知っておきたい環境用語:簡易アセスメント(米国のNEPAに基づくもの)

先生、『簡易アセスメント【米国】』について教えて下さい。

地球環境の専門家
『簡易アセスメント【米国】』は、米国の環境アセスメント法制であるNEPA(国家環境政策法)に基づいて、本格的なEIS(環境影響評価書)作成の必要性を判断するために実施される、予備的な簡易アセスメント(Environmental Assessment:EA)のことです。

NEPAに基づいて実施されるのですね。ということは、本格的なEIS(評価書)の作成が必要かどうかを判断するためのものということですか?

地球環境の専門家
その通りです。簡易アセスメントは、本格的なEISの作成が必要かどうかを判断するためのスクリーニングのプロセスです。簡易アセスメントの結果、重大な環境影響があると判断されればEISの作成プロセスが開始され、重大な影響がないと判断された場合にはFONSI(重大な影響なしの所見)が発行されます。
簡易アセスメント【米国】とは。
簡易アセスメント(Environmental Assessment:EA)は、米国における環境影響アセスメントにおいて、本格的な環境影響評価書(EIS)の作成が必要かどうかを判断するために実施される、予備的な評価のことを指します。米国の国家環境政策法(NEPA)に基づいて実施され、自然環境や社会経済、公共の健康などに及ぼす影響を調査・評価することにより、適正な環境保全を目的としています。
簡易アセスメントとは何か?

簡易アセスメント(EA)とは、米国の国家環境政策法(NEPA)に基づき、連邦政府機関が主要な連邦行為を実施する前に行う、文書化された分析プロセスです。
NEPAの基本的な目的は、人間の環境を保護し、環境価値の回復や増進、自然および文化資源の永続的な保全を図ることにあります。これらの目標を達成するため、連邦機関は環境審査を実施し、重大な環境影響を伴う可能性のあるすべての主要な連邦行為について環境影響評価書(EIS)を作成する必要があります。
しかしながら、すべての連邦行為が重大な影響を及ぼすわけではありません。そこで、NEPAの目的を十分に果たしつつ規制上の負担を軽減するために、1978年にCEQ(大統領環境諮問委員会:Council on Environmental Quality)が規則の中で簡易アセスメントの仕組みを整備しました。
簡易アセスメントは、環境影響の潜在的な重大性に応じて連邦機関による環境審査の合理化を図るものであり、簡潔な環境分析を行ったうえで、重大な環境影響が生じる可能性が高い場合にのみEISを作成することを求める仕組みです。
簡易アセスメントの目的

簡易アセスメントの目的は、単に環境アセスメントを簡略化することではありません。環境への影響が軽微なプロジェクトについて、EIS作成を伴うフルスコープのアセスメントよりも合理的なプロセスを提供することにあります。これにより、プロジェクトの承認プロセスが迅速化し、費用とリスクを軽減することができます。さらに、簡易アセスメントは、関係者や利害関係者からのフィードバックを早期に得る機会を提供することで、プロジェクトの透明性と説明責任の向上にも寄与します。
簡易アセスメントの実施方法

簡易アセスメントは、連邦政府機関が環境レビュープロセスを迅速化・簡略化するために用いる手法であり、NEPAに基づいて定義された文書でもあります。連邦の計画・プログラム・プロジェクトの承認に関連する環境影響を分析するために用いられます。
簡易アセスメントは、NEPAで求められるEISよりも簡易な環境レビューを作成する方法を提供するもので、環境に重大な影響を及ぼさないと予測される、あるいは合理的な代替手段によって影響を軽減できる計画・プログラム・プロジェクトを対象とします。
具体的な手順は連邦政府機関により異なりますが、一般的には以下のような流れで実施されます。
簡易アセスメントを作成するための具体的な手順は、連邦政府機関によって異なりますが、一般的には以下の手順に従います。
- 影響を受けるリソース(環境要素)を特定し、環境への影響を分析する。
- 環境への影響を軽減するための代替手段を特定し、評価する。
- 影響を受けるリソースに関連する環境への影響を評価する。
- 連邦の計画・プログラム・プロジェクトの環境影響を明らかにするため、環境アセスメント文書(EA)を作成する。
- EAに対するパブリックコメントを募集し、検討する。
- EAと寄せられたコメントを総合的に検討し、関連規制への適合を確認する。
- 重大な影響がない場合はFONSI(重大な影響なしの所見)を発行し、プロジェクト実施の決定を行う。重大な影響がある場合はEIS作成へと移行する。
簡易アセスメントのメリットとデメリット

簡易アセスメントには、プロジェクトの環境への影響を迅速かつ費用対効果の高い方法で特定・評価できるというメリットがあります。これにより、大規模な環境影響評価(EIA)が必要となるプロジェクトを的確に特定することが容易になります。また、簡易アセスメントは公衆参加を促進し、プロジェクトの計画プロセスに透明性をもたらす効果も期待できます。
一方で、簡易アセスメントはEIAほど詳細な情報を提供しないため、プロジェクトの環境への影響を過小評価するおそれがあるという制約があります。また、EIAに比べて手続的な拘束力が弱いため、影響の大きいプロジェクトを十分に抑制できない可能性もあります。
このように、簡易アセスメントは迅速かつ効率的に環境影響を評価するうえで有用なツールである一方、詳細な分析という点では限界があります。そのため、プロジェクトの性質に応じて、簡易アセスメントとEISなどを適切に組み合わせて運用することが重要です。
日本の環境アセスメント制度との比較

日本の環境アセスメント制度は、1997年に制定された環境影響評価法に基づいており、一定規模以上の事業を行う事業者に対し、事業計画段階で環境への影響を評価し、その結果を公表することが義務付けられています。この制度は、環境への影響を事前に評価することで、環境への悪影響を回避・軽減し、持続可能な開発を図ることを目的としています。
米国のNEPAに基づく制度と日本の環境アセスメント制度には、共通点があります。いずれも、事業計画段階で環境への影響を評価・公表し、悪影響の回避・軽減と持続可能な開発を図ることを目的としています。
一方で、両制度にはいくつかの違いもあります。日本の制度は、原則として道路・ダム・発電所など特定の大規模事業を対象に、事業者自身が環境影響評価を実施するもので、対象事業の範囲や手続きが法律で具体的に定められています。これに対し、米国のNEPAは連邦政府機関による主要な連邦行為(連邦資金の投入や連邦の許認可を伴う事業を含む)を対象としており、評価の主体は連邦政府機関である点が大きな違いです。
また、米国ではEISの作成が必要かを判断する前段階として簡易アセスメント(EA)が用いられ、影響の程度に応じて段階的に審査の深度が決まる仕組みになっています。日本の制度では、配慮書・方法書・準備書・評価書という段階的な手続きが定められており、米国のEAに相当する位置づけとして、対象事業に該当するかをふるい分けるスクリーニングや、評価項目を絞り込むスコーピングの手続きが整備されています。


