絶滅のおそれのある野生動植物種の生息域外保全に関する基本方針って?

環境問題に関すること
この記事は約5分で読めます。

絶滅のおそれのある野生動植物種の生息域外保全に関する基本方針って?

絶滅のおそれのある野生動植物種の生息域外保全に関する基本方針について教えてください。

地球環境の専門家

これは環境省が2009年(平成21年)に策定した方針で、絶滅のおそれのある野生動植物種を生息域の外で保全するための基本的な考え方や枠組みを示したものです。本来の生息地で種を守る取り組みを補完する位置づけになっています。

生息域外保全とは、どういうことですか?

地球環境の専門家

生息域外保全とは、絶滅危惧種を本来の生息域の外で保護・繁殖させ、種の絶滅を防ぐ取り組みです。これにより個体数を維持し、種内の遺伝的多様性を保つことにつながります。

絶滅のおそれのある野生動植物種の生息域外保全に関する基本方針とは。

2009年(平成21年)に環境省が策定した「絶滅のおそれのある野生動植物種の生息域外保全に関する基本方針」は、対象種を生息域外で保全する際の基本的な考え方や進め方を示した方針です。

この基本方針について

基本方針とは?

本方針は、絶滅のおそれのある野生動植物種を、本来の生息地以外の場所で保全するための基本的な考え方を定めたものです。野生動植物の保全は、本来の生息地のなかで種を守る「生息域内保全」が原則ですが、生息地の破壊や汚染などにより種が絶滅の危機に瀕している場合には、生息地の外で個体を保護・繁殖させる「生息域外保全」が、これを補完する有効な手段となります。本方針は、こうした生息域外保全を計画的かつ効率的に進めるための統一的な考え方を示し、種の存続を図ることを目的としています。

基本方針では、生息域外保全を行う際の基本的な原則として、以下のことが定められています。

  • 生息域外保全は、絶滅のおそれのある野生動植物種の保全のための補完的な手段として行うこと。
  • 生息域外保全を実施する際には、対象種の生息地とその周辺環境をできる限り保全すること。
  • 対象種とその生息地との関係性を考慮すること。
  • 対象種の個体数をできる限り維持すること。
  • 対象種の遺伝的多様性をできる限り維持すること。

具体的な保全の方法については、対象となる野生動植物種の特性に応じて検討されます。

目的とメリット

目的とメリット

本方針は、絶滅の危機にさらされている野生動植物種を絶滅から守り、種内の遺伝的多様性を維持することを最終的な目標としています。生息地の喪失、気候変動、外来種の侵入、汚染など、野生動植物の生存を脅かすさまざまな要因に対処するうえで、生息域外保全は必要な措置と位置づけられています。

具体的には、

  • 生息環境の急激な悪化から個体を守る「緊急避難
  • 不測の事態に備えて種を確保しておく「保険としての種の保存
  • 飼育・繁殖を通じた「科学的知見の集積」

が、生息域外保全の実施目的とされています。こうした取り組みは、対象種そのものの保全に役立つだけでなく、ひいてはその種が関わる生態系全体の保全にも貢献します。

さらに、生息域外保全は、将来の再導入プログラムに向けて個体群を維持する重要な手段でもあります。再導入とは、絶滅の危機にある野生動植物を元の生息地に戻すことを目的とした取り組みであり、その成功には、生息域外で健康な個体群を維持しておくことが欠かせません。

具体的な取り組み例

具体的な取り組み例

生息域外保全は世界各地で実施されており、その手法は対象種によってさまざまです。代表的な取り組みには次のようなものがあります。
  • 動物園や水族館での飼育・繁殖:絶滅のおそれのある野生動物を飼育・繁殖させて個体数を増やす取り組み。飼育下で育った個体は、将来的に野生へ再導入される可能性もあります。
  • 植物園やシードバンクでの保全:希少な野生植物の種子を保存し、将来の利用に備えます。種子を発芽させて育てることで個体数を増やすこともできます。
  • 博物館や標本館での保全:対象種の標本を保存し、研究や教育の資料として活用することで、種の保全に役立てます。
  • 遺伝子バンクでの保全:対象種の遺伝情報を保存し、将来の研究や保全活動に活用することで、種の多様性の維持に寄与します。

日本でも、環境省がトキやツシマヤマネコなどを対象に生息域外保全を進めているほか、日本動物園水族館協会や日本植物園協会といった機関が、繁殖や種子保存の取り組みを重ねています。

実施にあたっての課題は?

実施にあたっての課題は?

本基本方針は、生息域外保全を進めるうえでの基本的な指針として位置づけられています。

そのなかでは、生息域外保全を実施するにあたって、以下の課題が挙げられています。

  • 生息域外保全の対象となる野生動植物種の選定
  • 生息域外保全を行う場所の確保
  • 必要な資金の確保
  • 保全のための技術開発
  • 国際協力の推進

基本方針では、これらの課題に対応するため、調査に基づく対象種の選定や、関係機関と連携した実施場所・予算の確保、技術開発、国際協力の推進といった施策が示されています。多様な関係機関が連携して保全に取り組んでいくことが求められています。

今後の展望

今後の展望

本方針に基づく施策の推進は、絶滅のおそれのある野生動植物種の生息域外保全を促進し、野生動植物の多様性と生態系サービスの持続可能な利用に貢献するものです。あわせて、生息域外保全に関する国際的な取り組みへの貢献も期待されています。

今後、生息域外保全を推進するにあたっては、以下の点に留意することが重要です。

  • 国内外での協力・連携のもと、総合的かつ計画的に進めること。
  • 対象種の生態や保全状況に応じて、さまざまな手法を組み合わせた多面的・総合的なアプローチをとること。
  • 対象種の生息地や生態系の保全と調和を図りながら実施すること。
  • 現地の人々の理解と協力を得ながら進めること。

こうした取り組みを着実に積み重ねることで、生物多様性の保全と、その恵みである生態系サービスを将来にわたって活かしていくことにつながると期待されます。

タイトルとURLをコピーしました