シャローエコロジーとは?

シャローエコロジーって、なんですか?

地球環境の専門家
シャローエコロジーとは、人間の利益(特に先進国の人々の健康と豊かさの向上)のために環境保護を主張する立場を批判的に表す言葉です。

ディープエコロジーとは、どう違うんですか?

地球環境の専門家
ディープエコロジーは、人間の利益だけでなく、自然界そのものの価値を重視する立場です。シャローエコロジーが人間中心主義的な考え方であるのに対して、ディープエコロジーは自然中心主義的な考え方だといえます。
シャローエコロジーとは。
「シャローエコロジー」とは、人間の利益(特に先進国の人々の健康と豊かさの向上)のために環境保護を主張する立場を批判的に表す環境用語です。英語で「浅い」を意味する「シャロー(shallow)」に由来し、ディープエコロジー(deep ecology)と対をなす概念として、ノルウェーの哲学者アルネ・ネスによって名付けられました。
シャローエコロジーの意味

シャローエコロジーとは、環境問題を人間中心的に捉え、人間が自然をコントロールすることで問題を解決できると考える立場です。環境問題を人間による自然破壊の結果とみなし、その破壊を抑制すれば解決可能だと考えます。
背景には、産業革命以降、人間が自然を支配・利用してきた歴史があります。こうした発想から、シャローエコロジーは環境規制や環境汚染の削減といった政策を支持する傾向があります。
とはいえ、人間が自然を完全にコントロールすることには限界があり、この考え方だけでは環境問題を根本的に解決するには十分でないと指摘されています。
シャローエコロジーの主張

シャローエコロジーの特徴は、環境問題をその表面的な部分のみで捉える点にあります。環境保全を主張する一方で、環境破壊の根本的な原因である経済成長や消費主義に対しては批判的ではありません。
そのため、自然保護区の設置や汚染の削減といった対策が中心となり、環境問題を根本から解決するというよりも、環境破壊の進行を遅らせることに主眼が置かれがちです。
ディープエコロジーとの違い

ディープエコロジーとは、自然と人間は切り離せない関係にあり、人間は自然の一部であるという考え方です。これに対してシャローエコロジーは、自然と人間の関係を分断し、自然を人間との関係で評価する考え方であり、自然を人間に役立つものとして見る傾向があります。自然それ自体に価値を認めるディープエコロジーとは、この点で対照的です。
シャローエコロジーの例としては、自然保護区を設けて希少な動植物を守ることや、工場の汚染を減らして大気をきれいにすることなどが挙げられます。いずれも、環境を保護して人間が住み続けられるようにすることが目的です。
一方、ディープエコロジーの例には、自然と調和した生活を送ろうとする思想や、自然破壊を防ぐために経済成長を抑制しようとする取り組みなどがあります。こちらは自然そのものの価値を尊重し、人間が自然の一部として共存することを目指しています。
つまり両者は、同じ環境問題に取り組んでいても、人間にとって便利で快適な環境づくりを重視するのか、自然の価値そのものを重視するのかという点で大きく異なるのです。
シャローエコロジーの批判

前述のとおり、シャローエコロジーはしばしば「人間中心主義」と呼ばれ、環境への影響を最小限に抑えるための環境保護と持続可能な開発を重視します。しかし、この立場には複数の批判が向けられています。
第一に、人間中心主義的であるがゆえに、環境の固有の価値を無視しているという指摘です。環境を単なる人間の資源とみなし、自然本来の美しさや多様性の保護を重視していないというのです。また、消費や経済成長に重点を置きすぎており、環境破壊を根本的に解決できないとも主張されています。
第二に、短期的な視点にとどまっているという批判もあります。環境保護と持続可能な開発を掲げてはいるものの、人間活動が長期的には環境を破壊しかねないという事実を十分に考慮していないと指摘されます。
このように批判は根強く、シャローエコロジーだけで環境問題を解決できるわけではないというのが共通認識です。それでも、人間が環境に与える影響を軽減するための第一歩としては価値があると評価されています。
シャローエコロジーの課題

シャローエコロジーは環境保護に役立つ一方で、いくつかの課題を抱えています。
第一の課題は、自然環境と人間活動を切り離して考える傾向です。自然環境を人間活動から守ることを重視するものの、人間活動そのものを根本的に変えることは想定していないため、保護が十分に進まないおそれがあります。
第二の課題は、環境問題を個別に取り扱う傾向です。実際には、森林破壊が気候変動を引き起こし、気候変動が海面上昇や異常気象につながるように、環境問題は相互に関連しています。それぞれを独立した問題として扱うシャローエコロジーでは、総合的な解決が難しいのです。
これらの課題を克服するには、新しいアプローチが求められます。一つは、自然環境と人間活動を統合的に考えることです。両者は密接に関連しており、自然環境を守るためには人間活動そのものを変える必要があるという認識に立ちます。
もう一つは、環境問題の総合的な解決です。一つの問題を解決しても他の問題が残ることを踏まえ、相互の関連を意識しながら、さまざまなアプローチを組み合わせて取り組んでいくことが欠かせません。


