「国民総幸福量」とは何か?幸福度を測る新しい考え方
先生、『国民総幸福量』について教えてください。
地球環境の専門家
『国民総幸福量』とは、国民の幸福量を「豊かさ」の指標と見なすべきとして、ブータン国王ジグメ・シンゲ・ワンチュクさんが提唱した概念だよ。
ブータン国王が提唱されたのですか?
地球環境の専門家
そうだよ。ブータンでは、国民の幸福度を重視する政策が進められていて、『国民総幸福量』はその指標として使われているんだよ。
国民総幸福量とは。
「環境に関する呼称のひとつである『国民総幸福』。これは、経済成長や富の向上だけでは国民の幸福とはいえないとし、国民の幸福度を「豊かさ」の指標と捉えるべきだと唱えた概念です。1980年代にブータン国王ジグメ・シンゲ・ワンチュクが提唱し、1998年に開かれた国連開発計画(UNDP)のアジア太平洋地域会議で、当時のブータン首相ジグミ・ティンレイが先進国の経済成長による発展に疑問を投げかけたことで、広く注目されるようになりました。」
国民総幸福量の提唱者
国民総幸福量(Gross National Happiness GNH)は、ブータンで提唱された新しい経済開発と幸福の指標です。伝統的な経済指標である国内総生産(GDP)は、物やサービスの生産量を測定するのに対し、GNHは、国民の幸福の質を測定することを目的としています。
国民総幸福量の提唱者は、ブータン国王のジグミ・シンゲ・ワンチュクです。ワンチュク国王は、1972年に「国民総幸福こそ真の開発の指標である」と宣言し、GNHの概念を初めて提唱しました。
ワンチュク国王は、国民の幸福は経済成長だけでは達成できないと考えていました。経済成長は確かに国民生活の向上に貢献しますが、それが必ずしも国民の幸福につながるわけではありません。例えば、経済成長が環境破壊や格差拡大を招く場合もあります。
そこで、ワンチュク国王は、経済成長以外の要素も考慮した新しい幸福の指標を提唱しました。それが国民総幸福量です。
国民総幸福量の考え方
国民総幸福量(Gross National HappinessGNH)とは、国の経済成長や物質的な豊かさだけでなく、国民の幸福度を重視した新しい開発の考え方です。GNHは、経済成長や物質的な豊かさだけでなく、人々の主観的な幸福度、健康、教育、環境、ガバナンスなど、さまざまな要素を考慮して計算されます。
GNHの考え方は、ブータンで1970年代に提唱されました。ブータンは、経済成長に注力した結果、国民の幸福度が低下していることに気づき、経済成長よりも国民の幸福度に重点を置く新しい開発の考え方を模索し始めました。GNHは、その結果として生まれた考えです。
GNHは、経済成長や物質的な豊かさだけでなく、国民の主観的な幸福度、健康、教育、環境、ガバナンスなど、さまざまな要素を考慮して計算されます。これらの要素は、すべて国民の幸福度に影響を与えることが知られています。
GNHは、新しい開発の考え方として注目を集めています。経済成長や物質的な豊かさだけでは国民を幸せにすることはできない、と気づいた国々は、GNHを参考に、国民の幸福度に重点を置いた開発を行うようになりつつあります。
国民総幸福量の指標
国民総幸福量(Gross National HappinessGNH)とは、国民一人ひとりの幸福度を総合的に測る指標です。これは、国内総生産(GDP)などの経済指標だけでは測れない、社会や環境など多角的な視点から国民の幸福度を測定することを目的としています。
GNHの指標は、以下の9つの領域から構成されています。
1. 心理的幸福
2. 健康
3. 教育
4. 生活水準
5. 環境
6. コミュニティの活力
7. 文化的多様性
8. ガバナンス
9. 安全保障
これらの領域は、それぞれ複数の指標で構成されており、それらを総合的に評価することで、国民総幸福量を算出します。
GNHは、経済成長のみを追求するのではなく、国民の幸福度を重視した政策立案を促すことを目的としています。この指標は、世界各国で注目を集めており、多くの国がGNHを参考に政策立案を行っています。
国民総幸福量の利点
国民総幸福量の利点は、国民総生産(GDP)よりも包括的で、経済面だけでなく、環境や社会、個人の幸福など、さまざまな側面を考慮して幸福度を測ることができるという点です。従来の経済指標は、経済成長に重点を置いているため、経済成長がもたらす負の外部性や、経済成長だけでは測れない人々の幸福度を考慮することが困難です。国民総幸福量は、経済成長だけでなく、環境や社会、個人の幸福など、さまざまな側面を考慮して幸福度を測ることで、より包括的な指標として注目されています。
また、国民総幸福量は、政策立案の際に、人々の幸福度をより重視した政策を策定することができるという点も利点です。GDPを重視した政策は、経済成長を優先するため、環境破壊や格差の拡大など、人々の幸福度に悪影響を及ぼす可能性があります。国民総幸福量を重視した政策は、経済成長だけでなく、環境や社会、個人の幸福など、さまざまな側面を考慮して政策を策定することで、人々の幸福度に配慮した政策を策定することができるのです。
国民総幸福量の課題
国民総幸福量とは、国の経済成長や生産性を重視する従来の経済指標とは異なり、人々の主観的な幸福度を測る新しい指標です。国民総幸福量は、世界幸福度報告書を作成している国連持続可能な開発ソリューションネットワークによって開発されました。世界幸福度報告書は、2012年から毎年発行されており、世界各国の幸福度を比較しています。
国民総幸福量を測る指標には、以下のようなものがあります。
・健康寿命
・社会保障
・教育
・雇用
・政治的自由
・人権
・環境
・気候
国民総幸福量の課題は、その測定方法です。人々の幸福度を正確に測定することは困難です。また、国民総幸福量は、経済成長や生産性とは異なる指標であるため、従来の経済指標と比較することが困難です。さらに、国民総幸福量は、国によって異なる価値観や文化の影響を受けやすいため、国際的な比較が難しいという課題もあります。
国民総幸福量は、新しい指標であり、その測定方法や国際的な比較についてはまだ課題が残されています。しかし、国民総幸福量は、人々の主観的な幸福度を測る新しい指標として注目を集めており、今後も研究が進められることが期待されています。