる。
② 住民や関係者との合意形成を図り、事業の透明性を高めることができる。
③ 環境への配慮を組み込むことで、事業の社会的信頼性や持続可能性を高めることができる。
【デメリット】
① 調査・評価に費用がかかる。
② 手続きの完了までに長い時間を要する。
③ 事業実施段階での評価が中心となるため、より上位の計画段階での環境配慮が不十分になりやすい(この点は戦略的環境アセスメントで補完される)。
事業アセスメントは、開発と環境保全を両立させるために有効な手段ですが、メリットとデメリットをよく理解したうえで、適切に活用することが大切です。


