国際森林年とは何か?

『国際森林年』って、具体的に何を目的としているんですか?

地球環境の専門家
『国際森林年』の目的は、森林の重要性を世界中にアピールし、森林の保全と持続可能な利用を促進することです。

森林の重要性って、具体的にはどんなものがありますか?

地球環境の専門家
森林は、気候変動の緩和、生物多様性の保全、水資源の涵養、土壌侵食の防止など、さまざまな重要な役割を果たしています。
国際森林年とは。
「国際森林年」とは、国連が採択・決議した国際年の一つで、森林の重要性を世界に訴え、その保全と持続可能な利用を促進することを目的としていました。2006年12月の第61回国連総会で2011年を「国際森林年」とすることが決定され、国際テーマ「Forests for People(人々のための森林)」のもと、「国連森林フォーラム(UNFF)」事務局を中心に、各種の国際イベントが展開されました。
日本では「森を歩く」を国内テーマに掲げ、2010年12月に金沢市で「2010国際生物多様性年」から引き継ぐブリッジングセレモニーを開いたのを皮切りに、さまざまな取り組みが進められました。
国際森林年が採択・決議された経緯(2度の国際森林年)

国際森林年が設定された背景には、世界的な森林の減少・劣化への危機感があります。
1985年には熱帯林の急激な減少に対処するため、国連食糧農業機関(FAO)は(国連総会決議に基づいたものではなかったのですが)最初の「国際森林年」を独自に定め、地球規模での普及啓発を実施しました。さらに1992年の「地球サミット」では森林問題が主要議題の一つとなり、すべての種類の森林の持続可能な管理を目指す「森林原則声明」が採択されます。これを契機に国際的な森林保全の取り組みが進み、2000年には国連経済社会理事会(ECOSOC)のもとに「国連森林フォーラム(UNFF)」が設置されました。
そして2006年12月の第61回国連総会において、2011年を2度目の「国際森林年」とすることが決議されたのです。同一名称で国際年が再び設定されたことは、それだけ森林問題が深刻化していることを示しています。
国際森林年の国際テーマと目的

2011年の国際森林年は、世界における森林の重要性と価値を再認識し、その保全と持続可能な森林管理を促進することを目的とした国連の取り組みです。国際テーマ「Forests for People(人々のための森林)」には、私たち人間が森林の管理・保全において中心的な役割を担うという意味が込められています。具体的な目的は、森林保全と持続可能な管理の推進、森林の多様な価値の認識に加え、国際社会の森林に関する取り組みを再活性化し、森林をめぐる国際的なコミュニケーションと協力を強化することにありました。
国際森林年のクロージングセレモニーで表彰された日本人

国際森林年のクロージングセレモニーは、2012年2月9日にニューヨークの国連本部で開催され、森林保護に貢献した功労者を顕彰する「フォレスト・ヒーローズ」の表彰が行われました。世界5地域から選ばれた受賞者のうち、アジア地域の「フォレスト・ヒーロー」には、NPO法人「森は海の恋人」理事長の畠山重篤氏が選出されました。
畠山氏は、宮城県気仙沼市でカキ養殖業を営みながら、「森は海の恋人」を合言葉に、気仙沼湾に注ぐ大川上流域での植樹活動を20年以上続けてきました。森林が育んだ養分が河川を通じて海に注ぎ、豊かな海を支えていることを訴え、森林保全と海洋環境保全のつながりを広く啓発してきた人物です。その受賞は、日本の森林保全の取り組みが世界的に評価されたことを意味するとともに、森林保全に取り組む人々を励ますものとなりました。
日本における国際森林年の取り組み

日本は、森林面積が国土の約3分の2にあたる約2,500万ヘクタールを占める世界有数の森林国です。先進国(OECD諸国)の中でもフィンランドやスウェーデンに次いで森林率が高く、森林は木材生産、水源涵養、土砂崩壊防止、野生動植物の保護など、多様な機能を果たしています。
国際森林年に際しては、政府や民間団体が連携し、森林の保全と持続可能な森林経営を推進する取り組みが行われました。国内テーマ「森を歩く」には、誰でも気軽にできる行動として、まず森を歩くことから始めようという思いが込められ、サブテーマには「未来に向かって日本の森を活かそう」「森林・林業再生元年」が定められました。各地では植樹祭や自然観察会などのイベントやキャンペーンが開かれ、森林の恵みを未来の世代へ継承する機運が高められました。
国際森林年の意義と今後の展望

森林は地球の陸地の約3分の1を占め、水源涵養、土壌保全、大気浄化、生物多様性の保全など、地球の生態系を維持するうえで欠かせない恩恵を人類にもたらしています。しかし近年、開発や気候変動によってその減少が続いており、国際森林年はこうした森林の減少を食い止め、保全と持続可能な利用を推進することを目的に実施されました。
その取り組みは、その後の国際的な枠組みにも引き継がれています。「国連森林フォーラム(UNFF)」では持続可能な森林経営に関する議論が続けられ、2017年には「国連森林戦略計画2017-2030」が採択されました。同計画では、2030年までに国際社会が達成すべき6つの世界森林目標と26のターゲットが掲げられています。国際森林年は森林の重要性への認識を世界的に高めることに貢献しましたが、森林の減少は依然として続いており、高まった機運をさらに発展させ、減少を食い止めることが今後の課題となっています。


