廃プラスチックガス化リサイクルとは?知っておきたい知識

廃プラスチックガス化リサイクルについて教えてください。

地球環境の専門家
廃プラスチックなどの有機廃棄物を破砕・固形化したうえで、低温と高温の2つの加圧ガス化炉に通し、酸素とスチームによって熱分解・部分酸化を行い、水素や一酸化炭素などの合成ガスを生成する技術です。

合成ガスとはなんですか?

地球環境の専門家
水素と一酸化炭素を主成分とする可燃性ガスのことで、発電や燃料のほか、アンモニアやメタノールといった化学品の原料など、幅広い用途に活用できます。
廃プラスチックガス化リサイクルとは。
「廃プラスチックガス化リサイクル」とは、廃プラスチックなどの有機廃棄物を破砕・固形化し、低温(600~800℃)と高温(1,300~1,500℃)の2つの加圧ガス化炉を順番に通すことで、酸素とスチームにより熱分解・部分酸化を行い、水素や一酸化炭素などの合成ガスを生成する技術です。「加圧二段ガス化」と呼ばれるほか、容器包装リサイクル法上はケミカルリサイクルの一種である「合成ガス化(化学原料化)」に位置づけられます。
廃プラスチックガス化リサイクルの概要

この技術は、廃プラスチックを化学反応によってガスに変換し、資源として再利用する処理方法です。原油や天然ガスを原料とする従来のプラスチック製造とは異なり、廃プラスチックを原料とすることで、石油資源の節約や廃棄物削減に貢献します。
なお、関連するケミカルリサイクル技術として、廃プラスチックを加熱してガスと液体(熱分解油)に分ける「熱分解油化」もあります。得られたガスは燃料や化学原料として、液体は燃料や化学原料の元として利用できます。
環境面では、高温かつ密閉性の高い炉で処理するため、ダイオキシン類や硫黄酸化物などの有害物質の排出を抑えやすく、単純焼却と比べて二酸化炭素の排出削減にもつながり得る点が特徴で、環境に配慮したリサイクル方法として注目されています。
国内では、2003年に稼働を開始した昭和電工(現・レゾナック)川崎事業所が、使用済みプラスチックから得た合成ガスをアンモニア原料として利用するなどの実用例がある一方、普及はまだ限定的です。今後の技術発展により、廃プラスチック問題の解決に大きく寄与することが期待されています。
廃プラスチックガス化リサイクルのメリット

ここでは、廃プラスチックを高温の炉でガス化し、そのガスを燃料や化学原料として活用するこの手法の利点を整理します。
廃プラスチックガス化リサイクルには、以下のようなメリットがあります。
- 焼却に比べて環境負荷が低い — 単純焼却では、廃プラスチックを燃やす際に二酸化炭素や有害物質が発生します。一方、ガス化リサイクルではガス化して燃料や原料として利用するため、有害物質の発生を抑えられます。
- 資源としての回収(転換)効率が高い — 廃プラスチックが持つ炭素成分などを、高い割合で「合成ガス」という有用な資源に生まれ変わらせることができます。従来の単純焼却のようにただ燃やして終わりにするのではなく、無駄なく資源化できる点が優れています。(ただし、高温・高圧の炉を維持するために外部から多くのエネルギーを消費するため、純粋なエネルギー収支の面では課題もあります。詳細は後述。)
- 燃料・原料としての利用価値が高い — 得られる合成ガスは火力発電やボイラーの燃料として利用できるほか、水素・アンモニア・メタノールなどの化学原料となり、さらに合成・精製を経てガソリンや軽油に相当する液体燃料を製造することも可能です。
- 資源の有効活用につながる — 他の方法ではリサイクルできない汚れたプラスチックでも、燃料や化学原料として再生できます。
- 廃プラスチックの処分方法として有効 — 埋め立てや焼却に代わる手段として、環境負荷の軽減につながります。
廃プラスチックガス化リサイクルのデメリット

- まず、ガス化プロセスは多くのエネルギーを消費するため、使用する電力や熱の調達方法によっては二酸化炭素排出量が増加する可能性があります。
- また、有害物質を抑えられるとはいえ、プロセス中に有害物質が少量ながら発生する場合もあり、適切な処理を行わなければ環境汚染を引き起こすおそれがあります。
- 加えて、ガス化炉やガス精製設備などへの設備投資と運用にコストがかかるため、経済的負担が大きい点も課題です。
プラスチック廃棄物を減らす有効な方法ではあるものの、こうしたデメリットを踏まえたうえで導入を検討する必要があります。
廃プラスチックガス化リサイクルの課題

- 廃プラスチックの回収が難しい点が挙げられます。廃プラスチックはさまざまな形態・場所で廃棄されており、分別を含めて効率的に集めることは容易ではありません。
- 廃プラスチックには塩素や重金属など有害物質を含むものもあるため、処理には十分な注意が求められます。
- 高温・高圧を維持して、ガス化したり精製するため、高いエネルギーが必要になります。エネルギー効率の改善も重要なテーマとなっています。
これらを克服するには、技術開発に加え、廃プラスチック回収システムの整備など、社会全体でのさらなる取り組みが求められます。
廃プラスチックガス化リサイクルの未来

将来性については有望視されています。廃プラスチックをエネルギーや化学原料に変換する技術は着実に進歩しており、なかでもガス化技術はクリーンかつ効率的な処理方法として注目を集めています。市場調査会社の予測では、ガス化を含むケミカルリサイクル関連市場は今後数年間で年率二桁の成長が見込まれるとされています。
新たな技術開発と政府の支援を背景に、廃プラスチックガス化リサイクルは持続可能で経済的な処理方法として一段と普及していくでしょう。環境への悪影響を軽減し、廃棄物管理コストを削減する可能性を秘めており、循環型社会の実現に向けて将来的に重要な役割を果たすことが期待されます。


