環境に関する用語「遺伝資源へのアクセスと利益配分」

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環境に関する用語「遺伝資源へのアクセスと利益配分」

先生、『遺伝資源へのアクセスと利益配分』について教えてください。

地球環境の専門家

『遺伝資源へのアクセスと利益配分』とは、生物多様性条約第1条に規定されている条約の3番目の目的のことです。これは、条約策定に際しての途上国と先進国の対立(南北問題)の一つである、先進国や多国籍企業による原産国(主として途上国)の生物資源(遺伝資源)の収奪(バイオパイラシー)批判などに対して盛り込まれることになったものです。

2002年に採択されたボン・ガイドラインと、2010年に採択された名古屋議定書について教えてください。

地球環境の専門家

ボン・ガイドラインは、2002年4月にオランダのハーグで開催された生物多様性条約に関する第6回締約国会議COP6)において、ABS実施に際してのルールを定めたものです。名古屋議定書は、2010年に名古屋で開催された生物多様性条約 COP10において、ボン・ガイドラインを基礎としつつ、法的拘束力を持つ国際文書として採択されたものです。

遺伝資源へのアクセスと利益配分とは。

環境用語の「遺伝資源へのアクセスと利益配分」とは、遺伝資源の利用から生じる利益を公正かつ公平に配分することで、生物多様性条約第1条で条約の3番目の目的として定められています。これは、条約策定時の先進国と途上国の対立(南北問題)の中で、先進国や多国籍企業による途上国の生物資源を搾取すること(バイオパイラシー)を批判して盛り込まれたものです。

2002年4月にオランダのハーグで開催された生物多様性条約に関する第6回締約国会議COP6)で、ABSの実施に際してのルールを定めたボン・ガイドラインが採択されましたが、法的拘束力は持っていませんでした。その後、2010年に名古屋で開催された生物多様性条約 COP10で、拘束力のある名古屋議定書が採択されました。

これまでにも、コスタリカの生物多様性研究所(INBio)と世界的薬品会社メルク社との間の契約で、遺伝資源情報提供の見返りとして管理費用を提供するなどの事例があります。しかし、本格的な実施にあたっては、知的所有権(特許権)の確保や遺伝資源利用の対価をめぐる先進国と途上国の意見の相違などが障害となっています。

なお、アメリカ合衆国は、技術移転が無制限になる可能性があり、その歯止めとして知的所有権の保護が十分ではないとして、生物多様性条約を批准していません(2015年8月時点)。(2015年8月改訂)

遺伝資源へのアクセスと利益配分とは

遺伝資源へのアクセスと利益配分とは

遺伝資源へのアクセスと利益配分(Access and Benefit Sharing、略してABS)とは、遺伝資源の利用から得られる利益を、その遺伝資源の提供者と利用者で公平に配分することを意味します。遺伝資源とは、植物、動物、微生物などの遺伝的物質を指し、医薬品や化粧品、食品などの開発に利用されます。

ABSは、遺伝資源の提供国や、その利用に関する伝統的知識を有する先住民族や地域社会が、遺伝資源の利用から得られる利益に正当な権利を持つことを認めるものです。また、遺伝資源の利用者が、遺伝資源の提供者に利益配分を行うことで、遺伝資源の保全と持続可能な利用を促進することを目的としています。

ABSは、1992年に採択された「生物多様性条約」第15条に基づき、2010年に採択された「遺伝資源へのアクセスと利益配分に関する名古屋議定書」で具体的な国際ルールが定められました。名古屋議定書は、遺伝資源の利用者が、遺伝資源の提供国に対して事前の情報に基づく同意(PIC)を得るとともに、相互に合意する条件(MAT)を結んだ上で利用しなければならないと定めています。また、その利用から得られる利益を提供者に配分することも定めています。

ABSは、遺伝資源の提供者と利用者の間の公平な利益配分を実現し、遺伝資源の保全と持続可能な利用を促進することを目的としています。

遺伝資源へのアクセスと利益配分の重要性

遺伝資源へのアクセスと利益配分の重要性

遺伝資源へのアクセスと利益配分は、環境保全と持続可能な開発において重要な役割を果たしています。遺伝資源とは、生態系や生物から得られる物質または情報のことであり、医療、農業、工業など、さまざまな分野で利用されています。

