JUSSCANNZとは?EUに所属しない先進国のグループ

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JUSSCANNZとは?EUに所属しない先進国のグループ

『JUSSCANNZ』 について教えてください。

地球環境の専門家

JUSSCANNZは、1990年代の気候変動枠組条約の交渉の場で形成された、EUとは異なる立場をとる先進国のグループです。

なぜEUとは異なる立場をとっているのですか?

地球環境の専門家

EUは、温室効果ガスの一律かつ大幅な削減目標の設定に積極的でしたが、JUSSCANNZの国々は、自国の経済や産業構造の違いを踏まえ、排出量取引共同実施(JI)クリーン開発メカニズム(CDM)といった柔軟性メカニズムの導入を重視する立場をとっていました。

JUSSCANNZとは。

気候変動に関する国際交渉において、EUに対抗する形で形成された非EU先進国のグループが「JUSSCANNZ(ジュスカンズ)」です。日本(Japan)、アメリカ(US)、スイス(Switzerland)、カナダ(Canada)、オーストラリア(Australia)、ノルウェー(Norway)、ニュージーランド(New Zealand)といった主要国の頭文字を合わせた名称で、このグループには、アイスランド、メキシコ、韓国が加わることもあります。

JUSSCANNZの目的と役割

JUSSCANNZの目的と役割

JUSSCANNZは、1990年代初頭の気候変動枠組条約の交渉過程で形成され、その後も同条約の会合などの機会に非公式な意見調整を続けてきました。

その狙いは、EUとは立場を異にする先進国どうしで情報を交換し、共通の交渉方針を見出すことにあります。一律的な削減目標を主張するEUに対し、各国の経済・産業事情に応じた柔軟性メカニズム(排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニズムなど)の導入を重視する姿勢を共有し、京都議定書をはじめとする国際交渉の場で、非EU先進国の立場を代弁する役割を果たしてきました。

2000年代になると、ロシアやウクライナなども加えたアンブレラグループへと、その役割は移っていきます(後述)。

JUSSCANNZの加盟国と、各国の意見調整の経緯

JUSSCANNZの加盟国と代表者

JUSSCANNZの参加国はいずれもOECD加盟国であり、民主主義と市場経済という価値観を共有します。一方で、資源・エネルギー事情や産業構造は国ごとに大きく異なり、その違いこそが、一律の削減目標よりも各国の実情に即した柔軟なアプローチを求める共通認識の背景にあります。

また、このグループには常設の事務局や首脳会議といった制度的な枠組みはありません。気候変動枠組条約締約国会議(COP)などの国際会議の機会に、各国の交渉担当者が集まって意見を調整する、ゆるやかな非公式の協議体という点に特徴があります。

気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)におけるJUSSCANNZの動向

JUSSCANNZの歴史とこれまでの取り組み

1997年に京都で開催されたCOP3(気候変動枠組条約第3回締約国会議)は、JUSSCANNZがその存在感を最も明確に示した舞台でした。

先進国に温室効果ガスの削減義務を課す京都議定書の採択を目指したこの会議で、EUが1990年比で先進国全体の排出量を約15%削減するといった一律かつ大幅な目標を提案したのに対し、米国、日本、カナダ、オーストラリアなどのEU非加盟国は、各国の排出構造や経済事情を踏まえた柔軟な枠組みを主張しました。

この場でJUSSCANNZが推進したのが、排出量取引共同実施(JI)クリーン開発メカニズム(CDM)からなる京都メカニズム(柔軟性メカニズム)です。いずれも先進国が自国外での削減分を自国の目標達成に活用できる仕組みで、現在の国際的な炭素市場の原型となりました。

その後、2001年には米国が京都議定書の批准を見送って事実上離脱するなど、グループ内でも立場の違いが表面化します。京都議定書の採択後の交渉では、JUSSCANNZを母体としつつロシアやウクライナなども加えたアンブレラグループが形成され、非EU先進国の交渉上の受け皿として中心的な役割を担うようになりました。

JUSSCANNZの今後の課題と展望

JUSSCANNZの今後の課題と展望

JUSSCANNZおよびその流れをくむアンブレラグループは、京都議定書以降の国際気候交渉でも、非EU先進国の立場を調整する枠組みとして一定の役割を果たしてきました。各国が自ら削減目標(NDC)を設定する方式を採用したパリ協定の下では、一律の削減目標をめぐるかつての対立構図は薄れましたが、市場メカニズムや資金支援といった論点では、依然として意見調整の場として機能しています。

今後の課題は大きく三つあります。

第一に、各国のNDCの着実な実現と引き上げです。参加国はいずれも主要排出国であり、2050年カーボンニュートラルなどの長期目標に向けた政策実施が問われています。

第二に、パリ協定第6条に基づく市場メカニズムのルール整備です。京都メカニズム以来、柔軟性メカニズムを推進してきた経緯から、国際的な炭素クレジット市場の制度設計を主導する役割が期待されます。

第三に、途上国への資金・技術支援です。先進国が掲げた年間1,000億ドルの気候資金目標や、その後継となる新たな資金目標(NCQG)の達成に向けて、参加国の協調的な対応が問われています。

JUSSCANNZの設立と背景

JUSSCANNZの設立と背景

JUSSCANNZが自然発生的に生まれた背景には、削減負担の分担をめぐるEUと非EU先進国の構造的な違いがあります。EUは加盟国全体で一つの削減目標を設定し、域内の事情に応じて各国に負担を割り振る「バブル方式」を採用していました。これに対し、米国、日本、カナダ、オーストラリアなどのEU非加盟国は、こうした負担調整の仕組みを持たず、それぞれが単独で厳しい削減目標を引き受けざるを得ない立場にありました。

この不利を補うため、非EU先進国は各国の経済・産業事情に応じた柔軟なアプローチを主張し、市場メカニズムの導入を強く求めました。その協力の場として形成されたのがJUSSCANNZです。正式な条約や事務局を持たない非公式な協議グループでありながら、京都議定書の交渉過程で果たした役割は大きく、その後のアンブレラグループへと発展的に引き継がれ、現在も国際気候交渉における重要なプレーヤーであり続けています。

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