サステイナビリティ学連携研究機構

サステイナビリティ学連携研究機構について分かりやすく教えてください。

地球環境の専門家
サステイナビリティ学連携研究機構(IR3S:Integrated Research System for Sustainability Science)は、地球温暖化をはじめ人類の生存基盤が揺らぐ諸課題に対して、地球社会を持続可能なものへ導くための新しい学術体系「サステイナビリティ学」を確立し、その世界的な研究教育拠点を形成することを目的に、2005年に発足したネットワーク型の研究機構です。

サステイナビリティ学連携研究機構は、どのような活動をしていますか?

地球環境の専門家
連携する大学・研究機関が相互に協力し、国際学術誌『Sustainability Science』の刊行や国際シンポジウムの開催、国際プロジェクト「フューチャー・アース」への参画など、幅広い研究・教育活動を展開しています。
サステイナビリティ学連携研究機構とは。
「サステイナビリティ学連携研究機構」(略称:IR3S)は、持続可能な地球社会を構築するためのビジョンを学際的に探究するネットワーク型の研究機構です。2005年7月、東京大学を中核として設置され、翌2006年度には京都大学、大阪大学、北海道大学、茨城大学が参加校として加わりました。その後、東洋大学、東北大学、国立環境研究所、千葉大学、早稲田大学、立命館大学などが連携機関として参画し、複数の大学・研究機関が協働する体制が整えられました。本機構は、国際学術誌『Sustainability Science』の創刊や国際シンポジウムの開催など、研究・教育・社会連携にわたる多彩な活動を行ってきました。
なお、IR3Sは2019年4月1日に東京大学政策ビジョン研究センター(PARI)と発展的に統合し、東京大学未来ビジョン研究センター(IFI:Institute for Future Initiatives)として新たに再編されています。
サステイナビリティ学とは

サステイナビリティ学は、人間活動と自然環境が調和した持続型社会の構築を目指す、比較的新しい学術体系です。ここでいう持続可能な社会とは、環境・経済・社会の3側面が調和した状態を指し、その実現には環境保全、経済発展、社会的公正という3つの要素が不可欠とされています。
対象となる課題は、気候変動、生物多様性・生態系サービスの劣化、資源・エネルギー問題、貧困や格差など多岐にわたります。これらは単一の学問分野では解決しえないため、自然科学・社会科学・人文科学の知見を俯瞰的・統合的に融合させるアプローチが採られています。個別分野に蓄積された専門知を体系化する「知識のイノベーション」と、それを社会実装へつなげる仕組みづくりが、サステイナビリティ学の中核的な役割です。
新興の学問分野でありながら、SDGs(持続可能な開発目標)をはじめとする国際的な課題解決の枠組みと親和性が高く、その重要性はますます高まっています。
サステイナビリティ学連携研究機構の設立経緯

IR3S設立の背景には、地球温暖化、生物多様性の損失、資源・エネルギー問題、貧困や格差など、人類の存続にかかわる地球規模の複合課題が顕在化してきたことがあります。これらを解決するには、個別分野の研究の積み上げだけでは限界があり、分野横断的で総合的な学術、すなわちサステイナビリティ学を確立する必要があるとの認識が共有されていました。
こうした問題意識のもと、2005年7月に東京大学総長を機構長として本機構が設置され、翌年度から京都大学、大阪大学、北海道大学、茨城大学が参加校として連携に加わりました。その後、東洋大学、東北大学、国立環境研究所、千葉大学、早稲田大学、立命館大学などが連携機関として加わり、大学・研究機関が協力するネットワーク型の研究体制へと発展しています。
本機構は、多分野の研究者や専門家が協働して新たな知見を創出することに加え、講演会やシンポジウム、政策提言を通じた研究成果の社会還元にも積極的に取り組んできました。
サステイナビリティ学連携研究機構の活動内容

IR3Sは、持続可能な社会の実現に向け、学際的な研究・教育と社会連携を一体的に推進してきた研究機関です。活動は、研究、教育、産業界との連携、社会との連携の4つの柱から構成されます。
本機構の主な活動の柱は、以下の通りです。
- 持続可能な社会の実現に向けた研究
- 持続可能な社会の実現に向けた教育
- 産業界との連携
- 社会との連携
研究テーマは、地球規模の持続可能性に関わる主要課題を幅広くカバーしています。
- 気候変動問題への対応
- エネルギー問題の解決
- 食料問題の解決
- 水問題の解決
- 生物多様性の保全
- 持続可能な都市の構築
教育面では、大学院課程や公開講座を通じて、サステイナビリティ学を担う人材の育成に取り組んできました。
- サステイナビリティ学に関する修士課程(東京大学大学院新領域創成科学研究科「サステイナビリティ学教育プログラム」など)
- 博士課程レベルでの研究指導
- サステイナビリティ学に関する公開講座
産業界との連携では、研究成果の社会実装に重点を置いた取り組みが行われています。
- 企業との共同研究
- 研究成果の技術移転
- 高度専門人材の輩出
社会との連携では、政策形成と国際協力の両面で成果を社会に還元しています。
- 市民向けの啓発・アウトリーチ活動
- 国や自治体への政策提言
- 国際機関・海外研究機関との協力(国際プロジェクト「フューチャー・アース」への参画など)
サステイナビリティ学連携研究機構の成果

IR3Sの成果は、環境・経済・社会の3側面にまたがる幅広い領域で蓄積されてきました。
環境分野では、太陽光発電や風力発電をはじめとする再生可能エネルギーの研究開発や、森林の再生・保全、生態系サービスの評価に関する研究が進められてきました。経済分野では、持続可能な経済成長を支える政策設計や企業経営のあり方が検討され、社会分野では、社会正義・人権・健康・地域コミュニティのレジリエンスなどに関する研究が行われています。
また、国際学術誌『Sustainability Science』の創刊を主導し、国際サステイナビリティ学会(ISSS)の設立にも関与するなど、学術的プラットフォームの形成を通じて分野そのものの発展にも寄与してきました。これらの知見は、政策決定者、企業、市民など多様なステークホルダーに活用され、持続可能な社会の実現に貢献しています。
サステイナビリティ学連携研究機構の今後の展望

IR3Sが築いてきた学際的な研究・教育の基盤と国際ネットワークは、2019年の組織統合を経て、東京大学未来ビジョン研究センター(IFI)に引き継がれています。IFIは、東京大学がSDGs達成に向けて推進する「未来社会協創推進本部(Future Society Initiative:FSI)」の中核的組織として位置づけられ、サステイナビリティ学の発展と社会実装をさらに強力に推し進める体制を整えています。
今後は、学際研究と人材育成をいっそう深化させるとともに、産業界、政府、市民社会との連携を強化し、政策提言や社会実装を通じて持続可能な社会の構築を加速していくことが求められます。加えて、国際的な学術ネットワークを拡充し、フューチャー・アースをはじめとする国際プロジェクトを通じて、世界の持続可能な発展に貢献していくことも重要な方向性です。
サステイナビリティ学連携研究機構が築いた学術的基盤と実践的活動の蓄積は、その後継であるIFIのもとで、地球規模課題の解決と持続可能な未来社会の創造に向け、今後も発展し続けていきます。


