シュレッダーダストとは?その環境汚染の可能性と対策

先生、環境用語『シュレッダーダスト』について教えてください。

地球環境の専門家
シュレッダーダストとは、工業用シュレッダーで廃家電や廃自動車を破砕し、鉄などの有価金属を回収した後に残る、プラスチック・ガラス・ゴム・繊維などの破片の混合物のことです。一般に産業廃棄物として処理されます。

シュレッダーダストに含まれる有害物質には、どのようなものがありますか?

地球環境の専門家
水銀・鉛・カドミウムなどの重金属や、有機溶剤、PCBなどが含まれる場合があります。これらは環境汚染を引き起こす可能性が高いため、1996年から管理型処分場での埋立処分が義務付けられています。
シュレッダーダストとは。
環境用語である「シュレッダーダスト」とは、工業用シュレッダーによって廃家電や廃自動車が破砕され、鉄などの有価金属が回収された後に残る、プラスチック・ガラス・ゴムなどの破片の混合物を指します。この破片には水銀・鉛・カドミウムなどの重金属や有機溶剤などが含まれており、環境汚染の可能性が高いことから、1996年から管理型処分場に埋立処分することが義務付けられました。
シュレッダーダストとは何か?

シュレッダーダストとは、工業用シュレッダーで廃自動車(使用済自動車)や廃家電を破砕し、鉄・アルミ・銅などの有価金属を選別・回収した後に残る、プラスチック・ガラス・ゴム・繊維・ウレタンなどの破片からなる残渣(ざんさ)の混合物のことです。英語では「ASR(Automobile Shredder Residue)」とも呼ばれ、自動車1台あたり全体重量のおよそ20〜25%がシュレッダーダストとして発生するといわれています。
シュレッダーダストには、塗料や電子部品などに由来する重金属類(鉛・カドミウム・水銀など)や、有機溶剤、PCB、難燃剤などの有害物質が含まれる場合があり、適切に処理されないと環境への負荷が大きくなります。そのため、リサイクル技術の高度化と適正処分が大きな課題となっています。
シュレッダーダストの環境汚染の可能性

シュレッダーダストは、一見すると単なる破砕くずに見えますが、実際には重金属や有機塩素化合物などの有害物質を含むことが多く、環境汚染を引き起こす可能性があります。具体的には、塗料・電子基板・配線などに由来する鉛・カドミウム・水銀のほか、難燃剤や有機溶剤、PCBなども含まれる可能性があります。
これらの物質を含むシュレッダーダストを安易に埋立処分すると、雨水によって有害成分が溶出し、土壌汚染や地下水汚染の原因となります。また、焼却処理を行う場合も、燃焼条件によってはダイオキシン類などの有害物質が発生するおそれがあります。こうしたリスクから、日本では1996年以降、シュレッダーダストの管理型最終処分場での埋立が義務付けられています。
シュレッダーダストの処分方法

シュレッダーダストの処分方法には、主に焼却・埋立・リサイクル(再資源化)の3つがあります。
それぞれの処分方法には次のような特徴があります。
- 焼却処理:減容化や熱回収(サーマルリサイクル)が可能ですが、ダイオキシン類などの有害物質が発生しないよう、高度な排ガス処理設備が必要です。
- 埋立処分:日本では遮水構造を備えた管理型最終処分場に埋め立てることが義務付けられています。ただし、処分場の容量逼迫が深刻な課題となっています。
- リサイクル(再資源化):プラスチック分や金属分をさらに分別回収し、燃料や素材として再利用します。自動車リサイクル法(2005年施行)に基づき、ASRのリサイクル率向上が義務付けられています。
特に自動車リサイクル法では、自動車メーカーがASRを引き取り、再資源化することが義務化されており、近年ではリサイクル率が70%を超える水準まで向上しています。
シュレッダーダストによる環境汚染を防ぐための対策

シュレッダーダストによる環境汚染を防ぐためには、まず発生源である製品設計の段階での配慮が重要です。自動車や家電の設計時に、解体・分別しやすい構造を採用したり、有害物質の使用を削減したりすることで、シュレッダーダスト中の有害物質を減らすことができます。これは「環境配慮設計(DfE:Design for Environment)」と呼ばれる考え方です。
次に、破砕処理の前段階での事前選別の徹底が有効です。バッテリーや液状物、エアバッグなど有害物質を含む部品をあらかじめ取り外しておくことで、シュレッダーダストへの混入を防ぎます。
さらに、処分段階では管理型処分場での適正な埋立や、高度な焼却・ガス化溶融処理によって有害物質を無害化する技術が導入されています。加えて、ASRから金属・プラスチックをさらに回収する「ポストシュレッダー処理(PST)」技術の普及も進められています。
シュレッダーダストの有効活用

シュレッダーダストをそのまま埋立処分することは、最終処分場の逼迫や環境汚染の観点から望ましくありません。そこで近年は、シュレッダーダストを資源として有効活用する取り組みが進められています。
代表的な活用方法のひとつがサーマルリサイクル(熱回収)です。シュレッダーダストは可燃成分(プラスチックやゴムなど)を多く含むため、発熱量が高く、セメント工場や発電施設の燃料として利用されています。セメント製造では、燃焼後の灰分もセメント原料として取り込めるため、廃棄物がほぼ発生しない「ゼロエミッション型」の処理が可能です。
また、マテリアルリサイクルとして、シュレッダーダストからプラスチック類や金属類をさらに選別回収し、再生樹脂や再生金属として活用する取り組みも進んでいます。さらに、ガス化溶融処理によって生成されるスラグは、路盤材や土木資材として再利用されています。
こうしたシュレッダーダストの有効活用は、最終処分量の削減と資源循環の促進につながり、循環型社会の実現に向けた重要な取り組みとなっています。


