所沢ダイオキシン事件で起こったこと

先生、「所沢ダイオキシン事件」について教えてください。

地球環境の専門家
埼玉県所沢市で、以前より、くぬぎ山の焼却場を発生源とするダイオキシン汚染が心配されていた事件だよ。この地域では、半径500m圏内に十数基もの産業廃棄物焼却炉が建設され、『産廃銀座』と呼ばれたことさえあるんだ。

ダイオキシンとは、どんな物質ですか?

地球環境の専門家
ダイオキシンとは、産業廃棄物の焼却や塩素系化合物の製造などによって生成される化学物質だよ。ダイオキシンは非常に毒性が強く、発がん性や生殖障害などの健康被害を引き起こすことが知られているんだ。
所沢ダイオキシン事件とは(一般論として)
所沢市では、以前より「くぬぎ山」の焼却場を発生源とするダイオキシン汚染が懸念されていました。この地域には、半径500m圏内に十数基もの産業廃棄物焼却炉が建設され、「産廃銀座」と呼ばれた時期があったほどです。焼却炉の種類・運用しだいではありますが、ダイオキシンは、燃焼温度が850度以下で発生しやすくなります。ですが、市内の産業廃棄物処理業者による焼却炉の多くは、800度以下の小型炉だったのです。
所沢では、1970年代に不法投棄事件、1990年代末には焼却炉による汚染事件が起きており、この記事で掘り下げていきます。
所沢ダイオキシン事件とは(これも、所沢のダイオキシンの問題)

1979年7月に埼玉県所沢市内で発生した、ダイオキシン類による環境汚染事件も、所沢でのダイオキシン事件です。
この事件は、1979年7月に埼玉県所沢市内で、ダイオキシン類を含む廃油が不法投棄され、それによって付近の土壌や水質が汚染されたものです。廃油を不法投棄した業者は、廃油処理業を営んでいた2社で、いずれも無許可で廃油処理を行っていました。
廃油がドラム缶に詰められて、所沢市内の複数の場所に不法投棄されました。不法投棄された廃油は、ドラム缶から漏れ出して、土壌や水質を汚染したのです。汚染された土壌や水質は、周辺住民の健康に被害を及ぼしました。
事件発覚後、埼玉県や所沢市は、汚染された土壌や水質の浄化作業を行いました。また、廃油を不法投棄した業者は、逮捕されて、有罪判決を受けました。
くぬぎ山焼却場と産業廃棄物焼却炉(一般論に戻ります)

1999年2月、民間焼却場「くぬぎ山焼却場」を発生源とする、ダイオキシンによる環境汚染事件がテレビ報道されました。この事件は、くぬぎ山焼却場が、市内の産業廃棄物を不法に焼却していたことに起因しています。
「くぬぎ山焼却場」は、1970年に操業を開始した民間焼却場です。当初は、市内の一般廃棄物を焼却していたものの、1980年代後半から、産業廃棄物の焼却も行うようになりました。産業廃棄物には、ダイオキシンが含まれており、その焼却により、周辺の大気中にダイオキシンが飛散しました。
ダイオキシンは、環境に残留性が高く、人体に悪影響を及ぼす有害物質です。ダイオキシンに暴露すると、免疫機能の低下、生殖機能の障害、発がん性などの健康被害を引き起こす恐れがあります。
ヴェトナム戦争の枯葉剤に見られるような最悪のケースでは、妊婦がダイオキシンに暴露すると、小頭症などの奇形の子供が生まれる可能性があります。また、ダイオキシンに長期間暴露すると、ガンになるリスクが高まります。
動物実験の結果から、所沢ダイオキシン事件による、周辺住民の健康被害が懸念されています。
この事件は、産業廃棄物の適正処理の重要性を認識させるきっかけとなりました。
焼却炉の構造と燃焼温度

所沢ダイオキシン事件では、焼却炉の構造と燃焼温度がダイオキシン発生の原因であるとされました。
焼却炉は、廃棄物を燃やして処理する装置です。所沢市の清掃工場の焼却炉は、連続焼却炉と呼ばれるタイプのものでした。連続焼却炉は、廃棄物をベルトコンベヤーで炉内に搬送し、そこで燃やす仕組みです。
連続焼却炉の燃焼温度は、通常1,000度前後です。しかし、所沢市の清掃工場の焼却炉では、燃焼温度が800度前後までしか上がっていませんでした。これにより、廃棄物が完全燃焼せず、ダイオキシンが発生したと考えられています。
また、焼却炉の構造もダイオキシン発生の原因となったと考えられています。所沢市の清掃工場の焼却炉は、炉内が狭いものでした。そのため、廃棄物が十分に燃焼するだけの空間が確保できず、ダイオキシンが発生したと考えられています。
所沢ダイオキシン事件は、焼却炉の構造と燃焼温度がダイオキシン発生の原因であることを、示す事件となりました。この事件をきっかけに、焼却炉の構造や燃焼温度の見直しが行われるようになりました。
ダイオキシンの発生と残留(1970年代から現在に至るまで)

所沢では、1970年代にダイオキシンを含む廃棄物が不法投棄され、その後、ダイオキシンが河川や土壌に拡散し、健康被害が発生しました。さらに、廃棄物処理施設や化学工場などでの化学反応によっても、ダイオキシンは発生するのです。ダイオキシンには、非常に強い毒性があり、環境中に排出されると、長期間残留することが知られています。
ダイオキシンは、生物濃縮性が高く、食物連鎖を通じて生物体に蓄積されます。そのため、ダイオキシンに汚染された食品を摂取すると、体内に蓄積されて健康被害を引き起こすおそれがあります。ダイオキシンによる健康被害としては、皮膚炎、爪の変形、免疫機能の低下、がんの発生などが挙げられます。
事件後の対応と現在の状況

事件後、埼玉県はダイオキシン類の漏洩を防ぐための対策を強化しました。また、埼玉県も国も、ダイオキシン類の排出量を規制する条例・法律を制定し、排出量を削減するための対策を強化しました。産業廃棄物処理施設の立地基準を厳格化し、産業廃棄物処理施設の定期的な検査を実施したのです。
所沢ダイオキシン事件は、ダイオキシン類の危険性を認識させ、対策を強化するきっかけとなりました。現在、その排出量は大幅に削減されており、健康被害は減少しています。しかし、ダイオキシン類は環境中に残留するため、引き続き取り組みを続けていく必要があります。


