都市の生物多様性指標とは?

都市の生物多様性指標について教えてください。

地球環境の専門家
都市の生物多様性指標とは、都市の生物多様性の状況や、それを保全するための取組みを地方公共団体が把握・評価し、将来の施策立案や普及啓発などに活用できるよう、国土交通省が策定した指標です。

都市の生物多様性指標はどのように活用されるのですか?

地球環境の専門家
都市の生物多様性の現状を把握して課題を洗い出し、その結果を保全・回復のための施策づくりに役立てる、という形で活用されます。
都市の生物多様性指標とは
「都市の生物多様性指標」は、都市の生物多様性の状況や、それを保全するための取組みを地方公共団体が把握・評価し、将来の施策立案や実施、普及啓発などに活用できる指標として、国土交通省が策定したものです。
2013年度(平成25年度)に「都市の生物多様性指標(素案)」が策定されましたが、素案では指標の算定に必要なデータを地方公共団体が十分に保有していないなどの課題があったため、改良が加えられ、2016年11月に「都市の生物多様性指標(簡易版)」が策定されました。
都市の生物多様性指標の目的

都市の生物多様性指標は、都市における生物多様性を定量的に評価するための指標です。都市環境における生物多様性の状態を客観的に把握し、その情報を保全に向けた意思決定や政策立案の基盤として役立てることを目的としています。
評価にあたっては、都市の緑地の量や質、生物の種類や数、生態系サービスの提供量など、さまざまな要素を考慮します。これにより、都市の生物多様性のパターンや傾向を追跡して経年変化を評価できるほか、都市間の比較にも用いることができます。
さらに、生物多様性に配慮した都市計画や開発を進め、その保全のための方策を立案するうえでも、重要なツールとなります。
都市の生物多様性指標の指標項目

緑の量に関する指標(生態系・ハビタットの多様性)
都市における緑地や樹木の面積・割合(緑被率など)を評価します。緑地の量は、生物の生息環境の基盤となる重要な要素です。
緑の質に関する指標(生態系・ハビタットの多様性)
樹林地・草地・水辺など多様な環境の有無と、その有機的つながりを評価します。質の高い緑地は、より多くの生物種を支えることができます。
生物の生息状況に関する指標(都市の取組)
鳥類や昆虫類など、都市に生息する生物種の数についての調査の実施状況を評価します。生物の生息状況は、都市の生態系の健全性を示す手がかりとなります。
緑の質に関する指標(生態系サービス)
緑地の温室効果ガス吸収量、冷涼化効果、透水効果などを、評価します。
行政の取り組みと市民の活動に関する指標(都市の取組)
行政が、都市計画するにあたって生物多様性にいかに配慮しているか、生物多様性の保全に関わる活動に住民や企業がいかに参加しているかを評価します。行政の配慮はもちろん、企業や市民の参加は、都市の生物多様性を支える重要な要素です。
都市の生物多様性指標の算定方法

算定の方法は、対象とする都市の特性や利用できるデータによって異なります。
一般的に都市の生物多様性を(この指標にこだわらず)評価するには、植物や動物の種類数、生息地の種類や質、緑地の面積や分布状況などを調査・測定します。あわせて、大気汚染や水質汚濁といった環境ストレスの程度や、都市開発に伴う土地利用の変化を把握することも重要です。
「都市の生物多様性指標(簡易版)」では、国土数値情報のように地方公共団体が比較的容易に入手できるデータをもとに算定できるよう工夫されています。これらの指標を組み合わせることで、都市の生物多様性の状態を総合的に評価し、保全・改善に向けた施策立案に役立てることができます。
都市の生物多様性指標の活用方法

都市の生物多様性指標は、生物多様性の保全と持続可能な都市開発の両立に向けて、さまざまな場面で活用できます。
例えば、緑地面積や生物種の多様性を評価した結果をもとに、緑地の保全策や生物多様性を高める対策を具体的に検討できます。また、開発が生物多様性に与える影響を事前に評価し、より持続可能な開発計画づくりにつなげることもできます。
このように都市の生物多様性指標は、地方公共団体が生物多様性に配慮した都市づくりを進めるうえで欠かせない判断材料となります。
都市の生物多様性指標の課題と今後の展望

まず、都市は自然環境と人工環境が入り混じる複雑な空間であるため、生物多様性を的確に評価する指標を設計すること自体が容易ではありません。また、気候変動や土地利用の変化など多様な要因が生物多様性に影響を及ぼすことから、その変化を確実にとらえるモニタリング手法の確立も課題となっています。
さらに、指標が政策立案者や都市計画者にとって理解しやすく、実務で使いやすいものであることも求められます。実際、素案の公表後には算定に必要なデータを地方公共団体が十分に確保できないという問題が明らかになり、これが簡易版の策定につながりました。
今後は、データの整備や調査手法の改善を進めるとともに、政策立案者や都市計画者への普及啓発を図り、指標が実際の施策に効果的に活用される環境を整えていくことが重要です。