遺伝資源へのアクセスと利益配分が重要な理由は、以下のとおりです。

  • 遺伝資源の利用により、新薬や新農作物の開発など、さまざまな利益が得られます。しかし、これらの利益は、遺伝資源を提供した地域や国に還元されないことが多くありました。ABSは、これらの利益を公平に配分することを目的としています。
  • 遺伝資源は、生態系の健康を維持するために不可欠です。しかし、遺伝資源の過剰な利用は、生態系を破壊し、生物多様性を失うことにつながります。ABSは、遺伝資源の持続可能な利用を促進し、生態系の健康を維持することを目的としています。
  • ABSは、先住民族や地域社会の権利を守るためにも重要です。先住民族や地域社会は、遺伝資源の利用に関する伝統的知識を有していますが、これらの知識が企業や研究機関によって無断で使用されることがありました。ABSは、彼らの権利を守り、伝統的知識を尊重することを目的としています。

これらの目標を達成するためには、遺伝資源の利用に関する国際的なルールを整備し、遺伝資源を提供した地域や国に利益を還元することが重要です。

遺伝資源へのアクセスと利益配分の課題

遺伝資源へのアクセスと利益配分の課題

遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)は、生物多様性条約(CBD)の中核的な要素です。ABSは、遺伝資源の利用から生じる利益を、遺伝資源を提供する国や地域社会と公正かつ衡平に配分することを目的としています。しかし、ABSの実施には、多くの課題があります。

その課題の1つは、遺伝資源の所有権を明確にすることが難しいことです。遺伝資源は自然界に存在するものであり、それを誰かの所有物とみなすことは困難です。また、遺伝資源は、多くの異なる国や地域社会にまたがって分布していることが多く、その所有権を明確にすることはさらに困難になります。

もう1つの課題は、遺伝資源の価値を評価することが難しいことです。遺伝資源の価値は、その潜在的な用途によって決まりますが、これを正確に予測することは困難です。また、遺伝資源の価値は、市場の需給によって変動することもあります。

さらに、ABSの適用範囲を明確にすることが難しいという課題もあります。ABSは遺伝資源そのものに適用されるのか、遺伝資源から派生した製品にも適用されるのかという問題があります。また、研究目的での利用にも商業目的での利用にも同様に適用されるのか、近年ではデジタル配列情報(DSI)をどう扱うかも論点となっています。

これらの課題により、ABSの実施は遅れており、遺伝資源の利用から生じる利益が、遺伝資源を提供する国や地域社会に公正かつ衡平に配分されていないという問題が生じています。

遺伝資源へのアクセスと利益配分の今後の展望

遺伝資源へのアクセスと利益配分の今後の展望

遺伝資源へのアクセスと利益配分(Access and Benefit Sharing、ABS)は、生物多様性条約(CBD)の下で、遺伝資源とその関連する伝統的知識の使用から生じる利益を、資源を提供する国や地域社会と公正かつ衡平に配分することを目的とした制度です。

ABSは、生物多様性を保全し、持続可能な利用を促進し、遺伝資源を利用する企業や研究機関の責任を明確にするために重要です。CBDの発効以来、ABSの仕組みは大きく進歩してきましたが、まだ課題が残っています。

今後のABSの展望としては、次のようなことが挙げられます。

  • ABSの適用範囲を、遺伝資源だけでなく、伝統的知識デジタル配列情報(DSI)にも拡大すること。
  • ABSの仕組みを、よりシンプルで透明性に優れたものにすること。
  • ABSの恩恵を、資源提供国や地域社会に確実に届けるためのメカニズムを強化すること。
  • ABSを、生物多様性保全や持続可能な開発の目標と整合させること。

ABSは、生物多様性と持続可能な開発に不可欠な制度です。今後の課題を克服し、ABSの仕組みをより効果的に機能させることができれば、生物多様性の保全と持続可能な利用を促進し、資源提供国や地域社会に利益をもたらすことができます。

日本における遺伝資源へのアクセスと利益配分

日本における遺伝資源へのアクセスと利益配分

日本は、1993年に「生物多様性条約」を締結しました。この条約は、生物多様性の保全および持続可能な利用、遺伝資源へのアクセスと利益配分など、生物多様性に関する包括的な規定を定めた国際条約です。

日本は、生物多様性条約に基づき、関連する国内法・施策を整備してきました。主なものとしては、生物多様性基本法(2008年成立)や、累次にわたって策定されている生物多様性国家戦略などがあります。

また、2010年に名古屋で開催されたCOP10で採択された名古屋議定書については、日本は2017年に締結し、同議定書の国内実施のための「遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する指針(ABS指針)」を定めて運用しています。

これらの枠組みに基づき、日本は遺伝資源の収集・保存・研究、遺伝資源の利用に関する研究開発、遺伝資源の利用から生じる利益の配分などの施策を実施しています。さらに、生物多様性条約の締約国会議への参加や、ABSに関する国際的な議論への貢献など、国際的な取り組みにも積極的に参加しています。

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