廃食油エステル化燃料とは?

環境対策技術に関すること
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廃食油エステル化燃料とは?

先生、『廃食油エステル化燃料』について教えて下さい。

地球環境の専門家

廃食油エステル化燃料』は、植物性廃食用油を資源化する技術のひとつです。不純物除去の前処理をした廃食用油に、10〜20%のメタノールと苛性ソーダ(触媒)を加えて混合撹拌し、加熱した後、しばらく静置してエステル交換反応(油脂に結合している脂肪酸部分がメタノールと反応し、脂肪酸メチルエステルとグリセリンに分かれる反応)を促進させます。生成物(脂肪酸メチルエステル+副産物のグリセリン)を分離し、粘性や引火点の低い脂肪酸メチルエステルを得て、軽油代替燃料として使用します。

はじめに(理論)

廃食油エステル化燃料」は、植物性廃食用油を資源として利用する技術のひとつです。

この技術では、不純物を取り除いた廃食用油に、10%から20%のメタノールと、触媒として苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)を加えて混合・撹拌し、加熱します。その後、しばらく静置してエステル交換反応を促進させます。

生成物を分離して、粘性や引火点が軽油に近い脂肪酸メチルエステル(FAME)を得ます。この脂肪酸メチルエステルは、軽油の代替燃料として使用することができます。

廃食油エステル化燃料の実際(廃食油は、純粋に油なのか?)

廃食油エステル化燃料の定義

廃食油は、純粋な油脂のみで構成されているわけではありません。使用済みの植物油は、加熱や酸素との接触により、部分的に酸化・加水分解などの劣化が進み、遊離脂肪酸が生成されます。劣化が激しい場合には、低分子のカルボン酸(酢酸など)が生じることもあります。

このような遊離脂肪酸とメタノールを反応させると、エステル化反応(酸とアルコールを反応させてエステルを作る反応)が起こり、こちらからも脂肪酸メチルエステルが生成されます。

つまり、以下の2つの反応を組み合わせることで、廃食油エステル化燃料すなわちバイオディーゼル燃料(BDF)(植物油や動物油を原料として作られた再生可能な燃料)をつくることができます。

・油脂 + メタノール → 脂肪酸メチルエステル + グリセリン(エステル交換反応
・脂肪酸 + メタノール → 脂肪酸メチルエステル + 水(エステル化反応

廃食油エステル化燃料は、廃食油を原料としているため、廃棄物削減や環境負荷低減に貢献します。また、軽油や重油に比べて、硫黄酸化物などの有害物質の排出量が少なく、環境への負荷が少ない燃料です。

廃食油エステル化燃料の製造方法

廃食油エステル化燃料の製造方法

廃食油エステル化燃料の製造工程は、以下の通りです。

廃食油からバイオディーゼル燃料を製造する基本的な流れを示します。
1. 廃食油を収集する。
2. 廃食油をろ過して、不純物(食材カスや水分など)を取り除く。
3. 廃食油を反応釜に入れ、メタノールと触媒(苛性ソーダ)を加えて加熱・撹拌し、反応させる。
4. 反応が完了したら静置し、副生物のグリセリンを分離する。
5. 上層の脂肪酸メチルエステルを洗浄・乾燥し、製品として取り出す。

廃食油にアルコールと触媒を加えて加熱することで、エステル交換反応エステル化反応が起こります。これによって、廃食油に含まれる油脂や遊離脂肪酸が、バイオディーゼル燃料に変化します。この生成物は、軽油の代替燃料として使用できる性質を持っています。

廃食油エステル化燃料は、廃食油を有効活用できる燃料として、今後ますます普及していくことが期待されています。

廃食油エステル化燃料の特徴

廃食油エステル化燃料の特徴

廃食油エステル化燃料は、ディーゼルエンジンやボイラーなどの熱機関で使用することができますが、石油由来のディーゼル燃料と比べて、以下の特徴があります。

廃食油エステル化燃料は、石油由来のディーゼル燃料と比較して、環境性・経済性の面で次のような特徴を持ちます。
・ライフサイクルでの二酸化炭素排出量が少ない。
・再生可能な資源である廃食油を原料としており、持続可能なエネルギー源として期待されている。
・廃棄物を原料とするため、コスト削減に貢献できる。
・酸化安定性や低温流動性の面では石油由来軽油に劣るが、添加剤を使用することで性能を補うことができる。

廃食油エステル化燃料のメリット

廃食油エステル化燃料のメリット

廃食油エステル化燃料には、以下のような、さまざまなメリットがあります。

廃食油を有効活用できること
廃食油は、そのまま廃棄すると水質汚染などの環境問題の原因となりますが、エステル化燃料として再利用することで、廃棄物の削減と資源の有効活用につながります。

化石燃料に比べて環境負荷が少ないこと
燃焼時に排出される二酸化炭素量はライフサイクル全体で見ると化石燃料よりも少なく、硫黄分をほとんど含まないため、硫黄酸化物(SOx)の排出も大幅に抑えられます。

カーボンニュートラルであること
バイオマス燃料であるため、燃焼時に発生する二酸化炭素は、原料となる植物が成長過程で光合成によって吸収したものです。理論上、大気中の二酸化炭素濃度を増加させないカーボンニュートラルな燃料といえます。

化石燃料よりも安価になりうること
原油価格の高騰に伴い化石燃料の価格は上昇していますが、廃食油エステル化燃料は廃食油を原料としているため、比較的安価に製造することができます。

エンジンへの悪影響が少ない点
軽油に比べて潤滑性が高く、エンジン部品の摩耗を抑える効果があり、エンジンの寿命を延ばすことが期待できます。

廃食油エステル化燃料は、軽油に混合して使用することもでき、化石燃料に代わる持続可能な燃料として注目されています。

廃食油エステル化燃料の使用例

廃食油エステル化燃料の使用例

廃食油エステル化燃料は、主にディーゼルエンジンの燃料として使用されます。日本でも、軽油に5%のバイオディーゼル燃料を混合した「B5軽油」や、100%バイオディーゼル燃料である「B100」が、自治体のごみ収集車や路線バスなどで導入されてきました。混合燃料は、排気ガス中の粒子状物質(PM)や硫黄酸化物の排出量を削減できることが知られています。

また、廃食油エステル化燃料は、ボイラーや発電機などの燃料としても利用されています。

廃食油エステル化燃料は、化石燃料に比べて、再生可能であること、ライフサイクルでの二酸化炭素排出量が少ないこと、粒子状物質や硫黄酸化物の排出量が少ないことなどのメリットがあります。さらに、廃棄物を原料とするため燃料コストの削減にもつながります。

廃食油エステル化燃料は、環境負荷の低減と資源循環を両立できる、優れた燃料です。今後、ますます普及が進むことが期待されています。

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