知っておきたい環境用語:パルプモールド

パルプモールドという言葉を聞いたことはあるのですが、いまいち意味がわかりません。

地球環境の専門家
パルプモールドとは、古紙やパルプを水で溶解した後、金型を使って抄き上げて作る紙の立体成形品のことです。

金型を使って抄き上げるってどういうことですか?

地球環境の専門家
金型とは、パルプモールドの形状を決定するための型のことです。「抄き上げる」というのは、古紙などを水で溶かしてパルプ繊維を分散させた液体(スラリー)を作り、金網を張った金型をその中に浸して吸引し、金型の表面にパルプ繊維を付着させる工程を指します。こうして成形したものを乾燥させると、パルプモールド製品が完成します。
パルプモールドとは。(一言で説明)
「パルプモールド」とは、古紙やパルプを原料とし、水で溶解した後に金型で抄き上げて作られる紙の立体成形品のことです。
パルプモールドとは?(概要)

パルプモールドは、古紙や木材パルプなどの植物繊維を水に分散させ、金網を張った金型に吸引して積層・成形する製法で作られる素材です。プラスチック製品の代替品として使用されることが多く、卵パック、食品トレイ、梱包材、緩衝材など、さまざまな製品に活用されています。
パルプモールドには生分解性があり、使用後は土に還るため、環境負荷の少ない素材といえます。また、紙ならではの風合いを活かしたデザインが可能で、近年では化粧品パッケージなど、見た目の美しさが求められる分野でも採用が進んでいます。
パルプモールドのメリット

・生分解性が高い
自然界の微生物によって分解されるため環境負荷が少なく、持続可能な素材として評価されています。使用後は土に還るほか、焼却時にも塩化水素などの有害物質を発生させません。
・リサイクル性に優れている
パルプを原料としているため、使用後は段ボールなどと同様に古紙としてリサイクルできます。また、原料には古紙や段ボールのほか、バガス(サトウキビの搾りかす)や竹繊維といった再生可能な資源を利用することも可能です。
・軽量でクッション性に優れている
軽量でありながら、形状の工夫やリブ構造によって高いクッション性を持たせることができます。この軽さは輸送・保管コストの削減にもつながり、経済的なメリットもあります。
・成形性に優れている
金型を用いてさまざまな形状の製品を製造でき、曲面や細部の表現も可能です。さらに、染料や顔料を添加することで、カラフルな製品にも対応できます。
以上のように、パルプモールドは多くのメリットを持つ素材であり、今後さらに利用が拡大していくことが期待されています。
パルプモールドのデメリット

まず、製造コストが高いことが挙げられます。パルプモールドの製造には専用の金型や成形設備が必要で、特に金型の初期費用はプラスチックの真空成形と比べて高額になる傾向があります。また、乾燥工程に時間がかかるため生産性が上がりにくく、乾燥に要するエネルギーコストも課題となっています。
次に、強度の限界があります。紙を原料とするため、プラスチックや金属に比べて強度が劣り、重い荷重がかかる用途には適さない場合があります。ただし、形状やリブ構造を工夫することで、ある程度の耐荷重性能を確保することは可能です。
最後に、耐水性に乏しい点が挙げられます。紙素材であるため水分に弱く、湿気の多い環境で使用すると変形やカビの原因になることがあります。ただし、近年では撥水加工や耐油加工などの技術開発が進み、水や油に強い製品も登場しています。
パルプモールドの活用事例

中でも近年注目を集めているのが、食品容器への活用です。生分解性が高く環境負荷が少ないことから、プラスチック製容器の代替品として期待されており、テイクアウト用の容器やフードコートの提供容器として導入する企業も増えています。
また、梱包材・緩衝材としての活用も広がっています。クッション性が高く製品をしっかり保護できるため、卵パックや青果物の鮮度保持トレイ、家電・精密機器の梱包材などに広く使用されています。
さらに、近年ではデザイン性が求められる化粧品パッケージやスマートフォンのパッケージにも採用が進んでいます。湿式成形(ウェット製法)に加熱プレスを組み合わせることで滑らかな表面に仕上げられるようになり、着色技術の向上もあいまって、高級感のあるパッケージを紙素材で実現できるようになりました。
パルプモールドの今後の展望

パルプモールドは、環境負荷の少なさや加工のしやすさから、今後ますます需要が高まっていくと予想されています。特に、脱プラスチックの流れの中で、使い捨てプラスチック製品の代替として活用が期待されています。
すでに食品容器、梱包材、化粧品パッケージなど幅広い分野で利用されていますが、普及にはまだ課題もあります。認知度の向上に加え、製造コストの低減や品質のさらなる改善によって、プラスチック製品と遜色のないレベルに引き上げることが求められています。
近年では、水をほとんど使用しないドライペーパーフォーミングなどの新しいパルプ成形技術も開発されており、生産性の向上やCO2排出量の削減につながると注目されています。パルプモールドは、環境にやさしく加工の自由度も高い素材として、今後の社会においてますます重要な役割を果たしていくでしょう。


