革新的環境イノベーション戦略とは?

革新的環境イノベーション戦略とは何ですか?

地球環境の専門家
革新的環境イノベーション戦略とは、2050年までに日本や世界のカーボンニュートラルなどを目指すための政府の戦略です。日本が強みを持つエネルギー・環境分野において技術面での革新的なイノベーションを創出し、社会実装が可能なコストを実現して、世界に広めていくことを内容としています。

具体的にはどのような取り組みが行われているのですか?

地球環境の専門家
例えば、再生可能エネルギーの導入促進、エネルギー効率の向上、脱炭素社会の実現に向けた技術開発などが行われています。
革新的環境イノベーション戦略とは。
革新的環境イノベーション戦略とは、2050年までに日本および世界のカーボンニュートラルを達成するための政府の戦略です。日本が優位性を持つエネルギーや環境の分野で技術革新を創出し、社会実装可能なコストを実現して、それを世界に広めていくという内容です。統合イノベーション戦略推進会議(議長:内閣官房長官)が、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」(2019年6月閣議決定)および「統合イノベーション戦略2019」(2019年6月閣議決定)を踏まえ、2020年1月に決定しました。
革新的環境イノベーション戦略の目的と概要

革新的環境イノベーション戦略は、環境問題の解決と経済発展の両立を目的とした戦略です。具体的には、
- 非化石エネルギーで電力をつくる
- エネルギーネットワークで電力需給を調整して届ける
- 水素をエネルギーやその他産業工程で活用する
- 排出されたCO2を、カーボンリサイクル・CCUSで回収・再利用する
- 排出されたCO2を、生態系を活かすゼロエミ農林水産業で吸収する
という5つの領域を柱としています。
また、本戦略は、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」とも整合しています。SDGsは、貧困や飢餓の撲滅、質の高い教育の確保、気候変動対策など、17の目標と169のターゲットからなる国際目標であり、本戦略はこれらの達成にも貢献することを目指しています。
革新的環境イノベーション戦略は、政府、企業、市民社会、国際機関など、さまざまなステークホルダーの参画によって推進されており、持続可能な社会の実現に向けた重要な取り組みとなっています。
革新的環境イノベーション戦略の推進体制

革新的環境イノベーション戦略を推進するために、政府は関係府省庁と連携した総合的な推進体制を構築しています。内閣に設置された統合イノベーション戦略推進会議が戦略を決定(策定)し、環境省・経済産業省・文部科学省などの関係府省庁が参画して、戦略の実施・評価などを行っています。
各府省庁は、それぞれの専門知識や政策資源を活用して戦略の推進に協力しています。さらに、民間企業や学識経験者など外部有識者の意見も取り入れることで、戦略の一層の充実を図っています。これにより、本戦略は政府全体で取り組むべき課題として位置づけられ、官民連携のもとで戦略的に推進されています。
革新的環境イノベーション戦略の重点分野

革新的環境イノベーション戦略は、気候変動という差し迫った課題に対処し、2050年のカーボンニュートラルと持続可能な未来を実現するために重要な役割を果たしています。その中核をなす「イノベーション・アクションプラン」では、5つの分野・16の技術課題、そして日本の技術力を活かせる39の開発テーマを設定しており、これらの技術は次の5つの重点領域に整理されています。
革新的環境イノベーション戦略の5つの重点領域は、以下の通りです。
非化石エネルギー:
太陽光や風力をはじめとする、CO2を排出しない再生可能エネルギーの利用を進める分野です。設置場所の制約を克服する次世代型太陽電池などの革新的技術の開発が進められており、電力供給にとどまらず、水素やカーボンリサイクルを通じてあらゆる分野への貢献が期待されています。
エネルギーネットワーク:
再生可能エネルギーを安定的に活用するために不可欠な分野です。蓄電池をはじめとする技術で電力系統(送電網)を調整し、天候によって変動する発電量と需要のバランスを最適化することで、つくられたエネルギーを無駄なく事業者や家庭に届けます。
水素:
再生可能エネルギーやCCS(CO2回収・貯留)を活用して製造される「CO2フリー水素」を、運輸・産業・発電などさまざまな分野で化石燃料の代替として利用する分野です。エネルギー源として使えるだけでなく、鉄鋼業の脱炭素化(水素還元製鉄)など産業分野での活用も期待されています。
カーボンリサイクル・CCUS:
排出されたCO2を回収し、炭素資源として製品づくりなどに再利用する「カーボンリサイクル」や、回収したCO2を貯留・有効利用する「CCUS(二酸化炭素の回収・利用・貯留)」を推進する分野です。削減が難しい産業分野などで大きな効果が見込まれています。
ゼロエミ農林水産業(農林水産業・吸収源):
世界の温室効果ガス排出量の約4分の1を占めるとされる農林水産分野で、生態系を活かしてCO2の排出削減・吸収を目指す分野です。バイオ燃料の活用や、土壌・森林・海洋(ブルーカーボン)への炭素貯留などの取り組みが含まれます。
これらの重点領域で革新的な技術開発を進めることで、私たちはより持続可能な未来を築くことができます。
革新的環境イノベーション戦略の推進状況

2020年1月に策定された本戦略は、同年10月に日本政府が宣言した「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて、具体的な技術開発・社会実装の道筋を示しています。関係府省庁が連携して進捗管理を行っており、特に再生可能エネルギーや省エネルギー分野、水素エネルギー、CCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)などの分野で技術開発が進展しています。
また、世界知的所有権機関(WIPO)などが発表する「グローバル・イノベーション・インデックス」においても、日本は比較的上位にランクインしており、イノベーション能力の面で国際的に高い評価を得ています。今後、環境イノベーションにおける力量も試されていくでしょう。
革新的環境イノベーション戦略の課題と展望

第一に、高額な投資の必要性が挙げられます。新技術の開発や導入には多額の資金が必要であり、企業や政府が投資を躊躇するケースもあります。
第二に、既存の産業や規制との競合の問題があります。新技術の導入は従来の産業構造や規制の変更を必要とする場合があり、既得権益の抵抗に直面することがあります。
さらに、革新的環境イノベーションは長期的な投資を必要とし、不確実性を伴うことも課題です。新技術の開発や社会実装には時間がかかり、成果が得られるまでのリスクを企業や政府が負担することが求められます。
こうした課題はあるものの、官民が連携し、新技術の開発や導入を継続的に進めることで、カーボンニュートラル社会の実現に近づくことが期待されています。


