国連生物多様性サミットとは?

環境に関する用語『国連生物多様性サミット』について教えてください。

地球環境の専門家
国連生物多様性サミットとは、2020年9月の第75回国連総会に合わせて同月30日に開催された、生物多様性の保全について議論する首脳級の国際会議です。

その会議には、日本からの政府代表者も参加しましたか?

地球環境の専門家
はい、小泉進次郎環境大臣(当時)が出席しました。サミットでは、生物多様性の損失を食い止め、自然と共生する社会の実現に向け、各国がさらに行動を強化していくことが確認されました。
国連生物多様性サミットとは。
2020年9月30日、第75回国連総会に関連して「国連生物多様性サミット」がオンライン形式で開催され、小泉進次郎環境大臣(当時)をはじめ各国首脳が出席しました。生物多様性の保全と持続可能な利用について、活発な議論が交わされた首脳級会合です。
国連生物多様性サミットの概要

国連生物多様性サミットは、生物多様性保全の重要性を国際的に議論する首脳級会合で、2020年9月30日に第75回国連総会と並行してオンラインで開催されました。
背景には、生物多様性条約(CBD)に基づく締約国会議(COP)の枠組みがあります。CBDは、生物多様性の保全と持続可能な利用、ならびに遺伝資源から得られる利益の公正・衡平な配分を目的とする国際条約で、1992年の地球サミットで採択され、翌1993年に発効しました。締約国会議はおおむね2年に1度開かれ、各国代表が生物多様性をめぐる多様な課題について協議しています。
サミットの議題には、生物多様性の現状と課題、保全のための施策、持続可能な利用と利益配分、科学的・技術的な国際協力、資金面の支援などが並びました。狙いは、生物多様性保全の重要性に対する世界的な認識を高め、具体的な行動につなげることにあります。なお、2010年に愛知県名古屋市で開催されたCOP10では、2020年までの世界目標である「愛知目標(愛知ターゲット)」が採択されています。
開催の経緯と目的

2020年のサミットは、愛知目標の達成期限を迎えるなか、その総括とポスト2020生物多様性枠組(次期世界目標)の策定に向けて政治的機運を高めることを目的に開催されました。
源流は、1992年6月にブラジル・リオデジャネイロで開かれた「国連環境開発会議(地球サミット)」にさかのぼります。ここで生物多様性条約が採択され、翌1993年に発効。同条約は、地球上の生物多様性とそれを支える生態系を保護し、持続可能な利用を進めるとともに、遺伝資源から生じる利益を公正に配分することを目指しています。2020年のサミットは、こうした条約の理念を改めて確認するとともに、生物多様性の損失に歯止めをかける国際的な行動を強化する場ともなりました。
参加国首脳の声明と議論

サミットでは、各国首脳による声明発表と議論が行われました。首脳らは、生物多様性の喪失が気候変動と並ぶ重大な地球規模の危機であるとの共通認識を確認し、2030年までに損失を食い止めて回復軌道に乗せる方針を表明。あわせて、保全と持続可能な利用を促進するための資金・技術支援を強化する必要性についても議論されました。
議論の俎上には、生物多様性喪失の原因や影響、具体的な保全行動などがのぼりました。首脳らは、森林破壊、海洋汚染、気候変動、過剰な資源利用といった要因が生物多様性の喪失を加速させていると指摘し、これらへの対処の重要性を強調しています。さらに、食料・水・健康など人間の生存に不可欠な生態系サービスを提供する生物多様性は、人類の持続可能性そのものを左右する基盤であるとの認識も共有されました。
このサミットは、2022年12月にカナダ・モントリオールで開催されたCOP15で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」へとつながる政治的モメンタムを生み出し、生物多様性の損失に歯止めをかける大きな一歩となりました。
国連生物多様性サミット後の世界

サミットの先に描かれるのは、生物多様性と生態系サービスの保全・持続可能な利用が、経済成長と発展の基盤として位置づけられる社会です。これは、各国政府、企業、市民社会、先住民、科学者などが連携し、生物多様性の損失を止め、生態系の回復を促す国際協定や政策を着実に実行することによって実現されます。
そこでは、持続可能な農業や林業が広く普及し、水資源は効率的に管理され、汚染も削減されていきます。エネルギーの中心は再生可能エネルギーに移り、都市やインフラも自然と調和する形で設計されていくでしょう。
人々のあり方も変わります。生物多様性の価値を理解し、生態系サービスを維持するために必要な行動を選び取るようになる――具体的には、持続可能な消費と生産のパターンを採用すること、自然保護区や世界自然遺産を支援すること、気候変動対策に参画することなどが挙げられます。
目指す姿は、人類と自然が調和して共生する持続可能な社会です。世界中のあらゆる人が生物多様性と生態系サービスの価値を認識し、その保護のために行動する――それが、サミットの先に描かれた世界像です。
私たちができること

国連生物多様性サミットは、生物多様性の重要性と保全の必要性をめぐり、世界のリーダーが一堂に会して協議する会議でした。生物多様性は、地球上のさまざまな生き物とその生息地の多様性を指しますが、食料・水・空気・薬品・建材など、人間の暮らしを支える基盤を提供しています。さらに、気候変動や災害の影響を和らげる役割も担っています。
生物多様性を守るために、私たち一人ひとりにもできることがあります。たとえば、以下のような取り組みが挙げられます。
- 自然環境を破壊しないようにする:森林伐採や湿地の埋め立てを避け、化学物質を環境中に放出しないこと、リサイクルやコンポストを実践することなど。
- 持続可能な方法で農業を行う:化学肥料や農薬の使用を減らし、土壌を保護し、多様な作物を栽培すること。
- 持続可能な方法で漁業を行う:乱獲を避けて海洋資源を保護し、海洋汚染を防ぐこと。
- 絶滅危惧種を保護する:絶滅危惧種の生息地を守り、保護のための法律や条約を支持すること。
- 生物多様性の重要性について教育する:子どもたちに生物多様性の大切さを伝え、大人にもその意義を広める活動を行うこと。


