高炉還元剤とは何か?環境へのメリットも解説

先生、高炉還元剤について教えてください。

地球環境の専門家
高炉還元剤とは、製鉄の際に鉄鉱石を還元(脱酸素)するために使われる物質のことです。主にコークスや微粉炭が用いられますが、近年ではその一部を廃プラスチックで代替する技術も実用化されています。

廃プラスチックをコークスの一部に代替するメリットは何ですか?

地球環境の専門家
廃プラスチックをコークスの代わりに用いることで、製鉄プロセスのCO2排出量を削減でき、廃プラスチックのケミカルリサイクルにもつながります。
高炉還元剤とは。(一言で説明)
「高炉還元剤」とは、鉄鉱石の脱酸素(還元)工程で用いられる物質を指します。特に廃プラスチックでコークスの一部を代替する手法は、廃プラスチックのケミカルリサイクルのひとつとして注目されており、製鉄時の二酸化炭素排出量削減と廃プラスチックの有効活用を同時に実現できる技術です。
高炉還元剤とは?(実例をまじえて)

高炉還元剤とは、鉄鉱石から鉄を取り出すために必要な物質を指します。鉄鉱石は酸化鉄を主成分としており、そのままでは鉄として利用できません。そこで高炉還元剤を用いて酸素を取り除くことで、鉄を分離します。
- コークスは、石炭を乾留して得られる固体燃料で、鉄鉱石の還元と高炉内の熱源という二つの役割を担います。
- 微粉炭は、コークスを補助する形で羽口から吹き込まれ、コスト削減に寄与する材料です。
- 水素は、還元力が高く、反応で生じるのが水のみであることから、CO2を排出しないクリーンな還元剤として期待されています。その反面、酸化鉄を還元する場合は、高温の維持やエネルギー供給が必要な吸熱反応となり(これは、水素が酸素と結びついて水蒸気になる際に放出されるエネルギーよりも、酸化鉄の結合を断ち切るために必要なエネルギーの方が大きいためです)、コストの高さが大きな課題となっています。(ちなみに、酸化銅の還元に水素を使うのなら、発熱反応です。)
コークスを代替する高炉還元剤のメリット

- コークス使用量の削減です。コークスは製造段階で大量のCO2を排出するため、代替還元剤の併用によりコークス比を抑えることは、二酸化炭素排出量の削減と地球温暖化対策に直結します。
- 廃プラスチックの有効活用につながります。焼却処分されていた廃プラスチックを高炉還元剤として再資源化することは、資源循環型社会の形成にも寄与する取り組みです。
- 水素還元のような新技術の導入により、コークスに由来する不純物が低減され、鉄鋼の品質向上に結びつく可能性も指摘されています。
コークスを代替する高炉還元剤のデメリット

- まず挙げられるのが製造コストの高さです。とりわけ水素還元では、再生可能エネルギー由来のグリーン水素を安定的かつ低コストで供給できるかが大きな焦点となります。
- また、新しい還元プロセスでは操業条件の最適化が不可欠であり、生産効率や品質を安定させるための技術開発も求められます。
こうした課題に対応するため、各国・各メーカーで研究開発が進められている状況です。
高炉還元剤の導入事例

高炉還元剤の革新は、鉄鋼業界における持続可能な製造方法として注目を集めており、国内外で導入事例が広がっています。
国内では、JFEスチールや日本製鉄(旧・新日鉄住金)が、廃プラスチックを高炉に吹き込む取り組みを進めています。これにより、コークスの使用量とCO2排出量を同時に削減することが可能です。
海外では、スウェーデンの鉄鋼メーカーSSABが鉱業会社LKAB、エネルギー企業Vattenfallと共同で進める「HYBRIT」プロジェクトが代表例です。同プロジェクトでは2021年に水素還元による化石燃料フリー鋼の試験生産に成功し、自動車メーカーへの初出荷も行われました。この手法は、厳密には高炉を使いませんが、コークスに代えて水素を用いることで、製鉄工程からのCO2排出量を大幅に削減できると見込まれています。
このように、高炉還元剤の代替・革新は鉄鋼業界の脱炭素化に向けた重要な取り組みとして広がっており、今後さらなる開発と実装が進むと期待されます。
高炉還元剤の今後の展望

鉄鋼業界では、高炉還元剤に起因する環境負荷を低減すべく、研究開発が活発化しています。
- ひとつは高炉還元剤の使用量を削減する技術の開発で、高炉操業条件の最適化や設備改良によってコークス比を引き下げる試みが進められています。
- もうひとつは代替材料の開発であり、石炭由来のコークスに代えて水素、天然ガス、廃プラスチックなどを利用する技術が研究されています。なかでも水素還元製鉄は、CO2排出量を大幅に削減できる究極の脱炭素技術として大きな期待を集める分野です。
これらの取り組みを通じて環境負荷の低減を進めることは、鉄鋼業界のカーボンニュートラル達成と持続可能な発展に大きく貢献していくでしょう。


